1. 京野菜の歴史
794年の平安京遷都以来、政治はもちろん文化の中心としても発展してきた京都。海から隔たる盆地という地形から、野菜を中心にした食文化がいにしえより花開いてきた。租税として全国から集まった野菜の品種と栽培法を、京都の気候風土、土壌に合うよう改良することで生み出されてきた「京野菜」。季節の行事を支え、暮らしに溶け込み、高級料亭から庶民の惣菜にまで用いられる伝統の野菜は、四季の移ろいを目で、舌で、感じさせてくれる季節の贈り物だ。
南北に長い日本の各地特有の伝統野菜。失われつつあった、地域の特色ある野菜の保存を手掛けた、先駆けが京都だ。1987年には「京の伝統野菜」を指定。1989年からは京都府の農林水産物のブランド化を推進することで、全国に京野菜の認知を広め、産地に活気をもたらしている。
南北に長い日本の各地特有の伝統野菜。失われつつあった、地域の特色ある野菜の保存を手掛けた、先駆けが京都だ。1987年には「京の伝統野菜」を指定。1989年からは京都府の農林水産物のブランド化を推進することで、全国に京野菜の認知を広め、産地に活気をもたらしている。
2. 京野菜の名前の由来
京野菜には聖護院大根、鹿ケ谷かぼちゃ、堀川ごぼう、九条ネギなど、土地の名がついているものが多い。それぞれの名に産地での歴史が秘められ、それぞれに由来や物語があるのも古都・京都ならではかもしれない。
たとえば聖護院大根は、光明寺に奉納された長大根を、聖護院付近で栽培しているうちに丸形のものができるようになったとか。堀川ごぼうは、豊臣秀吉が建てた聚楽第が取壊しになり、堀を埋めたごみの中から大きく育ったごぼうが見つかったのが発祥という。野菜の来歴をたどっていくと、エピソードから当時の歴史が甦ってくる。
たとえば聖護院大根は、光明寺に奉納された長大根を、聖護院付近で栽培しているうちに丸形のものができるようになったとか。堀川ごぼうは、豊臣秀吉が建てた聚楽第が取壊しになり、堀を埋めたごみの中から大きく育ったごぼうが見つかったのが発祥という。野菜の来歴をたどっていくと、エピソードから当時の歴史が甦ってくる。
3. 京野菜と京都の伝統行事
「芋棒」「千枚漬け」など、京野菜には長い歴史の中で培われた、旬の時期につくられる定番の料理がある。さらに、野菜で無病息災などを祈願する、伝統的な行事が現存するのも興味深い。
安楽寺で行われる「かぼちゃ供養」は鹿ケ谷かぼちゃ。千本釈迦堂や了徳寺、三千院で行われる「大根焚き」には聖護院大根が欠かせない。ほかにも「きゅうり封じ」や「へちま加持」などがあり、生活に根ざした野菜に健康を託す庶民の信仰が、古都の暮らしには今も息づいている。
安楽寺で行われる「かぼちゃ供養」は鹿ケ谷かぼちゃ。千本釈迦堂や了徳寺、三千院で行われる「大根焚き」には聖護院大根が欠かせない。ほかにも「きゅうり封じ」や「へちま加持」などがあり、生活に根ざした野菜に健康を託す庶民の信仰が、古都の暮らしには今も息づいている。
結論
今や全国各地で見かけるようになっている京野菜。首都圏でもデパートや大型スーパーなどで購入できる機会もあるので、ぜひ手に取ってほしい。生産性を追求して味が均一になってしまった野菜が多いが、時には昔ながらの野菜を食べてみよう。