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知っておきたい【ゆば】の種類と選び方

知っておきたい【ゆば】の種類と選び方

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2021年11月 2日

京都では「湯葉」、日光では「湯波」と表記される「ゆば」。大豆の栄養素を手軽に摂れる加工品だが、古くから精進料理とともに発展してきた歴史がある。さまざまな形状がある「ゆば」の種類、特産地、料理法などをおさらいしてみたい。

  

1. ゆばの種類

必須アミノ酸をバランスよく保持し、畑の肉と呼ばれるほどの良質なタンパク源、大豆。「ゆば(湯葉、湯波、油皮)」は、その大豆の栄養をぎゅっと凝縮して作った食品の1つだ。濃く作った豆乳を、沸点近くまでゆっくり加熱。タンパク質と脂質が表面に凝固した、薄い膜をすくい取ったものが「生ゆば」で、それを乾燥させたものが「干しゆば」だ。大豆の質や引き上げるタイミングなどにより品質の違いが現れ、風味や色、味わいなど、それぞれの持ち味が異なってくる。

中国では腐皮や腐竹、台湾では豆皮などと呼ばれているゆばだが、日本に伝わったのは鎌倉時代。禅宗の伝来とともに、茶とほぼ同時期に、修行僧が食す精進料理の貴重なタンパク源として広まったという。ゆばの名の由来は、姥(うば)からともいわれ、年老いた女性の顔の皺と形状が似ているからという説も。千利休による「利休百会記」にも「豆腐のうば」が登場し、江戸時代の料理本「豆腐百珍」にも記載され、次第に庶民にまで広まっていった歴史が感じとれる。

そんなゆばだが、大豆由来の繊細で上品な味わいで、懐石料理などでもお馴染み。大きく分けると前述のように生ゆばと干しゆばがあり、以下のような種類があげられる。

■生ゆば

そのまま生で、わさび醤油などで食す。

・引き上げゆば
別名「すくいゆば」「たぐりゆば」。シート状の生ゆば。豆乳の表面に張った膜を竹串などですっと引き上げたまま乾燥させないもの。ごく薄く張ったところを引き上げ、豆乳に浸したものは、さしみのように食せる。

・汲み上げゆば
別名「つまみ上げ」。豆乳が固まる前のとろりとした状態のものを汲み上げたもの。コクがあり濃厚な味わいが身上。

■干しゆば

半分乾燥したものと完全に乾燥したものがある。吸い物、煮物、汁物、鍋などに入れて食す。細工ものなどもあり種類は実に豊富。

・平ゆば
竹串で引き上げて切ったもので、半乾燥と完全乾燥とがある。食べやすい大きさにカットして料理に用いる。

・小巻ゆば
半乾燥の平ゆばをロール状に巻き上げたもの。

・大原木ゆば
一重に引き上げたゆばを重ねカットして乾燥させ、中心に昆布を巻いて結んだもの。崩れにくく、細工がきれいなのでお吸い物に入れるのに最適。平家物語にも登場する、京都・大原の女性(大原女/おはらめ)が束ねて運んだ柴がモチーフ。

・揚巻ゆば
平ゆばを巻いたものを2cmほどの幅に切り、油で揚げたもの。油との相性もよく、生ゆばとはまた違った味わいがある。

・東寺ゆば
椎茸やキクラゲ、ギンナンなどをゆばで包み揚げたもの。煮付けなどさまざまに使え、滋味豊かな味わいが楽しめる。

2. ゆばの特産地

ゆばの産地で名高いのは、京都と栃木県・日光。表記は京都では「湯葉」、日光では「湯波」。その文字が、それぞれの特徴を表しているように感じる。

歴史ある寺院が多い京都において湯葉は、肉や魚を禁じる仏教食における貴重な栄養源として、精進料理に用いられることで発展を遂げてきた。精進料理に茶道の懐石料理、さらに公家料理が融合したといわれる京料理。その主要な食材であるゆばは、繊細で美しい山紫水明の古都の食文化の1つといえる。

徳川家康を祀る日光東照宮のお膝もと日光においても、僧侶や神官向けの食品として京都から伝えられたゆば。製法はほとんど変わらないが、日光の湯波は幾重にも巻き上げる場合が多く、厚みがあり、ふっくらと柔らかく食べ応えがある。

京都と日光には、ゆばを食べさせてくれる料理店や専門店も多い。美味なる体験と珍しい土産物に出会えるので、訪れた際は、ゆばを求めて散策してみてはいかがだろうか。

3. ゆばの選び方

おからを除く大豆の成分が取り込まれるゆばは、消化しやすく、栄養価の高い食材だ。

買い求める際は、持ち帰ってから誰とどのように食すかを想定しながら選んでいこう。日持ちはしないが、そのまま食べられるうえ、さまざまな食材を包めるのが、生ゆば。汁物にそのまま入れるなど、多彩な料理に使える干しゆば。前者は、光沢のあるクリーム色で、固形質がしっかり感じられるもの。後者は、形が整っているものをセレクトしよう。

京都市街や日光の専門店では、形が崩れているがリーズナブルな袋詰めの乾燥ゆばを時折見かける。毎朝の味噌汁に入れるなど、気軽な日常使いにベストなので、ゆばを初めて買う人、ゆばを毎日たっぷり食したい人におすすめだ。

4. ゆばの食べ方

生湯葉の場合は、そのまま刺身で上品でまったり甘い味を堪能しよう。わさびや生姜、梅干しなどの薬味を添えて、醤油やポン酢をかけていただこう。また、旬の野菜や魚介を巻いてみたり、包んで揚げみたりなどのアレンジも美味しい。

たとえば、引き上げゆばを広げてマグロやアボカド、好みの野菜を巻けば、和風の生春巻き風の1品に。生姜醤油やマヨネーズにもよく合う。生ゆばと相性のいいエビを風呂敷包みにしてさっと揚げると、外はパリパリ、中はプリプリの食感に心が躍る。

また、具材入りで揚げられた東寺ゆばなどは、さっと湯をかけた後に青菜や海草などと煮浸しにするだけで美味。そのまま温めるだけでも、満足度の高い絶品メニューになるだろう。

結論

お椀に一欠片の干しゆばと三つ葉を入れ、すまし汁を回しかければ、美味しいお吸い物の完成。いつでも即効で大豆の栄養をチャージすることができる。キッチンに常備しておいて、昔の人が考案したインスタント食品の恩恵にあずかろう。

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  • 公開日:

    2018年10月20日

  • 更新日:

    2021年11月 2日

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