1. さまざまな原水と水の種類

水の基礎知識
人体の約3分の2は水でできていると言われるように、水は生きるのに必要不可欠な存在。無色透明、無味無臭であるが、土地によってその味わいはさまざま。これは、水の原料と地殻によるものと考えられている。
原水は?
日本の水道から出る水の原水は、河川や地下水を使用したものが多い。これらを浄水場でろ過したものが、水道管を通って流れてくる。河川や地下水へもたらされる雨や雪が地層にしみこみ、最終的に湧き出してくる。国土が狭く、起伏の激しい地形にある日本では、この湧き出すまでのターンが早い。対して、ヨーロッパや北米などでは国土が広く、緩やかな地形であるため、湧き出すまでのターンが長い。その中で、地中のミネラルを多く含むことによって、味わいの差につながるのだ。
水の硬度とは
水を分類するひとつの指標に、硬度がある。水の硬度とは、カルシウムとマグネシウムの含有量を表す数値。さまざまな見解が存在するが、WHOによる基準では120mg/l以上を基準に、それ以下を軟水、以上を硬水としている。ちなみに日本の水は、60mg/l 前後なので軟水に当たる。対してヨーロッパや北米では、硬水の地域が多い。この違いは、前述の還元ターンによるものと考えられている。
2. 硬水はカルシウムとマグネシウムが豊富

硬水の基礎知識
日本ではあまり親しみのない硬水。市販のミネラルウォーターには硬水も存在するが、大多数は慣れ親しんだ軟水が多い。硬水は、どっしりとした飲みごたえが特徴で、人によっては苦味を感じることもある。普段、口にしている軟水に比べると重めな口当たりだ。
硬水のメリット
硬水は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含んでいるので、それらの摂取に効果的である。また、マグネシウムは便通をよくする効果があると言われている。そのほか、肉の臭みを消し、アクを出やすくしてくれるので、洋風の煮込み料理に向いているようだ。
硬水のデメリット
硬水は、日本の料理にはあまり向いていない。というのも、和食の基礎とも言える出汁と硬水の相性は、あまりよくないのだ。ミネラル分が含まれている硬水で出汁を引くと、鰹節や昆布の旨み成分であるイノシン酸やグルタミン酸が溶け出しにくく、ミネラル分がアミノ酸と結合し、アクになってしまうことさえある。そのほか、洗剤や石鹸が泡立ちにくかったり、胃腸が弱い人はお腹を壊すなどの影響が考えられる。
3. 軟水は硬水に比べてクセがなく飲みやすい

軟水の基礎知識
日本で多くの人が口にしているのが軟水。水道の蛇口をひねると出てくる水も軟水だ。硬水に比べると飲み口はとても軽く、まろやか。甘みを感じることもある。
軟水のメリット
硬水に比べて飲みやすく、体への負担もないので、老若男女問わずに飲むことができる。素材の味を邪魔しないところも特徴的で、野菜が柔らかく煮えるという効果もある。また、コーヒーや紅茶、日本茶などの旨みと香りを最大限に引き出してくれるのも、軟水だと言われている。
軟水のデメリット
硬水と違い、ミネラルの摂取は期待できない。そのほか、洋風のブイヨンを取るとき、軟水を使用すると肉の臭みが出てしまうことがある。
結論
硬水と軟水、見た目は同じだが、それぞれに飲み口や栄養分などの違いがある。理想を言えば、好みや用途によって使い分けたいところ。ただ、日本人に馴染みの薄い硬水を取り入れることは、なかなか難しいのも現実だろう。手軽な方法として、運動後のミネラル摂取の意味を含めて、硬水を取り入れてみることから始めてみよう。