1. 場所のグレードに合わせる

フランスは食へのマナー意識が高い国で、その場に合わせたルールの使い分けをしている。暗黙の了解があり、通常レストランでは支払いまで一定の流れがある。
フルコースは特にテーブル会計
フランスには単品注文ができる大衆食堂があり、そういった店では割り勘も見かけることがある。お会計はレジで行うことが多い。しかし、レストランで圧倒的に多いのはテーブル会計だ。グレードが高い店はお客に常に注意を払っているので、会計時には目を合わせるだけでタイミングよくテーブルまで来てくれる。例えデートでも複数人の食事でも、その場で割り勘し始めるのはレストランに大迷惑。公の場で割り勘することは「ヤボ」だと思われるので、誰かが代表して支払うのが暗黙の了解だ。
男性が払う
欧米では男性が一家の家計を管理することが多く、レストランなどでは男性が支払うもの、というのが常識だ。このため、給仕も当然のように男性側にお会計を持って来る。後述するが、例え割り勘が当たり前のカップルでも、支払う瞬間はすべて男性が取り仕切ることになる。
2. 独立、平等精神が強く、支払いも同等

フランス人には仕事や生活に関して「男だから」「女だから」という発想がない。公の場ではルールを重んじるが、独立と平等の意識が高く、支払いも同等と考える場合が多い。
生活費もデート費用も割り勘が当たり前
レストランなどでの支払いは、男性がするのがスマートな行為とみなされる。しかし日常における費用の感覚は割り勘が当たり前だ。フランスではほとんどの夫婦は共働きで、デートでかかった費用や交通費も割り勘が当然だ。複数人で遊びに行くときも、その場の全員で平等に割り勘することはよくある。
お金だけでなく家事や育児も平等
日本では、女性に対して割り勘にしたり奢らない男性を「ケチ」という傾向があるようだ。フランスでは支払いだけでなく家事全般、料理や掃除すべてが半分ずつの負担である。日本のように専業主婦という感覚はありえないようで、平等なのはお金だけではない。このため、割り勘にしても特に不満がでないというわけだ。
3. 実際の使い分け

とはいえ、やはり公の場で割り勘にするのは無粋でヤボ。どのような支払方法が一番スマートなのだろうか。
テーブル会計を頭に入れておく
カジュアルな店でない場合、ほぼ間違いなく給仕を呼んでテーブル会計をする。日本のフレンチレストランなら、どのような会計方法なのか事前に調べておきたい。複数人の場合は誰が支払うか決めておくといいだろう。デートの場合は、女性が食後に化粧室へ立ったタイミングで会計を済ませるとベストだ。ハイクラスな店ほど、退店までスムーズになるよう心掛けたい。
ビジネスとプライベート
基本的に男女平等とはいえ、ビジネスシーンでは男性側がサッと会計するのがマナーである。ホテルのロビーでミーティングをした場合などは男性が出そう。フランス人女性と仕事する機会があったら、絶対に割り勘などと言わないように。逆にデートで日本のように全額費用を負担すると、下心丸出しととられることがあるため、注意する必要がある。
結論
フランスでは精神的には平等意識が高いため、日本のように男性ばかりが費用負担するということは少ない。しかし、それとレストランでの会計はまた別物だ。もしフランス料理のコースを食べに行く機会があったら、女性が席を立った隙に会計してしまおう。フレンチには食事だけでなく、所作までマナーが求められるのである。