1. 魚と日本人

魚食の歴史
日本では野菜と並んで古くから魚が食べられてきた。縄文時代の貝塚などから、魚の骨や貝殻が多く発掘されていることからもわかる。奈良時代になると乾燥させたアワビやナマコ、サザエなどは、献上品として流通していたという記録が残っている。
天然と養殖
天然の魚と養殖の魚、その差を皆さんはご存知だろうか。天然魚は自然の海流を泳ぐので、活動域に制限がある養殖物より身がしまっていると言われている。口に入れると弾力がある。対して養殖魚の方は、脂のノリが良く、柔らかな口当たり。養殖技術の進歩は著しく、一概にどちらが良いとは言えないが、基礎知識として覚えておこう。
注目の栄養素
魚は、肉と並んで人間の体に欠かすことのできない動物性タンパク質源である。実は近年、魚に多く含まれる栄養素が注目を集めている。それが「EPA」「DHA」と呼ばれる脂肪酸だ。「EPA」は血液をサラサラにする効果が期待でき、「DHA」は脳や神経組織の活性化に効果を発揮すると言われている。サバやブリ、マイワシ、サンマなど、青背の魚に多く含まれているようだ。魚の栄養素を積極的に取り入れるためにも、正しい目利きを学んでいこう。
2. 一尾魚の目利き

目の色
一尾魚の場合は、まず目に注目したい。目が黒く澄んでいるものは、往々にして新鮮である。反対に充血していたり、濁っているものは避けるのが正解だ。黒目がくっきりとしているものをセレクトしよう。
ハリ感
次に注目したいのは、ハリ感。特に腹部分がふっくらとしていれば脂が乗っている可能性が高い。全体的に丸みを帯び、弾力のあるものを選ぶと良い。表面は艶があり、色が鮮やかなものがより新鮮だ。
鱗とエラ
鱗のある魚であれば、鱗も見落としてはならないポイント。鱗が綺麗に揃っているものが新鮮さを示すキーワードだからである。また、エラ部分の色も重要なポイント。エラの色がくすんでいるのは、新鮮でない証拠である。可能なら少し持ち上げてみて、鮮やかな赤色をしているかチェックしてみよう。
3. 切り身魚の目利き

表面の艶
切り身魚や刺身にも共通して言えるのが、表面の艶。色が鮮やかで艶のあるものがより新鮮だ。さらにふっくらと身に厚みがあるものを選ぶと良いだろう。イカやタイなど白身の魚は、白い部分に透明感がある方が新鮮だ。
ドリップ
ドリップと呼ばれる、魚から出る水分にも注意したい。このドリップは、生臭さの要因の一つ。ドリップが出ていないものを選ぶのはもちろん、食べる際もキッチンペーパーなどで丁寧に取り除く必要がある。この一手間で、魚がぐっと美味しくいただけるので、覚えておこう。
4. 買い方のコツ

なるべく一尾魚を
魚は切り身にして空気に触れた瞬間から、劣化が始まるもの。できれば一尾魚を買って、自宅で調理直前に捌くのが正解である。とは言え、なかなか難しいので、一尾魚が売られている店に赴き、捌いてもらうのがおすすめだ。「刺身に」「塩焼きに」などと用途を伝え、それに合うよう捌いてもらおう。
刺身はサクで
前述の通り、劣化を少しでも防ぐには、空気に触れる部分がより少ない方が良い。その観点から、刺身はサクで買い、食べる直前に切るのが断然オススメだ。サクは角がピンと張っているものが新鮮。切り口に対し、筋が垂直にしかも等間隔で入っているものであれば、切りやすい。
結論
基本的な魚の目利きを学んできた。目利きはもちろんだが、新鮮な魚を取り扱う店を見つけることもお忘れなく。魚のプロである店員と仲良くなれば、より美味しく魚が食べられるはずである。