1. ペスクタリアンとは

ペスクタリアンとは、肉を食べない食制限、食主義のことを指す言葉である。肉とは食肉全般で、牛肉や鶏肉、豚肉はもちろんだが、ラムや馬肉、ウサギなども同様に含まれる。ペスクタリアンでは魚介類全般や乳製品、卵は食すことができるので満足感も高く、栄養価的にもバランスが取りやすい。
寛容な食制限?
食制限、食主義のなかでもペスクタリアンは、かなり取り入れやすい。と言うのも、ほかの食制限や食主義と異なり、魚介類を自由に食べることができるのでタンパク質の摂取が容易に叶う。食制限や食主義を行う上で、このタンパク質の摂取は明暗を分ける鍵と言われているのだ。日本ではまだ知名度が低いが、日本人は魚食に親しみがある分、受け入れやすい食制限だとも言える。
注目の栄養素
魚介類の栄養素は、健康を保つのに必須であると、多くの研究から分かりつつある。なかでも青魚に多く含まれるDHAやEPAの存在は、よく知るところであろう。これらは体内で生成できない必須脂肪酸の一種で、健康維持はもちろん、学習効果などにも影響すると言われている。魚介類が食べられるペスクタリアンであれば、良質なタンパク質とともに、この必須脂肪酸も上手に取り入れることができるのだ。
2. ペスクタリアン以外の食制限と食主義

ベジタリアンとビーガン
よく混同されがちなのが、このふたつ。ベジタリアンとは菜食主義を指す言葉で、基本的に肉や魚を食べない。ただ、ペスクタリアン同様、牛乳などの乳製品や卵は食べることができる。対してビーガンは、完全菜食主義を指す言葉。肉や魚だけでなく、乳製品や卵を含む動物性タンパク質を食べない食制限、食主義のことである。
ハラールとコーシャー
このふたつは、これまでの食制限や食主義とは少し異なる趣のもの。これらは、宗教的に食べることができない食材や料理を除いたもの。いわゆる宗教の食の規定だ。まずハラールは、イスラム法に則って許されている食材や料理のことを指す。よく知られているのは、豚肉が食べられないと言うもの。日本でも少しずつ、ハラール認証という表示が広がりを見せはじめている。コーシャーは、ユダヤ教によるものである。こちらはより食べられないものが多く、牛肉や貝類なども禁じられている。双方、教徒や信仰によって取り入れ方はさまざま。
3. ペスクタリアンと日本

日本における食制限
日本で食制限や食主義と言うと、精進料理がそれに当たる。ただ、我々の暮らしに深く浸透しているかと言うと微妙で、お悔やみのシーンなどで接する程度である。対して、海外ではポピュラーな存在だ。レストランでベジタリアン対応のフードがあることも普通であるし、スーパーなどでは、それぞれの表示がしっかりとなされている。
進化する日本の食制限
日本では馴染みの薄い文化であった食制限や食主義も、近年少しずつ浸透を見せている。これは訪日観光客や外国人労働者、留学生の増加による影響が大きいと言えよう。ペスクタリアンまでは知らなくとも、ベジタリアンやビーガンという言葉が、多くの人の耳に届くようになりつつある。
初心者に合うペスクタリアン
ペスクタリアンは伝統的な日本人の食生活を考えても、とても取り入れやすい食制限、食主義である。ベジタリアンやビーガンと違い、鰹節や昆布の出汁を使うことができるので、和食らしい旨みを楽しむことができる。もし食制限や食主義に興味があるのなら、まずはペスクタリアンからトライするというのもおすすめだ。
結論
現在、ペスクタリアンをはじめとする食制限や食主義を選ぶ理由は、健康面、宗教面、道徳面とさまざまである。そのような理由以外にも、多くの植物や動物の命をいただいている、という事実を見つめ直すきっかけにもなりうる。週末だけ、月に一度だけなど無理のない程度で、ペスクタリアンを体験してみるのもよいかもしれない。