1. ババロアとは

ドイツ生まれ
ババロアの歴史を紐解くと必ずと言っていいほど出てくる国がある。それはバイエルン王国。ドイツ南部のバイエルン州は、その国の血をつぐ場所といわれている。ババロアは、そのバイエルン王国の貴族に仕えていたフランス人シェフによって考案されたスイーツだ。
カリスマシェフ直伝
当時、カリスマシェフとして名を馳せていたアントナン・カナーム、この人こそババロアの生みの親といわれている。ちなみにババロアとはフランス語でバイエルンを意味する言葉。
味わい
当時のババロアは生クリームに砂糖を加え、ゼラチンで固めたもので、今のもののように滑らかではなかったといわれている。発展の過程で、卵黄や牛乳が加えられ、より滑らかでコクのある味わいへと変化したようだ。現在ではフルーツなどを加えたレシピも多い。
2. ムースとは

名は体を表す
フランス語で泡という意味を持つムース。その名の通り、泡立てた卵白がカギとなるスイーツだ。生まれもフランスで、現地ではスイーツとしてだけでなく魚介類などで使った料理として作られることも多い。また、泡という意味を持つことから、整髪料や洗顔料などもムースと呼ばれることがある。
泡とフランス料理
フランス料理と泡は切っても切れない関係にある。なかでもムースは泡を使った代表的な調理法。ムースの原型となるものが登場したのは、1600年代。以来、400年以上もその料理法は引き継がれているのだ。
味わい
ムースは、泡立てた卵白に生クリームやフルーツのピューレ、チョコレートなどの具材を加えて、冷やし固めたもの。ゼラチンを使用していないので、ババロアに比べて口当たりはより滑らか。ふわっと口どけがいいところも特徴だ。
3. ゼリーとは

ローマ時代のゼリー
ゼリーの原型は、ローマ時代に誕生したゼラチン質を多く含む肉や魚を煮込んで作られる煮こごり料理といわれている。家庭でも手羽元などを煮込んだ際、冷えるとゼリー状に固まる。あのような状態のものだ。
スイーツへの進化
時が過ぎ、19世紀初頭になると魚や動物の骨や軟骨から食用のゼラチンが生成されるようになる。すると食事としてだけでなく、スイーツとしてのゼリーが発展した。ちなみにスイーツとしてのゼリーを作ったのも、ババロアの生みの親であるカリスマシェフ、アントナン・カナームだといわれている。
味わい
スイーツとしてのゼリーは、果汁などをゼラチンで固めたもの。アントナン・カナームが作ったゼリーは、今のものに比べるとかなり固めの仕上がりだったといわれている。現在では、冷蔵技術の発展や食の嗜好などにより、ふるふると柔らかめの食感に仕上げることも多い。
4. 3つの違い

ゼラチンありかなしか
大きな違いは、固めるためにゼラチンを使うか否か。ゼリーとババロアは材料をゼラチンで固めるのに対し、ムースは卵白を泡立てたメレンゲで固める。この違いは、食感にも大きく影響している。ゼラチン量にもよるが、総じて前者の方が食べ応えや食感があり、後者の方が口の中で溶けるような食感になる。
ゼラチン以外の凝固剤
長らく、食用としての凝固剤はゼラチンが主流だった。ゼラチンは、前述の通り、動物性のコラーゲン。現在ではゼラチン以外にも、植物性のペクチン、海藻由来の寒天やカラギーナンなども使われる。凝固剤の種類が増えたことによって、さらに幅広い種類のスイーツが楽しめるようになった。
乳製品が入るか否か
ババロアとムースは、乳製品が入るのが定番。それに対し、ゼリーはジュースやワイン、コーヒーなど、乳製品以外の素材で作られることが多い。もちろん、双方に例外もあるので、買い求める際にはチェックしよう。
結論
ババロアとムースとゼリー。似た者同士ではあるが、それぞれ特徴があることがわかった。冷菓子は、比較的簡単に作ることができる。手作りしてみるとその違いがよりよくわかるはずなので、ぜひ手作りしてみてはいかがだろうか。