1. 麦秋とは、黄金色に実った麦の刈り入れをする季節

麦の収穫時期は、5月下旬から6月中旬までの初夏。この頃のことを麦の実りの秋...「麦秋」と昔から呼んでいるのはご存じだろうか。地域によって差はあるが、一般的に麦は秋から初冬にかけて種がまかれ、初夏になって収穫をむかえる冬作物。
梅雨入り前のひととき、全国各地の麦畑は、黄金色に色づいていく。「むぎあき」とも読む麦秋だが、この場合の「秋」は、穀物が実り収穫期を迎えたことを意味するという。また、俳句では夏の季語とされ、古くからの暦・七十二候では、5月31日~6月4日頃が「麦秋至(むぎのときいたる)」となっている。
梅雨入り前のひととき、全国各地の麦畑は、黄金色に色づいていく。「むぎあき」とも読む麦秋だが、この場合の「秋」は、穀物が実り収穫期を迎えたことを意味するという。また、俳句では夏の季語とされ、古くからの暦・七十二候では、5月31日~6月4日頃が「麦秋至(むぎのときいたる)」となっている。
2. 弥生時代にまで溯る麦の栽培と麦食

日本における麦の栽培の歴史は古く、弥生時代の中期頃には、米の水田耕作とともに麦類が畑作生産されていたという。古事記や日本書紀では、大地の女神の身体から麦、米、粟(あわ)、稗(ひえ)、豆の五穀が誕生したと記されており、生命の源となる穀物が豊かに実る「五穀豊穣」は、いにしえから続く人々の願いだったことを示す。
製粉技術が普及するまでは、長らく重湯や粥として食べられていた日本の麦。江戸時代以降に、うどんや饅頭などが一般庶民にまで広まり、現代ではパンやお菓子、麺などに姿を変え、我々の日常に溶け込んでいる。
製粉技術が普及するまでは、長らく重湯や粥として食べられていた日本の麦。江戸時代以降に、うどんや饅頭などが一般庶民にまで広まり、現代ではパンやお菓子、麺などに姿を変え、我々の日常に溶け込んでいる。
結論
「麦秋」といえば、小津安二郎監督の映画を思い浮かべる人もいるかもしれない。映画のラストに映し出されるのが、黄金色の麦畑沿いのあぜ道を行く花嫁行列だ。まばゆいばかりの麦の輝きに、実り豊かな人生への願いが重なったようなエンディングは、静かな感動とともに胸の奥深くに沁みる。梅雨入り前につかの間訪れる、青空と薫風が爽快な輝く季節を、今年も心ゆくまで満喫したい。