1. 塩豚って何?

塩豚を詳しく知らないという方のために、まずはどういったものなのか、なぜ美味しいのかなど基本的なところから解説していこう。
豚肉に塩をまぶして熟成させたもの
塩豚とは、豚肉の塊に塩をまぶして熟成させた食べ物だ。たったこれだけの材料で作れる手軽さはもちろん、いろいろな料理に活用できるなどアレンジがきく食べ物としても人気がある。
保存方法のひとつとして誕生した
塩豚は、冷蔵技術が発展していなかった頃の保存方法のひとつとして生まれた。世界各国で塩と豚だけで作れる食品は発展しており、とくにヨーロッパでは盛んに行われてきた。中でも有名なのは生ハムやパンチェッタだろう。ベーコンも、塩漬け肉を燻したもののことを指す。
日本ではここ10年ほどで注目を集め紹介されてきたが、実際はもっと古くから生活の知恵として用いられてきたようだ。とくに、奄美や沖縄地方では古くから使われてきたことが知られている。
日本ではここ10年ほどで注目を集め紹介されてきたが、実際はもっと古くから生活の知恵として用いられてきたようだ。とくに、奄美や沖縄地方では古くから使われてきたことが知られている。
美味しさの秘密は?
豚肉に塩をまぶしたあと「寝かせる」のが、塩豚の最大のポイントである。豚肉に塩をまぶすと、浸透圧の関係で余分な水分が抜けるのだが、その際、肉のくさみも抜けて旨みだけが残り凝縮される。これが塩豚の美味しさの秘密である。
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2. 塩豚の簡単な作り方

塩豚はご家庭でも簡単に作れる。手順や、美味しく仕上げるためのポイントを見ていこう。
塩豚の作り方
- 豚バラ肉や肩ロースなど塊肉を用意する
- 水気をペーパータオルなどでしっかり拭き取る
- 塩を全体にまぶし、揉むようにすり込んでいく
- 空気が入らない(残らない)よう、ぴっちりとラップで包む
- 「4」をジッパー付きのポリ袋などに入れて封をする
- 冷蔵庫に入れて熟成させる
以上が塩豚を作る手順だ。塩の量はレシピなどにもよるが、豚肉400〜500gに対して大さじ1/2ほどが目安になるだろう。塩をすり込んで3日目くらいからが食べごろで、夏場でも5日程度は冷蔵庫で保存できる。冷凍保存すれば1カ月くらいは持つだろう。
塩選びが肝心
美味しい塩豚に仕上げるには「天然塩」を使おう。味のとがった塩化ナトリウムのみの食塩を使うと、塩豚の美味しさを十分に引き出せない可能性があるためだ。
3. 塩豚のおすすめの食べ方

最後に、塩豚の美味しい食べ方を紹介しよう。基本的にはどんな調理法でも美味しくいただけるが、とくに次のような食べ方をおすすめしたい。
シンプルに焼いて食べても美味しい
塩味がしっかりついた塩豚は、シンプルに焼くだけでも十分美味しい。スライスして野菜と一緒に炒めるのもおすすめだ。野菜が塩豚の旨みを吸ってくれるので、より美味しく仕上がる。レンコンやカブ、カリフラワーなど淡白な味わいの野菜とはとくに相性がよい。そのままはもちろん、最後にさっと醤油を回しかけても美味しいので、ぜひ試してみてほしい。
「茹で塩豚」なら茹で汁も活用できる
茹でた塩豚もおすすめだ。というのも、旨みが流れ出た茹で汁も美味しくいただけるからである。茹でるときは「茹で汁の中で冷ます」ことがポイントなので覚えておこう。こうすることで、ジュワッと柔らかな肉質をキープできる。薄くスライスして、香味野菜といただくのがおすすめの食べ方だ。
茹でたあとすぐに汁から出して切ってしまうと、肉汁が流れ出てしまううえ肉質も硬くなるので注意しよう。また、茹で汁は塩や醤油、ナンプラーとごま油などをプラスすればラーメンのスープとしても活用できる。
茹でたあとすぐに汁から出して切ってしまうと、肉汁が流れ出てしまううえ肉質も硬くなるので注意しよう。また、茹で汁は塩や醤油、ナンプラーとごま油などをプラスすればラーメンのスープとしても活用できる。
野菜と煮込むのも絶品
ポトフのように煮込むのもまたよい。塩豚を焼き付けて豆やキャベツなどを投入し、白ワインをさっと振り入れてからふたをして、無水でじっくり煮込んでいく。白ワインがなければそのままでも構わない。塩豚のコクのある味わいが豆やキャベツに染み込み、なんともいえない美味しさに仕上がるはずだ。マスタードなどをつけて食べよう。
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結論
とにかく簡単に作れて、バリエーション豊かに使えるのが塩豚だ。味はもちろん、塊肉で作るので見栄えもボリューム感も満点である。おもてなし料理としても活躍してくれるだろう。ぜひ塩豚作りをマスターして、自分らしいレシピを開発してほしい。