1. 食前酒の基礎

生まれ故郷
ヨーロッパでは、アペリティフと呼ばれ、嗜まれている食前酒。ラテン語で開くという意味を持つ「aperire」が語源となったようだ。18世紀頃、イタリアで飲み始められたのがきっかけで、ヨーロッパ各地に伝わったとされている。
食事の準備運動
食前酒は、これから迎える食事をより盛り上げるもの。ムードをあげる、という一因もあるが、実はそれ以外に大きな役割がある。それが準備運動としての効果。食事の前に、アルコールを摂取すると胃が刺激され、食欲を増進する効果があるのだ。シャンパンが食前酒に選ばれる理由は、比較的低アルコールで、食欲を増進させる発泡性だから。味わいもすっきりとしていて、これからの食事を邪魔することがない。
食事の流儀
ヨーロッパでは食前酒を嗜むのは、食事をする際の流儀としても浸透している。会話を弾ませたり、デートなら気分を盛り上げたり、その要素は様々だが、バーで少量のお酒を1,2杯飲んでからレストランへ赴く、なんてことが日常的。そのほかレストランの入り口にバーがあるというケースもあるし、着席してからまずは1杯というパターンも。
2. 食前酒の種類

ワイン系のカクテル
日本で人気の食前酒は、ミモザやキールなど、白ワインベースのものが多い。ちなみにミモザはシャンパンベースのカクテルで、オレンジジュースが入っているので、お酒が苦手な人でも飲みやすい。キールは、白ワインにカシスリキュールを加えたもの。こちらもさっぱりとしていて飲みやすい。
ソーダ系のカクテル
ソーダ系のカクテルも食前酒にぴったり。ジントニックやカンパリソーダ、スーズトニックなどもいいだろう。ちなみにスーズはフランス原産のリキュールで、ゲンチアナという植物の根が原材料。消化を促す効果があるとされ、味わいも少し薬草的だが、すっきりとしていて、食事の前におすすめ。
シャンパンやビール
前述の通り、発泡性のものは、食欲増進の効果があり、食前酒向き。なんとなく、レストランではシャンパンやビールから始めていた、というのはあながち間違いでもないのだ。シャンパンはもちろん、近頃ではクラフトビールを始め、様々なビールを揃えているケースがあるので、フルーティーなものをチョイスするのもいいかもしれない。
3. 食後酒の基礎

食事の整理体操
食後の余韻を楽しむために飲むとされる食後酒は、フランス語でディジェスティフと呼ばれている。アルコール度数の強いお酒を飲むことで、胃をより活発に活動させ、ひいては消化を後押しするという意味合いで飲まれてきた、食後の整理体操ともいうべき存在。
チョイスのコツ
食前酒とは対照的に、アルコール度数が高めで、食事の満足度をぐっと上げてくれるようなこっくりと甘いものを選ぶのが一般的。アルコール度数が高いこともあり、ゆっくりと飲むのが正解。
4. 食後酒の種類

コニャックやカルヴァドス
どちらもフランスのブランデーで、コニャックはぶどう、カルヴァドスはリンゴが原料。香り高く、こっくりとまろやかな舌触りと味わいは、まさに食後酒に最適。デザートと合わせても美味しくいただける。
デザートワイン
その名の通り、甘く、デザートのような感覚で飲むことができるワイン。様々な方法で糖度をあげたワインで、とろみある舌触りと甘さが特徴。ポルトガル生まれのポートワインやフランスやドイツで生産される貴腐ワインなどが、これにあたる。美しい色合いを楽しむのもオツ。
リモンチェッロ
イタリア生まれのリモンチェッロは、レモンが香るリキュール。もともと、家庭で作られていたこともあり、近頃では日本でも自家製にハマる人が多い。少量をストレートで飲むのがオススメ。
結論
食前酒も食後酒も食事をより盛り上げるものなので、ガブガブ飲むのは避けたい。あくまでもスマートに徹するのが正解。こちらで紹介したものは、定番のもの。自分の好みで色々試してみるといいかもしれない。