1. アフリカでもっとも治安の悪い国の1つ
ナイジェリアの不思議なテーブルマナーは、国の実情と深い関係がある。経済、人口ともにアフリカ最大級の国なのだが、日本人には想像できない多民族国家だ。
泥棒どころか詐欺やテロも
ナイジェリアの旧首都ラゴスは、経済・人口に続いて治安の悪さもアフリカトップクラスといわれている。ビジネスマンには詐欺が多いことで警戒されており、「通行人は全員泥棒と思え」といわれるほどだ。テロや誘拐もおきている。刺激と誘惑が多い町のため、親は小さな子どもに対して「悪い人についていかないように、泥棒にならないように」と神経質になっているという。
民族と宗教が多様
ナイジェリア内の民族数は250以上。イスラム教徒とキリスト教徒が混在する国のため、宗教対立が激しい。テロが多発する背景にはイスラム過激派の存在もあり、複雑な環境のようだ。また、民族と宗教が多様なため食文化も細分化されており、宗教的に食肉制限があるため、食べてもいい食材が限られていることがある。
2. とにかく卵は貴重品!
多様な食文化があるナイジェリアで共通していることは、卵がたいへんな貴重品であるということだ。
鍵を掛けて管理?
個人の家庭では卵は貴重品扱いだ。鍵を掛けて管理することもあるが、卵の美味しさを知っている子どもはどうしても卵を食べたくなる。勝手に卵を食べるということは盗み食いになってしまうのだが、それでも食べたい!という誘惑に負けるほど、貧しい家庭では子どもたちが飢えている。卵が貴重品であるナイジェリアでは、こっそり卵を食べることはそのまま泥棒になってしまうのだ。
卵料理は少ない
宗教の関係で食べられない肉がある一方、羊や鶏は食べてもいい畜肉で、親鳥は主に食用だ。全体的に食糧難のため、鶏は卵を産む前に食用として食べられてしまう。また、卵料理はあってもよく加熱した茹で卵がメインで、半熟や生はもってのほかである。衛生面の不安があるので食中毒防止のためよく加熱するのだが、こういった面からも子どもに卵を禁止しているのかもしれない。
3. ナイジェリアの名物料理とは
南部と北部で大きな差があり、貧困と宗教制限から、肉料理を食べられるのは富裕層だ。主食は芋である。
2大主食は「アギディ」と「インニャム」
ナイジェリアの主食はペースト状のことが多く、日本の餅に似ている。アギディとは、トウモロコシの粉であるコーンスターチを練って冷やし固めたものだ。インニャムはヤムイモが原料となっている。また、「モイモイ」という豆のペーストを蒸して固めた料理があるが、これには魚肉や茹で卵が入ることがある。
お酒のお供は辛い
ナイジェリア料理はアフリカの中でも辛みが強いことが特徴だ。羊肉を使った「ペペスープ」はよく飲まれているスープだが、かなりスパイシーである。「スヤ」という肉の串焼きも辛みでアクセントをつけている。魚はナマズなどの川魚が多く、ナイジェリアビールの「スター」と合わせて、肉や卵は大人だけの贅沢品として食べられることが多い。
結論
卵は栄養価が高く、成長期の子どもには欠かせない食材だ。日本ではアレルギーがない限り、良質なたんぱく源として子どもに気軽に卵を与えられる。しかし、卵が入手しやすい国ばかりではない。「子どもが卵を食べると泥棒になる」というのは、卵がたいへんな貴重品である国ならではの悲しいテーブルマナーである。日本の豊かな食生活に感謝して、毎日の食事を丁寧にいただきたいものだ。