1. モツとは

モツは、本来は食用臓物の略語。鶏、牛、豚などの内臓のこと。食用とする内臓には、レバーと呼ばれる肝臓、心臓、腎臓、脾臓、胃、腸をはじめ、舌や足、尻尾なども含まれる。昔は、捨てられることも多かったが、戦後の闇市をきっかけに日の目を浴びることとなる。ちなみにこの大義では、鶏のレバーもモツということになる。
白モツ
臓物のなかでも白ものと呼ばれる部位を白モツという。おもに小腸や大腸のことだ。そのままでは硬いが、じっくり煮込むと柔らかくなる。スーパーなどで販売されていることも多い。この白モツの印象がモツ全体の印象と重なり、今では狭義でのモツは、牛や豚の腸を指すようになった。
モツとホルモン
同じような言葉にホルモンがある。こちらも本来は、食用臓物の総称。すなわち、モツとホルモンは、同じ意味というわけ。ただ、こちらは牛の大腸だけを指してホルモンと言う場合がある。焼肉屋でホルモンといえば、主に牛の大腸や小腸だ。また、モツとホルモンの呼び名の違いには、地域性もある。臓物を関東ではモツ、関西ではホルモンと呼ぶのが一般的。
2. モツ煮とモツ鍋

モツ煮とホルモン煮
モツとホルモンは同じ意味であっても、ホルモン煮込みとはあまり言わない。これも地域性によると推測される。と言うのもモツ煮込みは、古くは東日本で愛されていた料理なのだ。関西では臓物は焼いて食べる方がポピュラー。だから、ホルモン焼きとは言うが、ホルモン煮込みとはあまり言わない。
モツ煮とモツ鍋
モツ煮に使われるのは豚の小腸、モツ鍋に使われるのは、牛の小腸や大腸だ。この場合のモツは狭義のモツということになる。ちなみにモツ鍋が有名な九州では、精肉店でのモツの取り扱いも多いそうだ。
味の違い
モツ煮は、味噌ベースのものが多い。具材にはこんにゃくやごぼうなどが使われており、生姜のアクセントが豚モツの臭みを和らげてくれる。どて煮などと呼ぶ地域もあり、居酒屋の定番メニューでもある。モツ鍋は、九州発祥の鍋。味は醤油ベースが一般的。キャベツやニラ、豆腐を入れて煮込むのが一般的。そして味の決め手は、たっぷりと効かせたニンニク。1度食べると病みつきになる味だ。
3. モツの美味しい食べ方

新鮮さがキモ
モツは、鮮度が命。普通の肉に比べると劣化が早く、特有の香りが強くなり、しまいには悪臭に変化してしまう。冷蔵技術や運送技術の向上により、以前よりは格段に新鮮なものが出回るようになってはいるが、それでも油断は禁物。信頼のできるお店で買う、また食べることをおすすめする。
下処理に差が出る
モツは、どの部位であっても下処理が必須。レバーや心臓やタンは血抜き、小腸や大腸は下茹でなど、ひと手間加えないと食べることができない。それぞれこの工程をいかに丁寧に行うかが、美味しさを左右するのだ。レシピをしっかりと参照して行うこと。
洋食にも
実は、臓物は洋食でもよく使われている素材。イタリア料理のトリッパやフランス料理のレバーパテなどもそれに当たる。ワインにもよく合うものが多いところも特徴的。臭みを緩和するために、しっかりと塩を効かせ、ハーブや野菜などを使ったレシピが多いので、食べやすい。
結論
モツは、大義では食用臓物全般。狭義では、牛や豚の小腸や大腸を表す言葉。現在では、狭義の意味で使われることも多いが、実際はそれだけでないということを覚えておくといいだろう。