1. 甘鯛の種類

その昔、徳川家康公が駿府(静岡市)にいた頃、興津(おきつ)という局が甘鯛を献上したところ、いたく気に入ったので、その局の名前をとって興津鯛と呼ばれた。そんな逸話も残る甘鯛は、その後、献上魚として重んじられるようになり、高級魚になったという。
甘鯛は、京都の料理屋などではグジと呼ばれるなど、地方名は大変多く各地で呼び名が変わる。
◎興津鯛:静岡。興津という奥女中の名にちなんで付けられた。
◎グジ:京都・大阪。
◎クシ:京都・舞鶴市、丹後半島。若狭湾。この名が京都でグジとなっていった。
◎グズナ:徳島県。
◎ビタ:高知。鐚(びた)から来ており、使い物にならない魚という意。
◎バトウ:山口。頭部が大きく(馬頭魚)の意で呼んだ。
◎コビル:島根。鯛と呼ぶが鯛ほど大きくならないところから付いた名。
こうして見ると、非常に美味な高級魚なのに、雑魚、まずい、使い物にならない魚などの意味がなぜか目立つのは面白い。
日本近海で獲れる甘鯛の種類は、赤甘鯛、白甘鯛、黄甘鯛の3種類。「若狭グジ」という、京都で珍重されているものは、赤みの強い赤甘鯛である。3種の中では、脂が乗った白甘鯛が最も味がよいとされるが、数が少なく、色合いが華やかでよいとの理由で、赤甘鯛の方が、人気があるようだ。
甘鯛は、京都の料理屋などではグジと呼ばれるなど、地方名は大変多く各地で呼び名が変わる。
◎興津鯛:静岡。興津という奥女中の名にちなんで付けられた。
◎グジ:京都・大阪。
◎クシ:京都・舞鶴市、丹後半島。若狭湾。この名が京都でグジとなっていった。
◎グズナ:徳島県。
◎ビタ:高知。鐚(びた)から来ており、使い物にならない魚という意。
◎バトウ:山口。頭部が大きく(馬頭魚)の意で呼んだ。
◎コビル:島根。鯛と呼ぶが鯛ほど大きくならないところから付いた名。
こうして見ると、非常に美味な高級魚なのに、雑魚、まずい、使い物にならない魚などの意味がなぜか目立つのは面白い。
日本近海で獲れる甘鯛の種類は、赤甘鯛、白甘鯛、黄甘鯛の3種類。「若狭グジ」という、京都で珍重されているものは、赤みの強い赤甘鯛である。3種の中では、脂が乗った白甘鯛が最も味がよいとされるが、数が少なく、色合いが華やかでよいとの理由で、赤甘鯛の方が、人気があるようだ。
- 赤甘鯛
「赤あま」と呼ばれ、赤みが強く、ほかの甘鯛より額の出っ張りが大きい。甘鯛の中では、最も大きくなり全長45cmにもなる。目の後ろに逆三角形をした銀白色の模様があり、体には赤黄色の横帯が、尾びれには黄色の縦帯がある。 - 白甘鯛
シラカワと呼ばれ、体は淡紅色で尾びれに黄色い帯がある。甘鯛の中でも脂肪分が多く、味もよい。 - 黄甘鯛
赤甘鯛とあまり変わらないが、やや黄みを帯びている。目の下から上あごにかけて銀白色の帯がある。体長は最も小さく、脂肪分も少なく味が劣るゆえ、干物としての販売が多い。
2. 甘鯛の旬と特産地

甘鯛は青森県以南の日本海、千葉県以南の太平洋沿岸のやや深い海の海底に穴を掘って生息する魚。日本海側の福井県・若狭など北陸・山陰地方では「はえ縄漁」で漁獲し、鮮度・品質のよさで高い評価を受けている。
旬は11月~3月頃まで。水分が多く、身が柔らかいので傷みやすいため、浜で一塩してから市場に出ることが多い。この一塩で甘味が増し、上品な味わいに。京都のグジはまさにその一塩の塩梅がもたらす逸品なのだ。
白甘鯛は西日本、赤甘鯛は中部以南、黄甘鯛は相模湾や鹿児島湾で多く獲れるが、水揚げ量がダントツなのが、山口県と長崎県産。最も消費量の多い京都や大阪では、若狭湾のものだけでなく、山口県で獲れるものが多く使われている。近年は韓国、中国、台湾からの輸入ものも多くなってきており、干物などが販売されている。
旬は11月~3月頃まで。水分が多く、身が柔らかいので傷みやすいため、浜で一塩してから市場に出ることが多い。この一塩で甘味が増し、上品な味わいに。京都のグジはまさにその一塩の塩梅がもたらす逸品なのだ。
白甘鯛は西日本、赤甘鯛は中部以南、黄甘鯛は相模湾や鹿児島湾で多く獲れるが、水揚げ量がダントツなのが、山口県と長崎県産。最も消費量の多い京都や大阪では、若狭湾のものだけでなく、山口県で獲れるものが多く使われている。近年は韓国、中国、台湾からの輸入ものも多くなってきており、干物などが販売されている。
3. 甘鯛の選び方&食べ方

購入の際は、体の色につやがあり、目が澄んでいるもの、できるだけ大きいものを選ぼう。体が小さいものは、脂の乗りがあまりよくないと考えられるからだ。鱗が小さくて取りにくいので、包丁で削ぐようにしてすき取るとよい。
甘鯛の身は水分が多く柔らかいので、干物にすることも多い。干すことで旨味成分が増し、風味がよくなる。小さめの甘鯛を一夜干しにしたものも人気だ。
生を刺身にする時は、皮の方を直火で軽くあぶると美味。薄造りにしてポン酢と紅葉おろしでいただくのも絶品だ。また、鱗を付けたまま唐揚げにした松笠揚げは、上品な味で鱗がパリパリッとする食感がたまらない魅力。濃いめの味で煮付けた甘鯛の煮物は、トロッとして柔らかく、こってりとした旨味がこたえられない。ほかにも酒蒸しや昆布締め、椀物など、さまざまな料理法で楽しめる。
甘鯛の身は水分が多く柔らかいので、干物にすることも多い。干すことで旨味成分が増し、風味がよくなる。小さめの甘鯛を一夜干しにしたものも人気だ。
生を刺身にする時は、皮の方を直火で軽くあぶると美味。薄造りにしてポン酢と紅葉おろしでいただくのも絶品だ。また、鱗を付けたまま唐揚げにした松笠揚げは、上品な味で鱗がパリパリッとする食感がたまらない魅力。濃いめの味で煮付けた甘鯛の煮物は、トロッとして柔らかく、こってりとした旨味がこたえられない。ほかにも酒蒸しや昆布締め、椀物など、さまざまな料理法で楽しめる。
結論
上品な甘味が美味な甘鯛は、秋から冬のお楽しみ。京都では、料亭でグジの料理が出ると、秋も深まりゆく季節感を感じる。関東などでも最近多く見かけるようになった一夜干しをもとめて夕食のおかずにすれば、ちょっと贅沢な気分になれるに違いない。身はそのまま食べ、頭に湯をかけて椀種にすると、余すところなく美味しくいただける。