1. 納豆の種類と栄養
●種類
納豆は大きく分けて納豆菌で発酵させた糸引き納豆と麹で発酵させた大徳寺納豆(寺納豆)がある。いわゆる糸引き納豆は、小粒から大粒まで大豆の粒の大きさによる違い、もしくは黄大豆、黒大豆、青大豆のように大豆の品種による違いによって区別される。黄大豆の皮を取り除き、細かく刻んだひきわり納豆も糸引き納豆の一つである。近年、納豆のねばりや香りを控えめにした製品も販売れている。
●栄養
納豆のカルシウムは100gあたり90mgである。他の食材に比べて決して突出してカルシウムが豊富なわけではないが、納豆はカルシウムの吸収を促すビタミンKが非常にたくさん含まれている。ビタミンKは骨粗鬆症の薬にも使われているという成分で、緑黄色野菜等にも含まれるものだ。ビタミンKは納豆菌によって合成されるので、原材料の大豆より納豆に豊富に含まれる。さらにひきわり納豆の場合、大豆を砕いて細かくしているため発酵が活発に行われる。そのため丸大豆の納豆よりひきわり納豆のほうがビタミンKが豊富なのである。
2. ねばねばは美味しさと栄養のもと?
●ねばねばの正体は?
納豆を混ぜるとネバネバした糸を引く。あのネバネバは納豆菌が大豆タンパク質を分解してできたグルタミン酸と、糖の一種であるフラクタンと呼ばれるものである。グルタミン酸は昆布の旨みと同じ成分でバネのような分子構造をしており、混ぜれば混ぜるほど粘りが増すのである。また、フラクタンは納豆のねばりを安定させる働きがある。
●他の豆にも同じ作用があるのか。
納豆は大豆に納豆菌をつけることで出来るが、他の豆ではどうなのだろう。小豆やグリーンピース、とうもろこしに納豆菌をつけると、一応納豆のようなものはできる。しかし、大豆ほどタンパク質が豊富でないのでグルタミン酸の量が少なく、粘らない。つまり、美味しさ、栄養、どちらから考えても納豆には大豆が適しているのである。
3. 納豆雑学
●納豆の保存
納豆は生きた納豆菌が発酵してできる食品だ。発酵は腐敗と違い、人間がコントロールして有用な菌を発酵させているのである。家庭の冷蔵庫で冷蔵していても、納豆菌の働きが弱くなると黒ずんで異臭がするようになる。そのため、消費期限内に食べない場合は、パックごと冷凍保存するとよい。納豆菌が冬眠状態になるので発酵が止まるからである。食べる時は、そのまま自然解凍する。
●簡単!納豆調理
納豆は納豆を混ぜて、だしやしょうゆ、砂糖などを加えて食べるのもいいのだが、高菜漬けやらっきょう、たくあんなど漬物のみじん切りを混ぜると食感の違いを楽しめる。また、納豆の臭いも和らぐので食べやすくなるのである。その他、溶き卵やねぎのみじん切り、しょうがや梅干しなど薬味を加えるだけで納豆料理のバリエーションが広がる。いろいろ試してお気に入りの食べ方を探してみよう。
結論
カルシウムは一時にたくさん摂るよりも、毎日続けて摂取することで強い骨や歯を作る。また、精神の安定作用も期待できる。簡単に調理できる納豆を毎日の食事に加えてみよう。