1. ヌーヴォー=新酒

ワイン通の間では、ボジョレー・ヌーヴォーの味わいについては意見がさまざまだ。しかし、ボジョレー・ヌーヴォーはそもそも「ボジョレー地方の新酒」。味が熟成されていないのは当然のことなのである。
熟成ワインとはまったく異なる魅力
伝統的なボジョレー・ヌーヴォーは「マセラシオン・ガルボニック」という醸造方法で作られる。普通のワインは葡萄を砕いて発酵させるが、ボジョレー・ヌーヴォーは葡萄を潰さず粒のまま樽詰めする。樽の下部で重みに耐えきれず潰れた葡萄から炭酸ガスが発生し、アミノ酸やコハク酸が生成される。通常のワインよりタンニンが少ないので渋みや苦みも少ないが、色がしっかりついてバナナのような香りのフレッシュな酒が出来上がるのだ。新酒のボジョレー・ヌーヴォーは熟成期間がないにもかかわらず、特殊醸造によって十分飲める味のワインに仕上がる。
時短製造のデメリット
熟成ワインに求められる深みや渋みがないかわり、飲みやすいのが特徴のボジョレー・ヌーヴォー。自然発生ガスを利用する伝統的な醸造は手間がかかるため、より短時間に醸造しようと外部から炭酸ガスを注入する方法もとられている。人工醸造では伝統手法よりさらに気の抜けた味わいになることもあるようだ。
2. ボジョレーと言えば「解禁日」「赤」

11月になるとやってくるボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。
店頭で目にするのは赤ワインがほとんどだ。
店頭で目にするのは赤ワインがほとんどだ。
11月第3木曜日
新酒であるボジョレー・ヌーヴォーは、早く飲もうと解禁を前倒しにして品質が低くなった過去がある。このため、フランス全土で厳密な解禁日が設けられることになった。日付を固定してしまうと祝日の変更や日曜(フランスの酒業界は日曜休が多い)に対応できないため、過去2回の変遷を経て、最終的に11月の第3木曜日に落ち着いた。
法律で決まっている
フランスのワイン法では、ボジョレー・ヌーヴォーとは「ボジョレー地域で栽培されたガメイ種の葡萄を100%使ったもの」と定められている。ガメイ種は赤葡萄。赤ワインやロゼワインは作れても、白ワインは作れないのだ。ボジョレーの隣町であるマコン地域ではシャルドネ種の白葡萄を栽培しているので、白の新酒が飲みたければ「マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー」を求めてみよう。
3. ボジョレー・ヌーヴォーの種類

ボジョレー・ヌーヴォーにも種類や銘柄がたくさんあり、それを知っていることでより楽しく選ぶことができる。
まずはワインの品質をチェック
ラベルに「vv」と書いてあれば、かなり深みのあるボジョレーを味わえるチャンスだ。これはヴィエイユ・ヴィーニュの略で、特別古い木から収穫された葡萄を使っている証である。ボジョレーには樹齢100年を超える木も多い。また、「クラシック」という表記は、伝統的な自然発生ガスによる醸造が行われたものなので、こちらもおすすめだ。
ボジョレーの銘柄
さまざまななワイナリーから発売されるボジョレー・ヌーヴォーだが、代表格が例年売上トップの「ジョルジュ・デュブッフ」だろう。ボジョレーの帝王と呼ばれ、定番の赤の他にロゼとマコンの白も取り揃えている。120年の歴史を誇る「アンリ・フェッシ」は本場のレストランで大人気。特定の指定畑の葡萄のみを使った「クリュ・ボジョレー」のスペシャリストである。また、本来ねかせるワインではないという常識を覆したのが「マルセル・ラピエール」だ。オーガニックにこだわり、寝かせるほど美味になるというから驚きだ。
結論
実はボジョレー・ヌーヴォーの約半数は日本に輸出されている。新しもの好きの日本人の気質で大ブームになったのだろう。
本来、その年のワインの出来をチェックするための試飲のような存在だ。値段や銘柄に神経質になるよりも、フレッシュな喉ごしと香りを楽しみたいものである。
本来、その年のワインの出来をチェックするための試飲のような存在だ。値段や銘柄に神経質になるよりも、フレッシュな喉ごしと香りを楽しみたいものである。