1. 色合いが特徴的なお茶

■オータムナル
インド生産される紅茶の約半分はアッサムである。収穫される時期によって、水色の変化が楽しめる。オータムナルは、秋ごろに収穫されたもので、水色が深紅である。やや渋みが強くなるが、ミルクティーにすると芳醇な香りが一層引き立つ。ちなみに、アッサムで一番美味しいとされるのが、オータムナルの収穫前のシーズンの、セカンドフラッシュである。
■ハイビスカスティー
紅ルビー色で、酸味が特徴である。エジプトでは、カルカデと呼ばれている。ビタミンとクエン酸、カリウムを多く含む、暑い国ならではのお茶である。ハイビスカスという名前がついているが、実はローゼルという花である。日本では沖縄で栽培されており、11月~12月が出荷のピークだ。
■ピュアダージリン
数あるダージリンの中でも、インド西ベンガル州ダージリンで生産されたものだけを、ピュアダージリンと呼ぶ。一番茶は貴重で、バラ・スズランといった花の香りがする。水色は鮮やかな橙色が特徴的で、味は渋めである。
2. お茶は薬?世界の甘い茶

■アッツアイ
モロッコのアッツアイは、ミントをふんだんに使った苦甘いお茶だ。1杯当たりに使う砂糖は10g前後だからかなり甘い。こちらの地域は、料理に砂糖を使う文化がないため、お茶の時間に甘いものを摂る。特徴的なのは、お茶を高い位置から、グラスに注ぐスタイル。砂漠のある国ならではで、注ぐと気泡が立ち、飛んでくるホコリが混じっても簡単にすくい取れ、飲みやすい温度になる。
■アーティチョーク茶
ベトナムでは、蓮茶も有名であるが、アーティチョーク茶も忘れてはならない。アーティチョーク茶は、苦みが好きな人は癖になる味だ。肝臓によく効くとされていて、お酒好きには欠かせないお茶なのだ。
■テチュ茶
乾燥させたなつめの実をじっくりと煮込み、たっぷりの砂糖・はちみつで漬け込んだものに、お湯を注いで飲むお茶である。生のなつめの果実は、リンゴのような風味・食味がある。漢方にも使われている。
3. まるまる食べることができるお茶

■八宝茶
中国のお茶で具材は各家庭によって異なる。基本となる具材は、主に中国緑茶・干しブドウ・菊花・サンザシ・クコの実・氷砂糖の6種類に、杏子・ジャスミン・なつめ・陳皮・ハマナス・白きくらげなどあるものを入れる。日本では、お茶に入っている具を食べる風習はあまりないが、漢方でも使われる具材が入っているので、飲んだ後に食べることもできる。
■ラペソー
ミャンマーのお茶の発酵食品である。ニンニクや干しエビなどで漬け込んだものだ。お茶うけにつまんだり、ほかの野菜などと和えれば、おかずにもなる。やや酸味がある。
4. フレーバーティーの元祖

フレーバーティーは、花や果物などのエッセンスをつけたもの、ピールを茶葉に混ぜたものである。今でこそたくさんの種類が出ているが、元祖のフレーバーティーは、大変高価なものであった。ちなみに、人気があるフレーバーティーは、ピーチやパッションフルーツ・レモン・オレンジなどである。
■ラプサンスーチョン
紅茶を発酵させるときに、何度も松の煙で燻製させ香りをつけた紅茶である。ラッパのマークでおなじみの整腸剤の香りがする。このラプサンスーチョンが作られている中国福建省のプイサンは、初めて紅茶が作られた場所といわれている。
■アールグレイ
紅茶にミカン科の植物のベルガモットの香りをつけたものである。アールグレイは、ラプサンスーチョンの香りつけの製法を参考にして作られた。
■バニラティー
バニラの香りをお茶につけたものである。ストレートでも甘いバニラのよい香りが楽しめるが、ミルクティーにするのがおすすめだ。
結論
お茶の歴史は、中国から全世界に広まり、各国で独自の変化をとげた。流通が盛んになった今、日本にいても世界の珍しいお茶を楽しむことができる。お茶業界は、右肩上がりの市場であり、今後さらに多様化していくだろう。自分好みのお茶で、特別なひとときを味わってみてはどうだろうか。