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さくらんぼの絶対王者【佐藤錦】旬の時期と選び方のコツを解説

さくらんぼの絶対王者【佐藤錦】旬の時期と選び方のコツを解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2019年11月29日

初夏に旬を迎えるさくらんぼの中でも、王様と評されるのが佐藤錦だ。山形県が誇る名産品のひとつで、少々高価な印象なので、贈り物としても喜ばれる。旬の頃にはスーパーなどでも買えるが、その旬は意外に短いものだ。今回は、初夏のキュートな王様、佐藤錦について紹介する。

  

1. 佐藤錦の味の特徴

高級品種らしい上品な味わい

つるんとした皮の舌触り、弾ける皮の下からあふれ出す果汁と甘い果肉。粒が小さいので、一口で食べられる。子どもから年配の方まで人気のあるさくらんぼの中でも、佐藤錦は糖度が約18度と、とても甘い。しかし程よい酸味もあるので、上品な味わいだ。さくらんぼの王様といわれる佐藤錦は、贈答品としても最高級品に位置する。ひとつずつ丁寧に箱詰めされた佐藤錦を、店頭やショッピングサイトなどで見かけることも多いだろう。粒や大きさなどによって値段はかなり上下するが、高級果物店や百貨店では一粒あたり300円で売られていることもある。早めのお中元や、母の日のプレゼントとしても選ばれることも。

旬の時期

佐藤錦は、ハウスの物が4月から5月に流通する。その後6月頃から路地物が出てきて、ここから一気に市場に出回るようになる。佐藤錦の本当に美味しい旬は、年間20日程しかないという。この時期、佐藤錦農家は忙殺されるといっても過言ではないだろう。また、佐藤錦の原産地である山形県で、佐藤錦狩りを楽しめるのもこの頃しかない。初夏限定の、貴重な味わいなのだ。

2. 佐藤錦を美味しく食べるには

さくらんぼの美味しさは、鮮度で決まるといっても過言ではないだろう。なので、もっとも美味しいさくらんぼを食べたいと思ったら、「さくらんぼ狩り」がおすすめだ。旬の時期の観光ツアーで、さくらんぼ狩り、中でも佐藤錦が食べ放題のツアーが登場する。さくらんぼは雨が天敵なので、雨よけをかぶせてあるところも多いが、雨天でも問題ないものもあるので、探してみるのも面白い。

さくらんぼ狩りには行けないが、美味しい佐藤錦が食べたいときは、選び方に注意しよう。

1. 粒が大きいこと。実に張りがあり、大きいものが美味しい。
2. 色艶がよく、濃い色の物を選ぶ。濃くても艶がないと、熟れすぎている場合がある。
3. 軸が太く緑色であるもの。さくらんぼの鮮度は軸でわかる。緑色のものは新鮮さの証。
4. さくらんぼは少しでも圧がかかると、そこから傷んでいく。茶色く変色しているものは避ける。
5. さくらんぼには温度差が大敵である。クール宅急便で着いたなら冷蔵庫へ、常温だったら涼しい場所へ。時間が経つと旨味が逃げていくので、できるだけ早く食べること。

上記を守って、佐藤錦を美味しく食べよう。

3. 佐藤錦の歴史

欧米のさくらんぼはすっぱかった?

明治維新の頃、ヨーロッパやアメリカからさくらんぼの苗木が輸入され、日本に根付いた。ヨーロッパでは古くから作られていた「ナポレオン」という種類のさくらんぼだった。明治時代には「那翁(ナポレオン)」と呼ばれ、今でも日本でも作られている。甘みも強いが酸味も強い、少々黄色みかかった赤いさくらんぼだ。佐藤錦が生れる前、さくらんぼの主流は、この「那翁」だった。それは生食ではなく、缶詰などの加工品がメインで、とても酸っぱいものだったのだ。さくらんぼは傷むのが早いため、完熟まで待って収穫すると、傷がつきやすくなる。そのため完熟前で収穫されて加工されたことから、さくらんぼイコールすっぱい果物というイメージがあったのだ。

佐藤錦の誕生

さくらんぼはすっぱいというイメージを覆したのが、佐藤錦だ。さくらんぼは雨にあたると実が割れてしまうが、収穫期と日本の梅雨時期が重なり、しかも日持ちがしないため、当時はなかなか根付かなかった。そこで、酸味があり果肉の固いナポレオンと、保存は難しいが甘い果肉の「黄玉」とを掛け合わせ、新しい品種を育成した。着手から約15年の歳月をかけて、現代に続く佐藤錦の原木を完成させたのだった。その原木を完成させたのが、佐藤栄助氏、その成功を支えたのが苗木商であった岡田東作氏である。岡田氏は、佐藤氏を兄のように慕い、また佐藤氏も岡田氏の果樹に対する知識の豊富さを深く信頼していたという。

佐藤錦の名の由来は?

当初、この新種を「出羽錦」と名付けようとしていたが、岡田氏が「佐藤錦」という名前を提案した。もちろん佐藤栄助氏の名前が由来であるが、一緒に食べたさくらんぼが、砂糖のように甘いと、二人で喜びあったことに由来するという。苦楽を共にした二人の絆の表れであった。もちろん、物流が格段によくなったのも、佐藤錦の名前が広まった大きな理由の一つだ。1976年に、宅配便が登場したのだ。おかげで朝摘んださくらんぼが、新鮮なうちに送り先の元へ届くようになったのだ。流通の発展が、佐藤錦の価値を高めたといってよいだろう。佐藤錦の創業者の子孫は、未だこの佐藤錦を守り続けている。

4. 海外で食べられる佐藤錦

実は佐藤錦は、海を越えてオーストラリアなどでも栽培されている。2005年に、農林水産省によってタスマニア州産佐藤錦が正式に解禁となったのだ。もちろん条件付きではある。

日本と四季が逆である、南半球のオーストラリアでは、12月頃にさくらんぼが旬をむかえる。クリスマスシーズンでパーティの機会が増える中、可愛らしいさくらんぼはメニューに彩りを添えるだろう。

しかし、これはよい面ばかりではなく、農産物の知的財産権について考えさせられるケースのひとつにもなっている。日本で生産育成してきたものが、海外に簡単に流出してしまうこと。我々の子どもたちの世代のためにも、無関心ではいられないようだ。

結論

佐藤錦は旬の果物で、その時期を逃すと食べることが難しいが、加工品としてなら手に入れることができる。ジャムやゼリー、佐藤錦ジュースなども美味しそうだ。佐藤錦をちりばめた、贅沢なチェリータルトも。流通技術も向上したが、加工技術も格段に向上した現在、次の佐藤錦の旬まで、違った形で楽しむのも面白い。
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  • 公開日:

    2019年6月16日

  • 更新日:

    2019年11月29日

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