1. 鯛のウロコ引きから内臓を取るまで

魚の内臓を取り除くときは、まな板の上ではなく、新聞を敷いた上で行なうと片付けが簡単である。内臓や血合いが付いた新聞を、丸めて捨てられるからだ。
■ウロコを取る
魚のウロコは、包丁の刃先で取り除くか、専用の器具であるウロコ引きを使う。鯛のウロコは大きくて硬いため、ウロコ引きの方が使いやすいだろう。頭を手で軽くおさえ、尾から頭の方向へウロコ引きを動かす。ヒレの付け根や、腹側のウロコが残りやすいため注意しよう。ウロコ引きが家庭にない場合は、大根の切れ端を使う方法もある。大根にウロコが刺さるため、周囲に飛び散ることが少ない。
■エラと内臓を取る
エラと内臓を取るときは、頭を付けたままか、頭を落としてから取る方法がある。頭を付けたまま取る場合は、鯛の腹を上へ向け、エラぶたを広げて包丁の刃先を入れ、エラと身が付いている部分を切り離す。次に、頭を右、尾を左にして、かま下から肛門まで包丁を入れ、エラと内臓を一緒に取り出そう。姿焼きや姿煮にする場合は、頭を付けたまま調理する。頭を先に落とす場合は、頭を右、尾を左にして、頭の付け根から胸ビレの下まで包丁を斜めにして中骨まで切り込みを入れる。鯛を裏返して、同様に包丁を入れて頭を切り落とす。そのあと、肛門まで切り込みを入れて内臓を取り除こう。
■水で洗う
ボウルに水をためて、残ったワタや血合いを取り除く。鯛などの大型魚は、竹でできたササラなどを使うと、汚れが取れやすい。汚れが取れたら、流水で洗い流し、清潔な布巾やペーパータオルで水気を拭き取る。
2. 身を切り分けるまで

丸のまま鯛を使わない場合は、身を切り分ける。一般的な魚の3枚おろしと同じ手順で行なうが、サイズが大きいと包丁で1度に切り分けられないことがある。少しずつ切り分けよう。
■中骨と身を剥がす
頭側を右、尾を左にして斜め45°くらいに置く。腹から尾まで中骨に沿って包丁で切り込みを入れよう。何度か包丁を入れて、少しずつ脊柱まで切り進める。次に、頭側を左、尾を右にして斜め45°にして置き、尾の付け根に切り込みを入れる。中骨に沿って背に切り込みを入れ、脊柱まで切り込みを何度か入れていく。最後に、腹骨を脊柱から切り落として片身を剥がす。身を裏返して、頭側を左、尾を右にして置き、背から中骨に沿って包丁を入れる。尾の手前に切り込みを入れたら、身を回転させて、頭を右、尾を左にして置く。脊柱から腹骨を切り落とし、中骨に沿って切り込みを入れて身を剥がす。
■腹骨・中骨を取る
腹骨を包丁でそぎ取る。身の中央に線のように入っているラインは血合いで、ここに中骨が入っている。血合いに沿って包丁を入れて切り分け、血合い部分を切り落とすと、骨も一緒に取り除ける。身を大きなまま使いたい場合は、毛抜きのような骨抜きで、1本ずつ抜いて取り除こう。もう1つの身も同様に行う。皮を付けたまま調理する場合は、ここで完了だ。
■皮引き
刺身にするなど、皮を取り除く場合は、皮引きを行う。皮を下にして、身と皮へ切り込みを入れる。皮を手で持って固定して、包丁の刃と皮を平行にしてスライドさせて皮と身を取り除く。
3. 頭を兜割りにする方法

切り落とした頭を切り分けることを兜割り(かぶとわり)と言う。兜割りにしたら、煮付けて兜煮にしよう。鯛の頭は、口を上にして置き、ぐらつかないように安定させる。包丁の刃を頭側にして、口へ挿し込み、包丁の先をまな板に付ける。頭が動かないように注意しながら、包丁の刃を傾けて、頭が半分になるように切る。頭を広げたら、アゴ部分を切り離し、エラぶたの部分とカマも切り離す。目と口の間に包丁を入れ、目の周りが四角になるように割ったら完成だ。頭は硬いため、切れない包丁だと刃が入らないことがある。よく研いでおくことがおすすめだ。ケガをしないように、注意して作業しよう。
結論
鯛のおろし方は、そのほかの魚の3枚おろしと基本的に同じである。しかしサイズが大きいために、1度では切り分けられず、少しずつ切り込みを入れる。よく切れる包丁を用意して、鯛をおろしてみてほしい。