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西洋わさびと本わさびはどう違う?特徴と正しい使い方をチェック

西洋わさびと本わさびはどう違う?特徴と正しい使い方をチェック

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)

鉛筆アイコン 2021年9月 1日

刺身や蕎麦の薬味、つけダレなど、日本料理には欠かせないのがわさびだ。わさびとは一般的に本わさびのことを指すが、西洋わさびのことはあまり知られていない。そこで本記事では、西洋わさびと本わさびの違いをさまざまな面から解説していく。特徴をおさえて、料理をより美味しく楽しむために役立てよう。

  

1. 西洋わさびとは英語のホースラディッシュのこと

もともと日本にある本わさびは、水のキレイな山間地や渓流に自生していたものだ。畑の土の中で育てられる西洋わさびは、栽培を目的に輸入されたものである。

西洋わさびの特徴

西洋わさびはフィンランドなどが原産で、レオール・レフォールとも呼ばれる。日本の本わさびに対して西洋わさびと名付けられ、本わさびより大きく、色は真っ白だ。根の性質が強く丈夫であり、本わさびよりも辛さが約1.5倍。ピリリとした刺激の強さが特徴のわさびである。

北海道では「山わさび」といわれている

国産としては現在北海道が主な生産地だが、当初は栽培のみだったものがいまでは自生しており、「山わさび」と呼ばれている。道内ではよく見かけるほど広く野生化したため、別名「アイヌわさび」とも呼ばれている。本土では加工された西洋わさびしか口にする機会はないが、北海道では気軽に新鮮な西洋わさびを食べるようだ。

2. 西洋わさびと本わさびとの違い

西洋わさびと本わさびは、それぞれ分類や産地にも違いがある。また、栄養面や味の違いについても詳しく見ていこう。

分類は同じアブラナ科

いずれも同じアブラナ科の植物だが、西洋わさびはセイヨウワサビ属、本わさびはワサビ属に分類される。また、原産地は西洋わさびが東ヨーロッパであるのに対し、本わさびは日本を含む東洋である。西洋わさびは北海道でも生産されているが、中国からも多く輸入されている。一方、本わさびの産地は、主に長野県や静岡県だ。

成分やカロリーの違い

西洋わさびと山わさび、それぞれに含まれる栄養成分やカロリーについて、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※1、2)で公表されている100g当たりのデータをもとに比較してみよう。
  • カロリー:西洋わさび69kcal, 本わさび89kcal
  • 水分:西洋わさび77.3g, 本わさび74.2g
  • たんぱく質:西洋わさび3.1g, 本わさび5.6g
  • 脂質:西洋わさび0.3g, 本わさび0.2g
  • 炭水化物:西洋わさび17.7g, 本わさび18.4g
  • 糖質:西洋わさび9.5g, 本わさび14.0g
西洋わさびのカロリーは、本わさびよりも20kcal少ない。水分量や脂質量、炭水化物量には大きな差がないが、たんぱく質が2.5g少ないことが理由として考えられる。
さらに、大きく関係していえるのが、糖質量の差だ。糖質量は炭水化物から食物繊維を差し引いて計算される。西洋わさびと本わさびの炭水化物量の差は0.7gと微量だが、糖質量には5.5gという差がある。これは、西洋わさびに本わさびの約2倍量の食物繊維が含まれているからだ。
ビタミン・ミネラル類に関しても、違いがある。西洋わさびには本わさびの約2倍の葉酸が含まれており、ナトリウムは本わさびのわずか1/24の量だ。一方、本わさびには西洋わさびにはないビタミンKが含まれており、どちらが優れているとは一概にいえない。

味や香りの違い

西洋わさびも本わさびも辛み成分はアリルからし油である。ただ、西洋わさびは本わさびの1.5倍くらいの辛さがあり、加工わさびの原料になることもある。香りは大きく違い、本わさびは香り成分が西洋わさびに比べたくさん入っていて、さわやかで甘い香りがするのが特徴である。
そのため、使い方にも違いがある。西洋わさびには強い辛みを生かした食べ方が向いているため、肉や魚の薬味、ソースの材料などの使い方がおすすめだ。本わさびも薬味に使えるが、甘みがあり風味がよいため、薬味にする際にはコツがある。風味を損なわないために、醤油や麺つゆに溶かすのではなく、刺身や蕎麦に直接のせて食べるとよい。

3. 市販のわさびチューブの中身は西洋わさび

西洋わさびというと何やら聞きなれない感じがするのだが、わたしたちは加工したものを日常的によく口にしている。実は市販のチューブ練りわさびのほとんどを支えているのが、本わさびではなく西洋わさびなのだ。

本わさびは加工商品に不向き

日本では昔から本わさびの風味を愛し、刺身や寿司と食べていた。本来のわさびは、根をすりおろしてその場でいただくものだ。
本わさびの香りや辛みはすぐに飛んでしまうので、その場でしか味わえない。また、食べられるサイズになるまではキレイな水がある場所で2~3年かかり、根もそんなに大きなものではない。

西洋わさびがチューブ入りわさびに使用される理由

繊細なわさびをもっと手軽に、料理店でおろすのではなく家庭でも気軽に食べられるようになったのは、「加工わさび」のおかげである。原型である粉わさびは大正初期に発売され、そこから現在のチューブ入り練りわさびまで進化してきた。この加工に欠かせないのが西洋わさびだ。辛みが本わさびの1.5倍、根が大きく性質も丈夫な西洋わさびは、加工のしやすさ・安価さが相まってチューブわさびの主力となった。色や風味は人工添加で補っている。

「本わさび使用」と「本わさび入り」の違い

市販のチューブ入り練りわさびを見比べてみると、「本わさび使用」「本わさび入り」という2種類の異なる表記が見られる。どちらを選べばよいのか迷いそうだが、これらの表記は本わさびの割合の違いを示していると覚えておこう。日本加工わさび協会では、原料のわさびのうち本わさびを50%以上使用した商品に「本わさび使用」、また50%未満のものには「本わさび入り」と表示するよう統一基準を定めているのだ。

4. 西洋わさびの大定番はローストビーフのホースラディッシュソース

市販品を買うとソースに西洋わさびがついてくるくらい、ローストビーフとの相性がいい。本わさびは甘みが強いが西洋わさびは辛みが強くさわやかで、あっさりしているので西洋料理によく合うのだ。ピリッとした刺激はアクセントになるし、肉料理のソースに好相性だ。

ホースラディッシュソースの作り方

ホースラディッシュソースは、すりおろした西洋わさびとほかの材料を混ぜ合わせるだけで、簡単に作ることができる。西洋わさびと組み合わせる材料には、次のようなパターンがある。
  • サワークリーム、マヨネーズ、砂糖、塩、こしょう、レモン汁
  • ヨーグルト、塩、こしょう、オリーブオイル
  • マヨネーズ、醤油
  • 生クリーム、粗挽きマスタード、レモン汁、塩、こしょう
生クリームを使用する場合は、混ぜ合わせる前に軽く泡立てておくことで、口当たりのよいソースができる。また、それぞれの組み合わせにさらに材料を追加するのもおすすめだ。さっぱりさせたい場合はレモン汁、コクを出したいならブイヨンなど、好みで材料を足してアレンジしてもよいだろう。ディルやパセリなどのハーブを加えると風味がよくなる。できたソースが硬すぎる場合は、湯などで調整してみよう。

5. 西洋わさびのその他の食べ方

ローストビーフのソースにぴったりな西洋わさびだが、ほかにはどのような食べ方ができるのだろうか。西洋わさびの美味しい食べ方について、紹介していく。

ホースラディッシュソースの使い方

ローストビーフで余ったソースは、魚介類やチーズ、野菜などともよく合う。白身魚のムニエルのソース、サラダのドレッシング、ディップ、サンドイッチのスプレッドなどに使っても美味しい。

北海道では和食にも

西洋料理だけとは限らない。国産の本場、北海道では、西洋わさびを粗くおろして醤油をかけ、ごはんにのせて食べる。
卵かけごはんの薬味としても最高だそうだ。濃い目の味付けによく合う。オイル系とも相性がいいので、ツナ缶やカルパッチョとの組み合わせにもピッタリである。

西洋わさびの葉は食べられる?

西洋わさびは、葉にもピリッとした辛みがあり食べることができる。わさび菜と間違えられることもあるが、わさび菜はアブラナ科アブラナ属の植物で、からし菜の変異種である。若い葉はサラダなどにも使えるが、成長したものはアクが強いため醤油漬けや味噌漬けにするのがおすすめだ。アク抜きした葉を醤油、みりん、酒、砂糖などを混ぜたものに漬け込み、ごはんのおともとして食べよう。

6. 育て方は簡単?西洋わさびの栽培方法

西洋わさびは、自生する力が強いため家庭菜園で育てることもできる。地植えはもちろん、プランターでも栽培できるため、挑戦してみてはいかがだろう。プランターで育てる基本の栽培方法を紹介する。

西洋わさびの育て方

植え付けは3~5月が適している。プランターに鉢底ネットと鉢底石を敷き、野菜用培養土を入れる。苗もしくは種球(根のうえの部分)を植え付ける。複数植える場合は、株同士の間隔を30cmほど空けよう。また、根を太く育てるには、30~40cmほどの十分な深さを確保するのもポイントだ。
西洋わさびは水はけのよい半日陰を好むが、水切れを起こすと葉がしなびてしまう。土が乾いたらたっぷり水を与えよう。根が土から出てしまわないよう、こまめに土寄せをすることも大切である。

収穫

根が十分に育ったら、収穫しよう。葉が黄色く枯れ始めてきた頃が目安となる。収穫時期は、11~3月頃だ。根の上の部分を3cmほど切り取れば、種球として再度植え付け育てることができる。

苗はどこで買える?

園芸店などで販売されているが、あまり一般的な野菜ではないため、ネットショップなどを利用するのが確実だ。また、苗よりも種球のほうが比較的入手しやすい。苗からのほうがより簡単に育てられるが、入手が難しい場合は種球から育ててみるのもよいだろう。

7. 西洋わさびの入手方法と保存方法

チューブ入り練りわさびではなく、生の西洋わさびを食べてみたいと思った人も多いのではないだろうか。栽培もよいがすぐに食べたい場合は、西洋わさびの入手方法を知っておきたいところだ。また、最後まで美味しく食べきるために正しい保存方法もおさえておこう。

西洋わさびはスーパーで販売している?

西洋わさびは中国からの輸入品が多く、通年流通している。ただし、国産のものはスーパーなどではなかなか入手できないかもしれない。主な産地である北海道ではスーパーでも西洋わさびが販売されているが、それ以外の地域は通販を利用するのがおすすめだ。北海道から新鮮な西洋わさびを直送してくれるネットショップが複数ある。ただし、旬である11~3月頃以外の時期は入荷が不安定になる可能性があるため、旬の時期に利用するとよいだろう。

西洋わさびの冷蔵保存方法

西洋わさびを冷蔵保存する際は、新聞紙にくるむ、ジッパー付き保存袋などに入れるなど、乾燥を避けることに配慮しよう。意外かもしれないが、そうすることで1~2ヶ月程度保存できる。
本わさびはそこまで冷蔵保存できない。西洋わさびは、デリケートな本わさびに比べて生命力が強いこともあり、タフなのだ。

西洋わさびの冷凍保存・解凍方法

西洋わさびは冷凍保存に向いている。しかし、そのまま冷凍保存するのはよくない。空気にできるだけ触れないよう、ラップなどで包んでから冷凍庫に入れて保存をするようにしよう。本わさびでも冷凍保存する際は、同様の策が必要だ。
ちなみに、すりおろしてから時間が経つと香りが飛んでしまうので、まるごと冷凍保存し、直前にすりおろすことが推奨されている。しかし、すりおろしを冷凍したものが市販されているのも事実である。
冷凍した西洋わさびは、解凍しないでそのまますりおろして使う方法が適している。すりおろしたものは細かくなっているため、すぐに解凍できるだろう。本体部分については、室温で解凍されないうちに、使い終わったらすぐに冷凍庫に戻しておくのがよい。本わさびも同様の方法で使用できる。

結論

西洋わさびと本わさびには、見た目や味、栄養成分などさまざまな違いがあることがわかった。また、チューブ入り練りわさびの主原料は西洋わさびであることや、表記の違いの意味などあまり知られていないことも多い。それぞれの特徴を生かして、ぜひ使い分けてみてほしい。
(参考文献)
※1 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類/ホースラディシュ/根茎/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06270_7
※2 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類/わさび/根茎/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06322_7
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  • 公開日:

    2018年8月 1日

  • 更新日:

    2021年9月 1日

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