1. 昆布出汁の基本

島国である日本は、古くから海産資源が豊富である。昆布も、古くから食べられてきた海産物のひとつだ。多くの食物において言えることであるが、昆布はかつて、宮中などの特別な人たちだけが食べることを許されていた。庶民にその味が広く知られることになったのは、鎌倉時代中期と言われている。全国に広まった昆布であるが、関西や沖縄では特に多用されている、料理に欠かせない存在だ。
昆布の原産地
そもそも昆布とは、海に生息する海藻類で、とにかく栄養豊富なことで知られる。フコダインなどの水溶性食物繊維がたっぷりと含まれており、ミネラルも豊富だ。昆布は、現代人が取り入れたい食材でもあるのだ。昆布が出汁に使われる所以は、旨み成分であるグルタミン酸が豊富に含まれているから。そんな昆布の生産地は、北海道が主流。国内流通のおよそ、90%が北海道産だと言われるほどだ。利尻昆布・真昆布・羅臼昆布・日高昆布・長昆布など種類も多く、価格帯もさまざま。用途によって使い分けたい。
昆布出汁
昆布出汁は、なんと昆布を水につけておくだけで、出汁が取れる。水につける前に、昆布の表面を、固く絞ったキッチンペーパーで拭いておくとよい。水で洗ってしまうと旨味成分も取れてしまうので注意が必要だ。また、小さく切り分けた昆布を使うとよい。昆布を火にかけて沸騰直前まで煮出す方法もあるが、水出しでも十分に旨みを抽出できる。出汁に使うのは、真昆布や利尻昆布、羅臼昆布などが向いていると言われるが、こちらは好みや価格との折り合いによってチョイスしたい。
2. 出汁を取った後の昆布の使い道

出汁を取った後も、昆布は栄養満点。旨み成分は流出してしまっても、現代人に不足しがちな水溶性食物繊維が、たっぷり残ったままである。これを捨ててしまってはもったいない。上手に消費するのが正解である。
そのまま食べる
まずは、出汁を取った後の昆布をそのまま食べてみよう。味わいはさほどないが、食感はこりこりしていて食べられないこともない。醤油やポン酢で和え物にしたり、細切りにしてサラダや味噌汁に投入してもよいだろう。
変身させる
出汁を取った後の昆布で、塩昆布や昆布の佃煮を作ることができる。少量の昆布だと作りづらいので、何度か昆布出汁を取った後に、まとめてつくるのがおすすめだ。その場合は、出汁を取った後の昆布を冷凍保存しておけば、腐ることもないので安心だ。そのほか、そのまま素揚げにすると、ヘルシーなスナックに早変わり。大豆や人参、ゴボウなどで作る五目豆の具材にしてもよいだろう。
3. 昆布を上手に使うコツ

昆布は洗わない
昆布は水に浸すとすぐに、旨みが流出してしまう。そのため、洗わないで使うのが正解だ。昆布の表面に浮かんでいる白いものは、旨み成分であることがほとんど。基本的に長期保存ができるので、適切な方法で保存すれば、腐ることは少ない。高温多湿を避けて保存しよう。
合わせ技で旨みUP
ご存知の通り、一番出汁とは鰹節と昆布の合わせ出汁である。鰹節のイノシン酸と合わせると、旨みは倍どころではなく、7倍にも8倍にもなると言われている。同様に、干し椎茸にはグアニル酸が含まれるので、こちらでも相乗効果が見込める。
結論
出汁を取った後の昆布は、栄養満点。特に現代人に不足している食物繊維やミネラルなどの栄養を多く含んでいるので、そのまま捨ててはもったいない。上記のアイデア以外にもアレンジ料理は多いので、ぜひ捨てることなく昆布を活用してほしい。
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