1. 納豆の基礎知識

日本で古くから食べられている納豆。納豆の原材料でもある大豆は畑の肉という異名をもつほど、栄養価の高い食材のひとつ。納豆は、その大豆に納豆菌を加え作られた加工品である。近頃では、日本だけでなく、海外でも注目される存在だ。
納豆の歴史
納豆の誕生には諸説あるが、古くより食べられてきた煮豆がなんらかの理由で藁と出会い、藁に付着していた納豆菌により大豆が発酵。納豆に変化したと考えられる。家庭で納豆が食べられるようになったのは、醤油作りが盛んになった江戸時代。現在同様、納豆に醤油をかけて食べられていたようだ。
納豆と発酵
大豆が納豆に変化する、その起因といえるのが発酵。発酵とは、微生物の成長に伴い、人体によい効果をもたらす成分が生み出されること。醤油や味噌、日本酒やワイン、パン、チーズなど、発酵食品は我々の周りに多く存在する。納豆の場合は、納豆菌と呼ばれる微生物の働きがキーワードになる。
2. 納豆の栄養

大豆の栄養
納豆は大豆が主原料。まずは、その大豆の栄養価について見ていこう。大豆は、畑の肉と呼ばれることからもわかるように、たんぱく質が豊富。ただ、これもただのたんぱく質ではない。大豆のたんぱく質には、体内では作ることのできない必須アミノ酸が多く含まれている。さらに身体への吸収率も高い。脂質や食物繊維、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンB1、イソフラボン、カルシウム、大豆レシチンなど、数え切れないほどの栄養が詰まっている。
発酵とナットウキナーゼ
そのものだけでも十分に栄養価が高い大豆は、発酵させると新たに酵素が生まれる。これがナットウキナーゼ。その名前からもわかるように、これは納豆にのみ含まれる栄養素。たんぱく質の分解酵素であり、納豆のネバネバの素でもある。
熱とナットウキナーゼ
熱に弱い、ある栄養素とは、このナットウキナーゼのこと。納豆オムレツや納豆パスタ、納豆汁など、熱を加えたナットウキナーゼは、活性が急激に低下してしまう。ナットウキナーゼが身体に与える作用として代表的なものが、血栓の予防。50℃以上になるとこの効果が得られなくなってしまう。
3. 納豆の食べ方おすすめ例

栄養を余すことなく採り入れるなら
ナットウキナーゼを摂取したい人は、加熱せずに食すのが正解。あつあつご飯に乗せたとしても50℃を越えるとは考えづらいので、炊きたてご飯はセーフ。納豆オムレツや納豆チャーハンなど、火にかけるものはNG。ちなみに加熱調理すると壊れるのは、ナットウキナーゼくらいなので、他の栄養素は加熱しても摂取することができる。
+αでさらにおいしく健康に
トッピングでアレンジを楽しむことができることも納豆のいいところ。キムチや塩麹など、発酵食品をプラスすると相乗効果を楽しむことができるし、ネギに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高めてくれる。さらに納豆はよく混ぜることで、旨味が増し美味しくなる。しっかりと糸を引くまで混ぜよう。タレや醤油を入れるタイミングはお好みだが、混ぜた後に入れる方が粘り気をより楽しめる。
結論
納豆に含まれるナットウキナーゼまで、余すことなく摂り入れたい場合は、加熱なしで食べるのが正解。ただ、加熱すると食べられないというわけではない。美味しく食べることも重要なので、加熱と非加熱、バランスを調節しながら食べよう。