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かき氷シロップは全部同じ味?なぜ味に違いがあると感じるのか

かき氷シロップは全部同じ味?なぜ味に違いがあると感じるのか

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年8月13日

夏が近づいてくると、ひんやりとしたかき氷を食べたくなる方も多いだろう。かき氷には、さまざまな味のシロップから好みのものを選べる楽しさがある。しかし、そのシロップは本当に違う味なのだろうか。今回はかき氷シロップの原材料と、人間の錯覚について調べてみた。

  

1. かき氷シロップはすべて同じ味?

かき氷シロップにはさまざまな味が用意されている。ポピュラーなものはイチゴ、レモン、メロン、ブルーハワイ、抹茶だろう。しかし、この5つのうち種類が明確に違うのは、抹茶だけだという事実をご存知だろうか。

・かき氷シロップの原材料

メーカーによって多少の違いはあるものの、ぶどう糖果糖液糖、香料、酸味料、保存料、着色料の5つがかき氷シロップの基本的な原材料だ。抹茶味はこれらの材料に、抹茶パウダーが加えられている。

・味に違いはあるのか

結論から言うと、抹茶以外に明確な味の違いはないようだ。基本的にどのかき氷シロップも同じ原材料で作られている。違いがあるのは、香料と着色料のみだ。イチゴは赤色の合成着色料、または赤色の植物由来の色素を用いている。そこに酸味料を加えて、果物の酸味を再現しているのだ。そのほかのシロップも同じである。ただし、抹茶は抹茶パウダーを加えているので味に違いがあるのだ。それぞれのシロップを味覚センサーで測定してみたところ、際立った違いが見られなかったという実験データもある。

2. なぜかき氷シロップを違う味だと勘違いしてしまうのか

人間はものを食べるとき、視覚と嗅覚に頼っている部分が大きい。そのメカニズムについて説明しよう。

・まずは視覚で食物の情報を得る

人間は食べる前、まず視覚で情報を得る。この食べ物はどのような形や色をしているのか認識し、硬さや食感までイメージするのだ。視覚で得る情報はこれまでの経験に基づいている。たとえばイチゴ=赤とインプットされているので、赤いかき氷を見ればイチゴ味だと思い込んでしまうのだ。試しにシロップの色を確認せずにかき氷を食べると、何の味か分からなくなるだろう。今田純雄著『食べることの心理学』に興味深いデータがあったので紹介しよう。オレンジジュースを濃い茶色に着色したとき、正しくオレンジジュースだと判断できるかという実験を行った。すると正答率は56%にとどまったという結果になったのだ。

・嗅覚は味覚と密接な関係にある

風邪で鼻が詰まっているとき、食べ物の味を感じにくくなったという経験はないだろうか。嗅覚は味覚を感じるための大切な感覚なのだ。食べ物の臭いを鼻の奥の細胞が感知し、その情報が脳に伝わることで味を区別している。鼻が詰まると味が感じにくいのは、臭いが感じ取れなくなり、情報の判断が遅くなってしまうからだ。かき氷シロップに用いられている香料は各果物に近づけているため、臭いで別の味だと勘違いしてしまう。もし、香料が用いられていなかったら、何のフレーバーか分からなくなるだろう。

3. 同じ材料で味に違いを感じる食べ物はかき氷以外にもある

無果汁の炭酸飲料も同じメカニズムでできている。たとえば某大手飲料メーカーの人気炭酸飲料。代表的な味がオレンジとグレープだ。現在は果汁入りにリニューアルされているが、一昔前まで無果汁だった。ほぼ同じ原材料の飲料水に、異なる着色料と果汁フレーバーを用いることで味に違いを生み出していたのだ。無果汁のフルーツキャンディーや、駄菓子なども同様のメカニズムが用いられている。これらの商品は、人間が味を感知する仕組みを利用した、科学の力の結晶といえるだろう。

結論

同じ材料なのに違う味だと勘違いしてしまうメカニズムがお分かりいただけただろうか。我々が気づいていないだけで、実はもっと多くの食べ物に同様のメカニズムが用いられているだろう。食べ物をいただく前、少し気にしてみてはいかがだろうか。新たな発見があるかもしれない。

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  • 公開日:

    2018年8月11日

  • 更新日:

    2021年8月13日

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