1. 舞茸の種類

■天然舞茸
野生の舞茸は、秋にブナ科の樹木(ミズナラ、コナラ、カシ、シイ)の根元などに発生する。基部から太い茎が分岐して広がり、扇状のカサが幾重にも連なって大型の株を形成、1本の木に20kg~50kgもの塊になって生えていることもあるという。ただ山の奥深くまで分け入っても中々見つからず、「発生場所は家族にすら明かさない」といわれるほど希少なため、長年「幻のきのこ」として扱われてきた。天然のものは肉質が緻密で歯応えが強く、濃厚な香りと豊かな味わいが特長だ。
■原木栽培
春先、培地となる原木(ミズナラやコナラ)を10 cm~30cmサイズに裁断して殺菌し、舞茸の種菌を接種する。培養室で3カ月~4カ月菌を蔓延させた後、水はけの良い林間や畑地の土中に埋め込み、9月~10月の発生を待つ。菌を培養する期間以降は自然に任せ、時間をかけて栽培することから、天然の舞茸に近い風味を持つ。
■天然舞茸・原木舞茸の旬/9月~11月上旬
天然舞茸は、発生する時期によってカサの色が異なる。9月上旬~下旬に発生するカサが白っぽいものを「シロフ」「ワセマイタケ」「シロマイタケ」、それより数日遅れて9月中旬~10月上旬に発生するカサが茶系のものを「チャフ」「ナカデ」「チャマイタケ」、もっとも発生が遅く濃い灰褐色のカサをもつものを「シモフ」「シモフリマイタケ」「クロマイタケ」などと呼ぶ。
カサの色が濃いほど味が濃く、高級品とされる。天然舞茸や原木舞茸はほぼ一般市場には出回らないので、旬の季節に観光地の直売場や道の駅などで見かけたり、産地直送の通信販売などで手に入れたりすることができればラッキー。少々値は張るが、一度は味わってみたい。
カサの色が濃いほど味が濃く、高級品とされる。天然舞茸や原木舞茸はほぼ一般市場には出回らないので、旬の季節に観光地の直売場や道の駅などで見かけたり、産地直送の通信販売などで手に入れたりすることができればラッキー。少々値は張るが、一度は味わってみたい。
■菌床栽培
広葉樹のオガクズにフスマやトウモロコシヌカ、ハトムギ等の栄養源を加えた培地(菌床)を作り、舞茸の種菌を接種。温度、湿度、CO2濃度などを厳密にコントロールできる施設内で培養する方法だ。天候に左右されず種菌の接種から約60日~70日という短いサイクルで収穫できるため安定した生産が可能で、国内で流通するほとんどの舞茸がこの菌床栽培によるものだ。
近年は、茎が白くカサが薄茶色の普通の舞茸とは別に、茎もカサも白い「白舞茸(シロマイタケ)」が出回るようになった。品種改良された近縁種である白舞茸はアクが少なく煮汁に色が出ることもないため、シチューやクリーム煮など白く仕上げたい料理に使われることが多い。
近年は、茎が白くカサが薄茶色の普通の舞茸とは別に、茎もカサも白い「白舞茸(シロマイタケ)」が出回るようになった。品種改良された近縁種である白舞茸はアクが少なく煮汁に色が出ることもないため、シチューやクリーム煮など白く仕上げたい料理に使われることが多い。
■菌床舞茸の旬
通年出荷されているが、最も流通量が多いのは10月から冬の終わりにかけての鍋の季節だ。
2. 舞茸の生産量と特産地

■舞茸の菌床栽培の歴史と生産量
舞茸の人工栽培は1950年代の原木栽培試験に始まり、その後生育環境などに関する研究が進むことで、現在のような菌床栽培の方法が確立された。菌床栽培による本格的な生産・供給が始まったのは1980年代初頭。以降順調に生産量を伸ばし、最新データでは年間生産量が48,523t。きのこ類の中では「えのきたけ」「ぶなしめじ」「しいたけ」に次ぐ国内第4位の生産量だ。ちなみにそれ以降の順位は「エリンギ」「なめこ」「マッシュルーム」となっている。
■舞茸の特産地
大型施設での大規模生産化が進む舞茸。このため舞茸の生産量が多いのは、きのこ作りに特化した大手企業の生産拠点がある新潟県、静岡県、福岡県。次いで長野県、北海道と続くが、1位の新潟県だけで国内全生産量の6割以上、上位5県で国内全生産量の9割以上を占める。
- データ元:農林水産省>平成28年特用林産基礎資料>品目別資料>きのこ類の生産量(合計)
3. 舞茸の選び方

石突きが付いた小さな株が1パックになっているタイプと、大きな株を切り分けた石突きのないタイプがあるが、両方ともカサの部分の色が濃く、肉厚で密集しているものが良品とされる。新鮮なものは茎やカサにハリがあり、触るとパキッと折れる。逆に茎の部分が湿っぽくしなびていたり、酸っぱい匂いがし始めたりしたら鮮度が落ちている証拠なので注意を。
4. 舞茸は洗う?洗わない?天然舞茸の「虫出し」って何?

■「栽培物」の舞茸は洗わない
前述の通り、スーパーや青果店に出回る舞茸のほぼ100%近くが、クリーンな施設で栽培されたものなので、洗わずに調理しても大丈夫。むしろ水洗いすると風味が落ち、劣化も早まる。気になる汚れがある場合のみ、湿らせたキッチンペーパーや布巾でさっと拭うだけで充分だ。
■「天然物」の舞茸は洗い、さらに虫出しを
ただし、貴重な天然舞茸が手に入ったときは話が別。天然物は茎やカサの細かいヒダの間に虫が潜んでいることがあるので、「虫出し」という作業が必要になる。
【天然舞茸の虫出しのやり方】
【天然舞茸の虫出しのやり方】
- 天然舞茸の石突きを切り落とし、株の根元から手で裂いて小房に分ける。
- ボウルに水を張って天然舞茸を浸け、浮いてきた汚れ(土や落ち葉など)を取り除く。
- 塩分濃度1%~3%程度の塩水(水1リットルに塩大さじ1杯)に浸け、15分~30分放置。
※目で見て虫穴が空いているようなら1時間程置くとなおよい。 - 塩水を捨てて流水で洗い、ザルに上げて水気を切ってから調理、または保存を。
結論
菌床栽培の舞茸は、天然のものに比べて香りや食味がまろやかでクセがなく、子供でも食べやすい。なるべく鮮度を落とさないためには、買ってきてすぐにパッケージから取り出して小房に分け、それぞれをペーパータオルなどで包んで食品保存袋に入れ、冷蔵庫で保存するとよい。