1. すき焼きに2種類の作り方が伝わっている理由

すき焼きの作り方が関東風と関西風の2種類あるのは「すき焼き」の歴史を辿るとつかめてくる。
関東風すき焼きは牛鍋から始まった
日本では長らくの間、仏教の影響から肉食を禁じる時代が続いており、牛肉を庶民が口にするようになったのは明治時代に入ってからのこと。「牛肉は健康によい」との新聞や雑誌が出回ったことで、平鍋で牛肉とネギを煮た「牛鍋」が関東で大流行し、この牛鍋の「割り下で煮込む」という作り方が現在の関東風のすき焼きの作り方とつながっている。
関西風は焼きの文化
すき焼きの語源を調べると、関西が発祥のようだ。江戸時代中期に農耕具の「すき」を用いて魚を焼いたのが始まりという説が有力なようである。関東で牛鍋が流行しているころ、関西では牛肉を使った「すき焼き」が流行していたのだが、煮込む作り方の牛鍋とは異なり、平鍋の上で肉やそのほかの具材を焼き、汁椀に入れた生卵につけて食べるという、焼く工程がメインとなる作り方をしていた。これが現在の関西風のすき焼きの作り方のもとになっている。
「牛鍋」の名前が消えて「すき焼き」に統合
ではなぜ牛鍋の名前はあまり聞かなくなったのだろうか。そこには意外な理由が存在している。大正12年の関東大震災で、東京を中心として流行していた牛鍋屋の多くが被害を受けて閉店を余儀なくされた。そこへ関西からすき焼きが伝わり、地元でなじみ深い牛鍋のレシピと融合を果たして関東風のすき焼きが誕生、呼び名も「すき焼き」で統一された。
2. すき焼きの地方性は関東関西にとどまらない

すき焼きには関東風と関西風の作り方があることをお伝えした。関西風の砂糖を直接入れる作り方からは、すき焼きにおける地方性を垣間見たが、すき焼きに加える具材や呼び名に着目してみると、関東や関西以外にも地方性があることがわかる。
東北地方や北陸地方では、かつて牛肉が高価だったことから豚肉を用いた「豚すき」が一般的となった。滋賀県では、鶏肉を用いた「鶏すき」が食べられていたり、名古屋では肉を鍋の上で引きずるようにして焼くことから、すき焼きを「ひきずり」と呼んだりするなど、各地域に独自に根付いたすき焼きの文化、地方性を発見できる。
東北地方や北陸地方では、かつて牛肉が高価だったことから豚肉を用いた「豚すき」が一般的となった。滋賀県では、鶏肉を用いた「鶏すき」が食べられていたり、名古屋では肉を鍋の上で引きずるようにして焼くことから、すき焼きを「ひきずり」と呼んだりするなど、各地域に独自に根付いたすき焼きの文化、地方性を発見できる。
3. すき焼きにおすすめの肉の選び方

関東風、関西風どちらの作り方で作るにせよ、より美味しくすき焼きを食べるには肉の選び方がポイントになってくる。牛肉は、脂肪の付いていない部位に火が通れば通るほど硬くなる特徴がある。この特徴を踏まえると、ほどよく脂肪のついた霜降りの肉を選ぶのをおすすめしたい。
具体的な牛肉の部位の名称をおすすめの順にあげると、サーロイン、リブロース、肩ロースなどの薄切り肉。とろけるような食感がすき焼きとベストマッチする部位なので、ぜひお試しいただきたいところだ。
霜降り肉を買うときの選び方としては、霜降りが細かく入りこんだ、パッと見たときに白または乳白色をしたつやのある肉を選ぶのがポイントだ。脂肪部分が赤茶色に変色しているものは肉から出たドリップが脂肪について、染まるだけの時間がたったものということで避け、赤みと霜降り部分の境界がはっきりしているものを選ぶのがおすすめである。
肉の選び方によっては、同じ価格帯でもより鮮度のよいものを手に入れることができるのでぜひ、購入時の参考にしていただきたい。
具体的な牛肉の部位の名称をおすすめの順にあげると、サーロイン、リブロース、肩ロースなどの薄切り肉。とろけるような食感がすき焼きとベストマッチする部位なので、ぜひお試しいただきたいところだ。
霜降り肉を買うときの選び方としては、霜降りが細かく入りこんだ、パッと見たときに白または乳白色をしたつやのある肉を選ぶのがポイントだ。脂肪部分が赤茶色に変色しているものは肉から出たドリップが脂肪について、染まるだけの時間がたったものということで避け、赤みと霜降り部分の境界がはっきりしているものを選ぶのがおすすめである。
肉の選び方によっては、同じ価格帯でもより鮮度のよいものを手に入れることができるのでぜひ、購入時の参考にしていただきたい。
結論
日本の伝統食のひとつとして、外国人にも人気の料理すき焼き。砂糖を直接投入する関西風と割り下を用いて煮込む関東風、豚や鶏を用いるすき焼きなども紹介しだが、家庭のすき焼きの作り方の定番にあてはまるものがあっただろうか。定番の作り方でも肉の部位を変えるだけで、いつもと違う味わいが待っている。次回のすき焼きもじっくり堪能していただきたい。