1. マルメロ=西洋カリンが原料

マルメロとは日本では西洋カリンと呼ばれる果物で、大人の握りこぶしくらいの大きさがある。旬の秋には熟したマルメロの実からまるで金木犀のような甘い芳香が漂う。
スペインでは欠かせない食材
スペイン人にとってスペインチーズとメンブリージョは最高の組み合わせである。日本人にはマルメロの馴染みはあまりないかもしれないが、マルメロはギリシャ神話で愛と美の女神アフロディーテに捧げられた果物だ。繊維が多く非常に酸っぱいので現地でも生食することはまずないが、主に加工食品の原材料として使われており、そのよい香りも大変愛されている。
固形のジャム
メンブリージョはマルメロのジャムの一種だが、砂糖とレモン果汁を入れて煮詰め、固めてある。薄くスライスするのが容易で、質感としては羊羹に似ている。マルメロは酸味が強いので、メンブリージョにも酸味があり、爽やかな味わいだ。
2. チーズとのマリアージュ

メンブリージョは定番の食べ方であるチーズと楽しむのが一番のおすすめだ。本場スペインでは必ずセットで登場する。
スペインチーズはあまり輸出されない?
メンブリージョがあまり有名ではない理由のひとつに、スペインチーズの輸出が少ないことが挙げられる。スペインには、たくさんのチーズがあるのだが、実はほとんどが自国内で消費されてしまうのだ。このため、なかなかスペインチーズの魅力が日本に浸透していないため、メンブリージョも知られていないのだろう。
チーズと合わせて食べるのが定番
スペインのチーズ売場にはメンブリージョも必ず並んでいる。甘みはしつこくなく、果実感が強いみずみずしい味わいだ。甘さはあっても、酸味が強く後に残らないため、塩気のあるチーズとの相性が抜群である。メンブリージョはチーズと同じくらいの厚さのスライスが最適。砂糖ぬきのものや、はちみつを用いたもの、オレンジの果肉入りなどもある。
3. おすすめの食べ方

さまざまな種類があるスペインチーズ。メンブリージョは、いずれも美味しく組み合わせることができる。
クセのないチーズと合わせてデザートに
スペインのガリシア地方では、「乳房の形」で有名なスペインチーズ代表の「ケソデテティーヤ」が作られている。ケソデテティーヤは柔らかく、塩味でクセが無いマイルドなチーズで、メンブリージョのシャリッとした食感との対比が絶妙だ。食後のデザートにもおすすめの組み合わせである。
しっかり風味のチーズと合わせてワインと楽しむ
小説「ドン・キホーテ」に登場する、ラマンチャ地方で有名な「マンチェゴチーズ」や、ヨーロッパの食の遺産に登録されたバスク地方のスモークチーズ「イディアサバㇽ」。旨みが強い反面、ややクセもある通好みのチーズだが、メンブリージョはこれらの独特のクセをマイルドにして大変美味しく食べやすくしてくれる。旨みや、塩気が強いチーズと合わせると、ワインのおともにぴったりだ。
生ハムとも相性がよい
メンブリージョは甘さ、食感、爽やかさをプラスしてくれるので、チーズと合わせる以外にも利用してみよう。塩気の強い食品と合うため、生ハムと合わせても美味しい。スペインではジャムタルトにしたり、ヨーグルトに入れて楽しむこともある。
結論
マルメロは「かりんのど飴」に入っている花梨と同じように消炎効果、豊富な食物繊維とカリウムで便秘にも効果的である。実は、日本にも熊本に「かせいだ」という名前の南蛮菓子として入ってきているのだ。もしスペインチーズを通販で購入する機会があれば、メンブリージョも一緒に購入してみよう。