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【管理栄養士監修】ごぼうの栄養が凄すぎ?栄養を逃がさない方法とは

【管理栄養士監修】ごぼうの栄養が凄すぎ?栄養を逃がさない方法とは

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)

鉛筆アイコン 2021年7月13日

ごぼうは食物繊維が豊富な食材として有名だ。和食を中心に使われることが多いが、アク抜きなどの処理が面倒という理由であまり購入しないという人もいるかもしれない。ごぼうは、食物繊維だけでなく、さまざまな栄養素を含んでいる食材でもある。今回は、ごぼうの栄養や効率的に摂取するポイント、上手な保存方法について紹介しよう。

  

1. ごぼうの種類と旬

ごぼうは栄養価が高く、きんぴら、煮物、かき揚げなど、普段の食卓にのぼる機会が多い食材だ。日本ではなじみ深い野菜だが、日本以外で食べている国は台湾や韓国など数少ない。ヨーロッパには西洋ごぼうとよばれる野菜があるが、これはサルシファイといって、日本のごぼうとは全く別のものである。ごぼうは日本独特の根菜といってもいいだろう。まずは、ごぼうの種類や旬の時期について解説しよう。

滝野川ごぼう

滝野川ごぼうとは、切り口の直径が2~3cmで、長さが1mほどの細長いごぼうのこと。東京都北区滝野川が発祥で、現在は全国で栽培されている。一般に、「ごぼう」といえば、この滝野川ごぼうをさす。

大浦ごぼう

大浦ごぼうは、太いごぼうとして有名で、千葉県大浦地区特産のごぼう。直径が10cmもある極太サイズで、希少な品種だ。中が空洞になっていて、そこに肉を詰めた煮込み料理や精進料理にも利用される。

山ごぼう

山ごぼうとは、太さが小指ほどのごぼうのこと。「もりあざみ」というごぼうに近い品種の根で、「あざみごぼう」ともよばれる。長さは30~40cm。みそ漬けにして食べることが多い。

堀川ごぼう

堀川ごぼうは京野菜のひとつ。起源は16世紀頃で、滝野川ごぼうを特殊栽培したものだ。切り口の直径は6~9cm、長さは約50cm。太くて短いごぼうで、香りがよく、柔らかいのが特徴。大浦ごぼうと同じく、中に空洞があり、この空洞に海老のしんじょや肉を詰める料理が有名だ。

ごぼうの旬

ごぼうの旬は11~1月。この時期のごぼうは香りもよく、歯ごたえもシャキシャキして美味しい。また、新ごぼうの旬は6~7月。若いうちに収穫されるので、新玉ねぎと同じように、頭に「新」がつく。まだ成長している途中なので、スジが張りきっておらず、柔らかい。夏ごぼうと呼ばれることもあり、柳川鍋には欠かせない食材だ。新ごぼうにも食物繊維などの栄養素が多く含まれている。

葉ごぼう

葉ごぼうとは、根の部分だけでなく葉や茎の部分も食べることができる品種のこと。葉は直径約20cm、茎は30~50cmで根は短く、見た目がフキに煮ているのが特徴だ。食物繊維や鉄分、カルシウムなど豊富な栄養素を含んでいる。旬は3~4月で春野菜の仲間だ。関東ではあまり見かけることがなく、関西を中心とした地域で出回ることが多い。福井や大阪が葉ごぼうの産地として有名で、産地を中心とした地域以外では手に入りにくいため、関東まで出荷させることが少ないのだ。

2. ごぼうの栄養

ごぼう100gに含まれる主要な栄養成分(※1)を見てみよう。ごぼう1本はおよそ150gなので、()内に1本あたりの数値を記載した。
カロリー:58kcal(87kcal)
水分:81.7g(122.6g)
たんぱく質:1.8g(2.7g)
脂質:0.1g(0.15g)
炭水化物:15.4g(23.3g)
カルシウム:46mg(69mg)
マグネシウム:54mg(81mg)
リン:62mg(93mg)
鉄:0.7mg(1.05mg)
亜鉛:0.8mg(1.2mg)
ビタミンB6:0.10g(0.15g)
ビタミンE:0.6g(0.9g)
食物繊維:5.7g(8.6g)
ごぼうには食物繊維やミネラル類が豊富に含まれている。それぞれの成分がどんなはたらきをするのか紹介しよう。

ごぼうといえば食物繊維

ごぼうといえば、食物繊維が豊富なことで有名だ。食物繊維は、水に溶けやすい水溶性と水に溶けない不溶性に分けることができ、ごぼう100gあたりに対し、水溶性食物繊維2.3g、不溶性食物繊維3.4gが含まれている。水溶性食物繊維は、食後の血糖値上昇をゆるやかにしたり、余分なコレステロールや塩分を外に排出する働きがある。不溶性食物繊維は、排便をスムーズにする働きをもつ。食物繊維は、低カロリーなので肥満予防になり、糖尿病や高血圧などのリスクを減らすにも効果的だ。(※2)

イヌリン

イヌリンは、水溶性食物繊維の一種。腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境改善に役立つとされている。ほかにも、血中に含まれる脂肪を低減する効果や食後の血糖値上昇を抑制する効果も期待できる成分だ。(※3)

リグニン

リグニンは不溶性食物繊維の一種で、コレステロール値を低下させる効果がある。腸内で水分を吸収し便の容積を増やすことによって、大腸が刺激され排便をスムーズにするので、便秘解消にも役立つ成分だ。また、有害物質も吸着して便とともに体外に排出するので、大腸がんリスクを減らすのに効果的であるといわれる。(※4)

ミネラル類も豊富

ごぼうはミネラル類も豊富で、100gあたりカルシウム46mg、マグネシウム54mg、リン62mgが含まれている。カルシウムは、骨や歯の形成に重要な成分であり、細胞の分裂や筋肉収縮、血液凝固作用の促進などの働きをもつ。不足すると、骨や歯は弱くなり骨粗鬆症となる可能性もある。マグネシウムは、補酵素として酵素の働きを助ける作用をもつ。エネルギー産生や栄養素の合成・分解、神経伝達などに関わりのある栄養素だ。カルシウムと拮抗して、筋肉の働きを制御したり、血管を拡張して血圧を低下させたりする作用もある。リンは、カルシウムとともに骨や歯を構成しており、正常な発達に欠かせない成分だ。細胞膜やDNAなどの身体にとって重要な成分の構成要素として、体内のさまざまな代謝反応に関与している。ほかにも、心臓や腎臓の機能維持や神経伝達作用をもつ。カルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラル類は、互いに影響しながら吸収されるので、バランスよく摂取する必要がある。(※5)(※6)(※7)

アルギニン

ごぼうはアミノ酸の一種であるアルギニンを多く含む。アルギニンは精力増強に役立つといわれ、成長ホルモンの分泌を促進し、男性の機能向上や筋肉増強、血流改善などにも役立つといわれている。また、新陳代謝と肌にもよいといわれている成分だ。

3. ごぼうの栄養を効率的に摂るポイント

ごぼうに含まれる豊富な栄養素を無駄なく効率的に摂取するためのポイントを紹介しよう。いままで知らなかったという人は、ぜひ実践してみてほしい。

皮はむかないほうがいい?

ごぼうは泥付きで販売されていることも多く、皮をむいて調理するという人も多いだろう。ごぼうの皮にはクロロゲン酸やタンニンといったポリフェノールが豊富に含まれている。ポリフェノールは、抗酸化作用が強く体内の有害物質を無害にする作用をもつため、血管を正常に保つのに役立つとされている成分だ。これらの栄養素を無駄なく摂取するには、皮付きのまま調理することが好ましい。泥は洗い流し、たわしや包丁の背を使ってこすり洗いするのがおすすめだ。(※8)

アク抜きは短時間で

ごぼうは、切ってから時間が経過すると茶色く変色してしまう。そのため、変色防止やえぐみ、苦みなどのアク抜きのために調理前に水にさらすことが多い。アク抜きをした際に出てくる茶色の成分はポリフェノールだ。前述した通り、ポリフェノールはなるべく摂取したい栄養素なので、できるだけアク抜きせずに調理するのが好ましい。油を使う料理なら、それほどえぐみを感じることもないので、アク抜きなしで調理するのがおすすめだ。調理の直前に切れば、変色が気になることも少ないだろう。アク抜きする場合には、なるべく5分以内など短時間で行おう。酢水にさらす場合は、1~2分程度でよい。

ささがきや乱切りで

ごぼうを切る際には、ささがきや乱切りなど切り口の面積が広くなるような切り方がおすすめ。これは、不溶性食物繊維の一種であるリグニンが切り口に多く発生するためである。リグニンは、前述した通り、健康効果が期待できる成分だ。切って少し時間をおいてから調理すると、より効率的にリグニンを摂取できるといわれている。きんぴらやかき揚げなどを作る際にはぜひ実践してみてほしい。

4. ごぼうの保存方法

ごぼうは日持ちする食材だが、正しく保存しないと栄養素や風味、食感が損なわれてしまう。鮮度や栄養素をキープするためにも、正しい保存方法を知っておくとよいだろう。冷暗所などで常温保存する場合には、泥付きのまま新聞紙で包み、土の中と同様になるべく立てて保存したほうがよい。約1ヶ月程度保存可能だ。しかし、夏場は常温保存だと傷みやすいので、冷蔵保存がおすすめだ。冷蔵保存の場合は、冷蔵庫に入るサイズに切って、新聞紙で包み、ラップやポリ袋に包んで保存しよう。泥付きなら約2ヶ月程度、洗いごぼうやささがきなら約1週間程度の保存が可能。生のままや加熱してから冷凍保存することもできる。約1ヶ月保存可能で、凍ったままでも調理可能だ。栄養価の高いごぼうは、旨みや風味も強く、さまざまな調理に使うことができる。

結論

ごぼうは、皮にも豊富な栄養が含まれ、整腸作用や抗酸化作用など、健康な身体を維持するのに効果的な食材である。さまざまな料理に使用でき、保存方法に気を付ければ、長期間保存することができるため、常備野菜としても便利だ。ぜひここでの情報を参考に、ごぼうを使った料理を作ってみてはどうだろうか。
(参考文献)
※1出典:野菜類/ごぼう/根/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06084_7

※2出典:食物繊維の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html

※3出典:水溶性食物繊維イヌリン|株式会社 明治
https://www.meiji.co.jp/dairies/inulin/

※4出典:食物繊維の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html

※5出典:カルシウムの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html

※6出典:マグネシウムの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-mg.html

※7出典:リンの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-p.html

※8出典:ポリフェノールの種類と効果と摂取量 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html
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  • 公開日:

    2017年3月10日

  • 更新日:

    2021年7月13日

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