1. 生卵の栄養と効能

日頃からよく食べられている卵は、その万能さや栄養価の高さから「スーパーフード」ともいわれている。具体的などのような栄養が豊富なのだろうか?まずは生卵から、主な栄養成分とその効能について解説しよう。なお以下の数値は文部科学省「食品成分データベース」(※1)によるものだ。
生卵100gあたりの主な栄養素
- エネルギー:151kcal
- たんぱく質:12.3g
- 脂質:10.3g
- 炭水化物:0.3g
- 灰分:1.0g
- ナトリウム:140mg
- カリウム:130mg
- カルシウム:51mg
- マグネシウム:11mg
- リン:180mg
- 鉄:1.8mg
- 亜鉛:1.3mg
- 銅:0.08mg
- マンガン:0.02mg
- ヨウ素:17μg
- レチノール:140μg
- β−カロテン当量:17μg
- ビタミンD:1.8μg
- ビタミンE:1.6mg
- ビタミンB1:0.06mg
- ビタミンB2:0.43mg
- ナイアシン:0.1mg
- ビタミンB6:0.08mg
- ビタミンB12:0.9μg
- 葉酸:43μg
- パントテン酸:1.45mg
- ビオチン:25.4μg
- 飽和脂肪酸:2.84g
- 一価不飽和脂肪酸:3.69g
- 多価不飽和脂肪酸:1.66g
- コレステロール:420mg
たんぱく質は1日必要量の約1/4〜1/5
たんぱく質は三大栄養素の1つである。筋肉や骨、髪、皮膚などのもとになるため、私たちの体には必要不可欠な栄養素だ(※2)。とくにダイエット中の方や体を鍛えている方などは積極的に摂りたい栄養素でもある。卵を2個食べると、1日に必要なたんぱく質の約1/4〜1/5が摂れる。
ビタミンとミネラルも豊富
卵にはビタミン類も豊富に含まれている(※3)。発育促進や肌の健康を維持するビタミンA、赤血球中のヘモグロビン生成を助けるビタミンB12、骨の形成と成長を促すビタミンD、強い抗酸化作用を持つビタミンEなどだ。胎児の正常な発育に役立つことから、妊娠初期の女性にとくに必要とされる葉酸(※4)などのビタミンも含まれている。そのほか、カリウムやカルシウムといったミネラル類(※5)もバランスよく含まれている。
脳を活性化させる「コリン」が含まれる
体を構成する細胞に含まれる、リン脂質の重要な成分がコリンだ。脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」の材料となることから、記憶や学習に深くかかわるといわれている。
2. ゆで卵の栄養と効能

一方、ゆで卵の場合はどうだろうか?ゆでることで栄養成分に変化はあるのか、せっかくなので確認しておこう。同じく文部科学省「食品成分データベース」(※1)を参照した。
ゆで卵100gあたりの主な栄養素
- エネルギー:151kcal
- たんぱく質:12.9g
- 脂質:10.0g
- 炭水化物:0.3g
- 灰分:1.0g
- ナトリウム:130mg
- カリウム:130mg
- カルシウム:51mg
- マグネシウム:11mg
- リン:180mg
- 鉄:1.8mg
- 亜鉛:1.3mg
- 銅:0.08mg
- マンガン:0.02mg
- ヨウ素:15μg
- レチノール:130μg
- β−カロテン当量:16μg
- ビタミンD:1.8μg
- ビタミンE:1.6mg
- ビタミンB1:0.06mg
- ビタミンB2:0.40mg
- ナイアシン:0.1mg
- ビタミンB6:0.07mg
- ビタミンB12:0.9μg
- 葉酸:35μg
- パントテン酸:1.35mg
- ビオチン:25.0μg
- 飽和脂肪酸:2.70g
- 一価不飽和脂肪酸:3.55g
- 多価不飽和脂肪酸:1.63g
- コレステロール:420mg
生卵もゆで卵も栄養素は大きく変わらない
比べてみると、生卵とゆで卵とで栄養素はほとんど変わらないことが分かる。生卵と比べてたんぱく質が微増し脂質が微減するなど、ダイエット中や筋トレ中の方にはピッタリかもしれない。
加熱することで消化・吸収がよくなる
油を使った焼き物や炒め物などにすると、たんぱく質の消化吸収に時間がかかる。油を使わないゆで卵をそのまま食せば、スムーズに消化吸収されるのでおすすめだ。
食べる時間はいつでもOK
生卵もゆで卵も、基本的には朝昼晩いつ食べてもよい。ダイエット中や筋トレ中の方などは、たんぱく質が不足しがちな朝または昼、あるいは食事の合間に補食としていただくなどしよう。
3. 意外と知らない!卵に関する基礎知識

続いて卵に関する基礎知識を解説するとともに、よくある疑問についてお答えしよう。
卵の1日の摂取制限はない
「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」と思っている方も多いだろう。ところが、卵には1日の摂取制限がないことをご存じだろうか?体内のコレステロール量は厳密に制御されており、体内コレステロール量が多くなると排泄が増える。逆に少なくなるとコレステロール合成が増えるのだ。そのため2015年に卵の摂取制限はなくなった。もちろん、食べ過ぎや偏った食生活は好ましくないが、制限がないことは知っておいてもよいだろう。
卵の保存方法と保存期間
- 冷蔵保存:賞味期限として記載されている約2週間は生食可能。尖った方を下にして卵のパック容器ごと冷蔵庫にしまうと、鮮度がより長持ちするといわれている。
- 冷凍保存:細菌が繁殖しやすくなるため、避けたほうがよい。
- ゆで卵:冬場10度前後なら常温保存できるが、なるべく冷蔵保存。殻をむいていない状態なら3日以内、剥いたものは24時間以内が目安。塩分を含むたれを使って味付け卵にすると、もう少し長く保存可能となる。
卵はさまざまな方法で保存が可能だ。それぞれ保存できる期間が異なるため、どの方法でどれくらいもつのかをきちんと知っておこう。
白玉と赤玉で卵の栄養価は異なる?
スーパーなどには白玉と赤玉が並んでいる。赤玉のほうが値段が高いのが一般的なので、栄養価も高いのでは?と思う方も多いだろう。確かに商品によってはそうかもしれないが、基本的には白玉も赤玉も栄養価は同じである。両者の違いはニワトリの種類であり、赤玉を産むニワトリは白玉を産むニワトリよりもエサを多く食べるという。つまり、卵の値段にはそのエサ代も反映されているというわけだ。
卵黄と卵白の栄養素の違いは?
紹介してきた栄養素の多くは「卵黄」に含まれているものである。とくにビタミン類は白身にはほぼ含まれていないと思っておこう。もちろん「卵白」にはまったく栄養価がないというわけではない。たとえばミネラルの一種カリウムは、卵黄よりも卵白に多く含まれている。とはいえ、卵の栄養の多くは卵黄に含まれていると考えてよいだろう。
4. 卵のおすすめの食べ方と注意点

最後に、卵のおすすめの食べ方を紹介するとともに、注意点をお伝えしておく。
卵の食べ方~アレンジ編~
- 朝食などに、手軽なスクランブルエッグ
- 長期保存が可能な、味付け卵
- いろんなメイン料理に合う、タルタルソースに
- ご飯のお供やおつまみにも、思わずクセになる卵黄の醤油漬けに
- カフェレシピにもってこい、ポーチドエッグに
- みんな大好き、プリンに
ご飯に生卵をかけたり、ゆで卵に塩を振ったりするだけでももちろん美味しいが、ひと工夫取り入れるのもおすすめだ。
ただしカロリーオーバーには注意
Lサイズの卵1個のカロリーは約84kcalと、大きさの割にやや高い。栄養豊富だからと食べ過ぎてしまうと、カロリーオーバーになるおそれがあるので気をつけよう。もっとも最近は、朝食を茹で卵に置き換えるなどのダイエットもある。食べ方によっては低カロリーで高い栄養価を摂ることができるかもしれない。
結論
手軽に調理できるうえ栄養面でも万能な卵は、子どもからお年寄りまでみんなが積極的に食べたい食材の代表ともいえるだろう。とくにゆで卵は、小腹がすいたときや間食などにも最適だ。卵不足を感じたら、食べ過ぎにはくれぐれも注意しつつ、上手に食事に取り入れていこう。
(参考文献)
- 1:文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/ - 2:厚生労働省「たんぱく質 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html - 3:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html - 4:厚生労働省「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html - 5:厚生労働省「ミネラル _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html