1. 白米と玄米

稲とコメ
白米と玄米の違いをみなさんはご存知だろうか?コメは田んぼで育っている間は稲と呼ばれ、収穫後いくつかの工程を経て脱穀され、籾となる。その籾から籾殻を除いたものが玄米。さらにその玄米から、糠と胚芽を取り除き、胚乳だけにしたものが白米。
ちなみに糠漬けの糠は、このとき取り除かれた糠を使用して作られてきた。
ちなみに糠漬けの糠は、このとき取り除かれた糠を使用して作られてきた。
精米の歴史
日本に稲作が伝来したのは、縄文時代と言われている。稲作と米文化は、弥生時代に入るとさらに広がりを見せる。この頃は、まだ精米の技術はなく、玄米ないしは発芽玄米として食べられていたようだ。その後、奈良、平安時代になると玄米を精米する脱穀機が伝来し、貴族たちの間でブームになったと言われている。その後も長い間、脱穀した米、すなわち白米を食べられるのは、上流階級の人だけという時代が続く。
精米技術の発展
江戸時代になると足踏み臼や水車を使った精米機が、庶民にも広く知れ渡り、多くの人が白米を食べるようになっていった。ちなみにこの時代、「江戸患い」と呼ばれる病気が大流行した。これは脚気のことで、急な白米至上主義で今まで玄米だからこそ摂れていた栄養が不足したことにより起こったとされている。
2. 玄米の秘密

優れた栄養価
玄米と白米の差は、とにかくその栄養価にある。というのも前述の通り、白米は玄米から糠と胚芽を取り除いたもの。実はこの糠と胚芽にこそ、多くの栄養素が含まれているのだ。タンパク質、脂質、繊維、ミネラル、ビタミン、葉酸、イノシトールなど、そのすべてが白米とは比べ物にならないほど多い。
注意したいこと
とはいえ、玄米も完璧ではない。玄米は、固い表皮に覆われているので、白米に比べると格段に消化が悪い。消化機能の未熟な子供や早食いの人は、消化不良を起こし、内臓に負担をかけるケースも。さらに玄米に含まれる発芽抑制因子のアブシジン酸が、体内の代謝に悪影響を及ぼす場合も。これを防ぐには、玄米をしっかりと浸水させるか、発芽させると良い。いわゆる発芽玄米である。
発芽玄米
玄米は土に蒔くと芽吹く、いわばタネのようなもの。芽吹くパワーを引き出すことで、酵素が活性化され、タンパク質や糖分を分解して甘みや旨味が増したり、ミネラルの消化吸収が良くなる。自宅で簡単にできてオススメなのが、発芽玄米。その名の通り、発芽させた玄米だ。方法はいくつかあるが、平たいタッパーに玄米を入れ、かぶるくらいの水を入れ、1〜2日置くだけ。水は、朝晩取り替えるといい。1㎜位発芽し胚芽部分がふっくらと膨らんだらOK。あとは炊くだけだ。玄米特有のパサパサ感のない発芽玄米は、玄米嫌いの人にこそ、食べてもらいたい。
選び方
玄米は、皮まで食べる完全食。当然、農薬などが気になるという話も出てくる。玄米を美味しく、安全に食べるのであれば、ぜひ無農薬で作られているものをチョイスしよう。そもそも玄米は、白米より作業工程が少ないこともあり、同じ品種の白米と比べると安価なケースが多い。毎日食べるわけでなければ、まずは1、2kgの小さめサイズからトライしてみよう。
3. おいしい炊き方と食べ方

塩や梅でより美味しく
前述の通り、発芽玄米にすれば、すでに玄米が水分をしっかりと吸っているので、水の量や炊飯時間を増やす心配もなし。いつものコメと同様に炊き上げれば、OK。我が家では、ひとつまみ塩を入れるか、中央に梅干しを入れて炊くことが多い。この一手間で、ぐっと味わい深く、さらに食べやすくなる。
油と相性抜群
玄米は、油との相性がとてもいいので、チャーハンやピラフなどにするとさらに美味しく食べることができる。木べらなどでフライパンの底に押し付けながら、カリッとさせるのが美味しさを引き立てるコツ。梅とじゃこ、エビとパクチーとナンプラーなど、どんな具材でもOK。
茹でてサラダに
あまり知られていないが、玄米は茹でて食べることもできる。たっぷりの湯を沸かし、玄米を入れて20分ほど茹でる。この時、ニンニク1かけも一緒に茹でる。玄米がふっくらしたら、ざるにあげ、ニンニクを取り除き、ボールにトマトやセロリ、オリーブなど、刻んだお好みの野菜と一緒に入れる。あとはオリーブオイルと塩、レモンで味を整えれば完成。イタリアンパセリやパクチーなど、刻んだハーブを入れるとさらにおいしい。
結論
玄米をご飯として食べる場合は、ぜひ発芽玄米にするのが断然おすすめだ。これからの季節なら、水につけて2日ほどで発芽する。部屋の温度が暖かい場合や夏は、冷蔵庫で発芽させると安心。苦手な人にこそ、トライしてみて欲しい。