1. 日本近海で捕れる大型の魚
真鯛は、スズキ目タイ科の魚で、日本近海に生息している。生息する範囲は広く、北海道から九州にかけての日本海、太平洋、東シナ海、南シナ海までだ。真鯛の寿命は長く20年以上とされ、体長100cmを超えるものもいる。スーパーなどでは、切り身で見かけることが多く、体長30~70cmの鯛がほとんどである。
■真鯛の漁獲量
真鯛は養殖も盛んで、安価で手に入るようになってきた。養殖物は、天然物に比べると味が落ちるとか、脂が乗っていて美味しいなど評価はさまざまである。農林水産省が公表した「平成28年漁業・養殖業生産統計」を見ると、真鯛の漁獲量で全国1位は長崎、2位は福岡、3位は山口である。養殖では1位が愛媛、2位は熊本、3位は三重と高知だ。全国の漁獲量は、天然が15,000t、養殖が67,200tで、天然物は2割、養殖が8割となっている。
■真鯛の産卵期
真鯛は雌雄同体の魚で、雌の時期と雄の時期がある。産卵に適する水温は14℃前後とされており、南から産卵期が始まる。南の暖かい地域では2月ごろから産卵期となり、寒い地方では6~7月ごろである。産卵するのは4~10歳ごろの鯛で、毎年産卵する。浅い砂泥地や沿岸の藻場に産卵し、稚魚の間はプランクトンやオキアミなどを食べる。成魚になると、水深30~200mくらいの場所に生息し、季節によって移動している。
2. 鯛が美味しい旬の季節は2回
日本近海にいる鯛は1年中捕れるが、春と秋が美味しい時期とされている。春に漁獲される産卵前の鯛は「桜鯛」、秋の時期は「モミジ鯛」と呼ぶ。
■産卵期の鯛
桜鯛は、産卵のために浅瀬へやってくるため漁獲量が増える。その時期は、入学などの門出と重なることから、需要が増える時期でもある。桜鯛の味は、産卵前のためエネルギーを卵に取られて美味しくないといわれたり、逆に子を産む準備をしてエサを豊富に食べているから美味しいなどといわれたりしている。産卵の時期は個体によって異なるため、産卵前か産卵後かは調理してからでないとわからない。
■産卵後の鯛
産卵が終わると、鯛はエネルギーを使い果たし、身がやせ細る。このころは麦の収穫の時期と重なるため「麦わら鯛」と呼び、中が空洞の麦の茎と、身がやせ細った鯛をかけている。1年のうちで鯛の旨味が少ない時期のため、この時期の鯛は避けることが多い。その後、エサを豊富に食べて身が太ったモミジ鯛は、脂が乗って美味しい時期とされている。体の色が紅白の鯛を季節に合わせて、桜やモミジにたとえるところが日本らしい。
3. 鯛のおすすめの食べ方
頭から骨まで余すことなく楽しめる鯛は、淡白な味わいで、どのような調理法も合う。尾頭付きの鯛を手に入れたら、お刺身、兜煮、煮魚、焼き物など丸ごと味わってほしい。旬の時期の桜鯛、モミジ鯛のおすすめの食べ方を見ていこう。
■桜鯛
桜鯛のお腹の中には、卵や白子が入っていることがあり、春の時期だけ楽しめる。鯛子と呼ばれる鯛の卵巣は、醤油と砂糖で甘辛く煮付けると美味しく、白子はポン酢に付けて食べるのがおすすめだ。桜鯛の身は、卵や白子に栄養を取られるため、脂が少ない場合がある。脂が少ないと、身がパサパサするので、汁物、煮物、蒸し物などに向いている。また、オリーブオイルで焼いてソースを掛け、洋風に仕上げるのも美味しい。
■モミジ鯛
秋の時期の鯛は、脂が乗っていて、どのような料理にも向く。お刺身や焼き魚はもちろん、鯛茶漬け、鯛しゃぶしゃぶなどのシンプルな調理法でも美味しく食べられる。骨からだしをとったアラ汁は、旨味を味わえるので、ぜひ作ってみてほしい。
結論
鯛は1年中捕れる魚で、美味しい旬の時期は春と秋の2回だ。春は桜鯛、秋はモミジ鯛と呼ばれている。桜鯛は卵や白子を楽しめ、モミジ鯛は脂が乗っていて美味である。