茶碗蒸しはおかずにならない？献立に悩んだときの秘策とは

茶碗蒸しで献立を考えるのが難しいのは、さまざまな具材を用意して作る手間のわりにはおかずになりにくいという点にある。そこで、茶碗蒸しをおかずにしてごはんを食べられるような具材を入れてしまおうというのがひとつ目のアイデアだ。

基本的な茶碗蒸しの具材は、鶏肉やかまぼこ、銀杏、しいたけといったあっさりとしていて出汁と相性のよいものとなっている。それをボリューム感のあるおかずにするのであれば、豚や鶏のひき肉をメインに据え、出汁の代わりにスープの素を使ってみよう。全体的にしっかりとした味わいとなり、食べごたえのあるおかず茶碗蒸しになる。ソーセージやチャーシュー、ハムといった具材がごろごろ入った茶碗蒸しなら、子ども受けもよく立派なごはんのおかずとしていただけることだろう。

ベースが卵ということもあり、茶碗蒸しはアイデア次第でさまざまな具材を入れて楽しめる料理だ。残り物を活用してみたり、一風変わった具材に挑戦してみたりと、新しいレシピを開拓してみるのも面白い。

先ほどは茶碗蒸しをメインのおかずにする方法を紹介したが、次は茶碗蒸しを主食にする方法だ。作り方は簡単。大きめの器に茹でたうどんとしいたけやエビ、かまぼこ、鶏肉といった茶碗蒸しの具材を入れ、出汁と卵を合わせた卵液を入れて蒸せばできあがりだ。

これは小田巻蒸しと呼ばれ、発祥の地である大阪の船場では冠婚葬祭などには欠かせない由緒ある料理だ。小田巻蒸しという名前の由来は紡いだ麻糸を玉状に巻いた「苧環(おだまき)」だといわれている。出汁の効いた卵とうどんは相性がよく、あっさりとした味わいである。

蒸す手間はかかるが、普通のうどんに卵を落として食べる代わりに小田巻蒸しにしてみると同じ具材で違った料理になって面白い。

うどんがないときは、小田巻蒸しをさらにアレンジしてパスタを使ってみてもまた違った食感を楽しめる。パスタを入れるならチーズもあわせて入れると洋風テイストになって美味しいのでぜひ試してみてほしい。

ちなみに、うどんではなく豆腐を具材として入れれば、こちらは空也蒸し(空也豆腐)と呼ばれるまた別の料理となる。空也蒸しは平安中期の高僧である空也が創案したとされている由緒ある一品だ。人にふるまう際、ちょっとした豆知識として空也蒸しの名前を紹介してみても面白い。

茶碗蒸しを入れた献立が難しいのは、普通の茶碗蒸しに合うのは和食ばかりだという点にある。茶碗蒸しありきで献立を考えようとするとどうしてもそれ以外の料理が和食に偏ってしまい、幅が狭まってしまうのだ。

しかし、これまで紹介してきた通り、茶碗蒸しはアレンジ次第でいくらでもテイストを変えられる料理だ。副菜である茶碗蒸しを軸にしてほかの料理を和食に統一するのではなく、主菜が洋食なら、洋風の茶碗蒸しを作るようにすれば献立に悩むことはなくなる。

茶碗蒸しを洋風に仕立てるのであれば、出汁の代わりにコンソメを使うと一気にそれらしくなる。チーズを入れてとろとろの食感を楽しんだり、ミニトマトで彩りを添えたりと、具材も洋風にしてお洒落さを演出してみよう。

同じようにして中華スープの素で作れば中華風にもできる。茶碗蒸し＝和食という固定観念から解放されれば、献立作りも一気に幅が広がるのでぜひ試してみてもらいたい。

茶碗蒸しは具材次第で主菜にも副菜にもなり、それだけでお腹いっぱいの主食にもなる。ベースの出汁をコンソメやスープの素に変えて洋風や中華風にすれば幅も広がり、献立で悩むことはなくなるだろう。ちなみに、夏場は冷蔵庫で冷やして冷やし茶碗蒸しにするのもおすすめだ。喉越しもよくさらりと食べられるので夏バテ気味なときにぜひ試してみてはいかがだろうか。