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まずはおさえておきたい【麩】の種類と選び方

まずはおさえておきたい【麩】の種類と選び方

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2018年10月21日

小麦粉のタンパク質・グルテンから作られる「麩(ふ)」。旅先の食事や、日本料理店でひょっこり出会って、改めて旨いものだと感じることもあるだろう。全国各地に90もの種類があるという麩。1度では伝え切れない麩の世界を案内しよう。

  

1. 麩の種類

小麦粉のタンパク質、グルテンを主原料としている麩。見た目も華やかで美しいものも多く、会席料理や精進料理に欠かせない、伝統的な加工食品だ。その製法は古く中国から伝来し、室町時代の僧侶の精進料理にはすでに用いられていたという。また、千利休による茶会の覚書「松屋会記」には、麩の1品が登場。江戸時代に入ると、禅寺、茶道家、会席料亭が集まる京都・宇治での麩の製造が盛んになり、その後広く普及するに至ったのだそうだ。

現在、健康志向の人たちからも熱い視線を集めるヘルシーな食材・麩。「生麩」「焼き麩」に分けられるので、その詳細からひもといていこう。

【生麩】

「湿麩(しっぷ)」と呼ばれるグルテンに、餅粉または小麦粉を加えて練り、蒸すか茹でて作る。よもぎなどを加えた板状のものは田楽や煮付けなどに。季節の情趣や花などをかたどったものは、椀だねなどに用いられるが、実に美しく芸術的だ。もっちりして出汁をよく含み、食感と美味しさを楽しめる。

【焼き麩】

生麩にデンプンや膨張剤を加えて練り、焼いたもの。全国に形も風合いも多彩な製品があり、車麩、板麩、飾り麩などそれぞれが個性的だ。出汁が染み込みやすく、汁物、煮物、鍋などの料理に向く。花や松茸の形をした細工ものは、吸い物に重宝する。

ほかに、生麩に味をつけて揚げた「揚げ麩」もある。

2. 麩の特産地

その保存性の高さからか、栄養価の高さからか、全国各地に郷土ならではの焼き麩がある。改めて並べてみると、そのバリエーションの豊富さは目を見張るほどだ。地元で愛され、今日まで受け継がれている伝統の味を一部紹介するので、ぜひ食べ比べてみよう。

■仙台麩

宮城の特産で別名「油麩」ともいわれる。良質の油で揚げ、フランスパンを思わせる棒状に仕上げたもの。ボリューム満点で、卵とじのようにして油麩丼としてよく食べられる。

■庄内麩

山形県庄内地方の特産で、最も古い焼き麩。棒に生麩を巻きつけて焼き、棒を抜いて押し潰し板状にしたもの。香ばしさが魅力。

■すだれ麩

石川県加賀地方・金沢の特産。巻きす(すだれ状の、巻き寿司を作る時などに用いる調理器具)の上に生麩を伸ばして巻き、茹でるか蒸して天日干ししたもの。加賀の郷土料理「治部煮」に欠かせない。

■観世麩(かんぜふ)

生麩を棒状に巻いて焼き、小口切りにしたもの。断面の渦巻き模様が、能楽の観世家の定紋「観世水(かんぜみず)」に似ているところからこの名に。

■丁字麩(ちょうじふ)

箱型の金属型に湿麩を入れて焼き上げたもの。滋賀県・彦根の特産。なめらかな食感ですき焼きに合う。

■車麩(くるまふ)

湿麩に小麦粉を加えて練り、生地を棒に塗り重ね焼くことを何度も繰り返して作る。新潟県の特産。煮物にすると汁をたっぷり含むが、しっかり焼きしめられているので煮崩れしにくい。

■京花麩

飾り麩の一種。花の形が可憐な、京都ならではの特産品。別名、おつゆ麩とも言う。

3. 生麩の食べ方

もっちり美味しい生麩は、適度な大きさにカットしてから、醤油とわさびで刺し身としていただいても絶品。すき焼きに入れたり、田楽や炒めもの・煮付けなどにしたりしても、肉を巻いて天ぷらにしてもうまい。また、あんこやアイスクリーム、きなこなどと合わせてデザートとしていただくという手もある。ヘルシーだが満足感のあるおやつになる。

4. 焼き麩の食べ方

焼き麩を調理する際は、あらかじめ水またはぬるま湯でもどす。芯まで柔らかくなるようしばらくつけておき、手で水分をしぼってから包丁で切ろう(切ってから水につけてもOK)。高温の出汁に、もどしていない麩を入れると、うまくもどらずかたくなってしまうので気をつけよう。飲める程度の温度の味噌汁やスープなら、そのまま入れても大丈夫。小さい花麩などはそのまま椀に入れて、汁を加えればいい。

野菜や芋類との煮物、洋風のグラタンやシチュー、炒めもの、卵とじ、味噌汁やスープ、うどんやラーメンの具材など、何でもござれなのが麩のいいところ。もともと精進料理で使われてきただけに、肉を食べたような満足感で、お腹も心も満たされるのがうれしい。パンプディングやサバラン、フレンチトースト風といった洋風デザートへのアレンジも自在なので、子どもに作ってあげよう。

ところで、沖縄県にも圧縮麩という独特のご当地麩がある。ゴーヤチャンプルーと並ぶ家庭の定番料理「フーイリチー」には、この弾力のある沖縄麩を使う。野菜と炒めて卵をからめる簡単な料理だが、麩が食べ応え十分なおかずになるのもユニークだ。

結論

しばらく忘れられてきた伝統食材・麩が、今や密かにブームらしい。身近な食材店で地方の麩を見つけることもあるだろう。お気に入りの麩を常備して、あれこれ工夫を凝らして食すのも面白そうだ。

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  • 更新日:

    2018年10月21日

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