1. ズコットとは?

まずはズコットがどういったケーキなのか、基本から学んでいこう。
イタリアの伝統的なケーキ
スポンジケーキのなかにクリームやムース、アイスなどを詰めて冷やしたドーム状のケーキが「ズコット」である。イタリア・トスカーナ地方で誕生した伝統的なケーキだ。今から600年以上前のルネサンス期に生まれ、イタリアのフィレンツェで君臨したメディチ家にも献上されたことがあるという、由緒正しいドルチェである。
しかしルネサンス期の終焉とともに、ズコットは世界から忘れ去られてしまった。その後19世紀にフィレンツェの老舗洋菓子店がズコットを復活させたことで、現代の私たちもズコットを食すことができるのだ。
しかしルネサンス期の終焉とともに、ズコットは世界から忘れ去られてしまった。その後19世紀にフィレンツェの老舗洋菓子店がズコットを復活させたことで、現代の私たちもズコットを食すことができるのだ。
今と昔で異なるズコットの特徴
伝統的なズコットは、半球状のスポンジケーキの中にセミフレッドや、ナッツなどを混ぜ込んだリコッタクリームを詰めている点が特徴だ。一方で現代のズコットは、中身に生クリームやカスタードクリーム、アイスクリームなどを詰めたものが多い。スポンジケーキを使わないドーム状のケーキをズコットと呼ぶこともある。ホールケーキサイズから1人前まで、大小さまざまなズコットがある。
「聖職者の帽子」に由来する
帽子のような形が特徴的なズコットは、まさにカトリックの神父が被っている「ズッケット」と呼ばれる帽子を模して作られたといわれている。また伝統的なズコットの表面に見られる茶色の筋模様は、フィレンツェを象徴する大聖堂の丸屋根に似せたものである。こうしてみると、ズコットにはクリームだけでなくフィレンツェに住むイタリア人の愛郷心も込められていることが分かり、非常に感慨深い。
2. ズコットの作り方

ズコットは手間はかかるがご家庭でも手作りできる。時間があればぜひチャレンジしてみてほしい。
材料
スポンジケーキは市販品でOKだ。あとはシロップやクリーム、グラニュー糖、好きなナッツ類やドライフルーツ、チョコレートなどを用意しよう。飾り付け用に粉砂糖やココアパウダーなどがあってもよい。
作り方
厚さ1cmほどにカットしたスポンジケーキを、対角線状にカットして台形にする。クリームにグラニュー糖を混ぜて氷水で冷やしながら泡立て、粗みじん切りにカットしたナッツ類やドライフルーツなどを混ぜる。ボウルにスポンジケーキを敷き詰めたら、ハケなどを使ってシロップを染み込ませ、半分ほどのクリームを流し込む。
さらにスポンジケーキを敷き詰め、同じようにシロップを染み込ませたら、残っているクリームを入れる。平らにならし、余ったスポンジケーキを蓋をするように被せたら、ラップで包み冷蔵庫で冷やす。最後は、ボウルから取り出して粉砂糖をまぶし、ココアパウダーを振りかければ完成だ。
さらにスポンジケーキを敷き詰め、同じようにシロップを染み込ませたら、残っているクリームを入れる。平らにならし、余ったスポンジケーキを蓋をするように被せたら、ラップで包み冷蔵庫で冷やす。最後は、ボウルから取り出して粉砂糖をまぶし、ココアパウダーを振りかければ完成だ。
3. ズコットの上手な切り方

ズコットをワンホール購入した際、どのように切ればケーキを潰さず、美しい模様を出せるのか悩む方もいるだろう。そこで、ズコットの上手な切り方を紹介する。
用意するモノ
- 家庭用の包丁
- 清潔な布巾(タオルでも可)
- ボールに張ったお湯(40~45℃)
以上の3点を用意しよう。お湯を張るボールのサイズは、包丁の刃を浸けられる大きさのものがよい。次に用意したお湯で包丁を5秒ほど温め、布巾で水気を拭き取れば準備は完了だ。
上手な切り方
- 包丁の刃先をズコットの中心に当てる
- 包丁の重さを利用してまっすぐ下におろす
基本はこれだけだ。ズコットの中にフルーツなど大きめの材料が入っている場合は、包丁を前後に動かすと綺麗に断面を作れる。また注意点として、1切れごとに包丁を温める・拭き取るという工程を繰り返すことだ。表面にチョコプレートなど硬い食材が使われている場合は、切り分ける前に取り除いておくことをおすすめする。
4. ズコットを美味しく食べるポイントは「温度」

せっかく手に入れたズコットは、もっとも美味しい食べ方で味わってほしい。そこでポイントになるのが温度である。
凍らせすぎないことが重要
しっかり冷やし固めることも美味しい食べ方として大切だが、食すときは包丁で簡単に切り分けられるくらい柔らかな状態がもっとも美味しい。ズコットは半冷凍のケーキであるため、家庭用冷凍庫で保存すると凍り過ぎてしまうので時間や凍り具合に気をつけよう。うっかりカチカチに凍らせてしまったら、食べる数時間前に冷蔵庫へ移しておくとよい。ぜひズコットの美味しい食べ方を覚えて、ご家族で楽しんでほしい。
5. ダイエット中の方におすすめ!ズコットの食べ方3選

最後に「ダイエット中だがズコットが食べたい」という方におすすめの食べ方を3つ紹介する。
一度に食べるのは半量以下にする
市販のズコットは1個400kcalを超えるものが多いため、丸々食べてしまうとカロリーを摂りすぎてしまうおそれがある。半分以下にして食べるよう心がけよう。
食後2時間頃に食べる
太りにくい身体にするためには、食直後ではなく2時間後くらいにおやつとして食べるのもよい。血糖値の上昇がゆるやかになり、インスリンの分泌も穏やかになるからだ。
手作りしたものを食べる
究極は、低カロリー・低糖質の材料で手作りしたズコットを食べることだろう。スポンジケーキから作る場合は、砂糖の代わりに人工甘味料を使うとよい。ズコットのクリームについていえば、生クリームやカスタードクリームはカロリーが高いためおすすめできない。代替品として水切りヨーグルトや豆腐クリームもあるが、より低カロリーなのはリコッタチーズだ。クリームに砂糖漬けのフルーツやチョコレートを混ぜるのは控えたほうが、低カロリー・低糖質のズコットを作れる。
結論
半球型が特徴的でオシャレなケーキ・ズコットには、イタリアで培われてきた深い歴史がある。ケーキ屋やカフェ、手作りでもズコットを楽しめる現代は、さまざまにアレンジされたものや食べ方が生まれている。フォトジェニックなズコットや簡単に手作りできるズコットなど、多種多様なズコットをご家族で堪能してほしい。