1. さくらんぼの歴史
1872年
現在の生食用のさくらんぼの元になったものが、海外からもたらされたのは、1870年代だった。1872年に北海道開拓使が、アメリカから25種類のさくらんぼを導入したのが公的には最初だといわれている。そののち、政府がアメリカ・ヨーロッパから何種類かのさくらんぼを導入し、東京三田育種場にて苗木を育て、北海道や東北地方の栽培に適した場所に配布し、栽培させた記録が残っている。
高砂は、この最初の25種の中のひとつであった。
高砂は、この最初の25種の中のひとつであった。
25種のさくらんぼ
これらのさくらんぼのほとんどが、北海道・東北を除いてはうまく広まることがなかった。水や風に弱く、夏の高温にも低温にも弱いさくらんぼは、日本の風土になかなかなじまなかったのだ。
その25種類のさくらんぼは、現在の日本にほぼ残っていない。研究のために記録として一部残っているだけで、商品として栽培されているのは、「黄玉」が少しと、「ナポレオン」、そして「高砂」だ。日本の歴史の中のさくらんぼでは、これらが最古といってもよいだろう。
その25種類のさくらんぼは、現在の日本にほぼ残っていない。研究のために記録として一部残っているだけで、商品として栽培されているのは、「黄玉」が少しと、「ナポレオン」、そして「高砂」だ。日本の歴史の中のさくらんぼでは、これらが最古といってもよいだろう。
高砂という名前
先述したが、高砂はもともとロックポートピガローという名前だった。海外からやってきたさくらんぼなので、カタカナの名前がつくのは当然なのだが、当時の日本では覚えにくく、呼びにくかったのだ。
そこで、輸入したとき苗木につけた番号がそのまま呼ばれていた時代もあった。黄玉は8号、ナポレオンは10号など。高砂はいまでも、山形県では11号、また違う都道府県では8号、伊達錦などの別名で呼ばれることがある。
後に名称一定会で、長いカタカナの名前から、ナポレオンは「那翁」、イエロースパニッシュは「福寿」といった和風の名前がつけられることになり、ようやく名前が普及していった。ちなみに、高砂にはおめでたいという意味がある。
そのほか、「珊瑚」「瑪瑙」「琥珀」など、宝石の名前をつけられたものもあったという。当時の人々が、いかにさくらんぼを大切にしていたかが伝わってくる。
そこで、輸入したとき苗木につけた番号がそのまま呼ばれていた時代もあった。黄玉は8号、ナポレオンは10号など。高砂はいまでも、山形県では11号、また違う都道府県では8号、伊達錦などの別名で呼ばれることがある。
後に名称一定会で、長いカタカナの名前から、ナポレオンは「那翁」、イエロースパニッシュは「福寿」といった和風の名前がつけられることになり、ようやく名前が普及していった。ちなみに、高砂にはおめでたいという意味がある。
そのほか、「珊瑚」「瑪瑙」「琥珀」など、宝石の名前をつけられたものもあったという。当時の人々が、いかにさくらんぼを大切にしていたかが伝わってくる。
2. 高砂の特徴
高砂は、もともとはアメリカ生まれの品種だが、日本になじみやすい朱紅色をしている。黄色地が徐々に熟れて赤くなっていく外皮は、日のあたり具合によって赤からオレンジへのグラデーションができている。さくらんぼ栽培農家は、これをムラだと嫌う場合もあるが、これはこれで美しく美味しそうだ。
見た目と味わい
重さは1個6g前後と大粒にはなりにくい。種が実に対して少し大きめで、果肉はクリーム色で柔らかい。品質はよいのだが、柔らかいので輸送には注意が必要だ。
糖度は13〜15度と、さくらんぼにしては平均よりやや下である。酸味はほかのさくらんぼと同じだけあるので、酸っぱさが際立つ。さっぱりと、いくつ食べても食べ飽きないのだ。甘い佐藤錦より、こちらの方が美味しいと好む人もいる。
糖度は13〜15度と、さくらんぼにしては平均よりやや下である。酸味はほかのさくらんぼと同じだけあるので、酸っぱさが際立つ。さっぱりと、いくつ食べても食べ飽きないのだ。甘い佐藤錦より、こちらの方が美味しいと好む人もいる。
旬の時期
高砂の旬は6月中旬頃で、佐藤錦より少しだけ早い。佐藤錦の影にかくれているが、可愛らしいハート型をしたさくらんぼは、おめでたい意味をもつ高砂という名前込みで、贈り物にも喜ばれている。
3. 園芸品種としての高砂
さくらんぼは気候とスペースがあれば、家庭でも複雑な手段なく育てることができる。中でも、高砂は作りやすい品種である。もちろん、たくさん手をかけた方が美味しくなるのが果物だ。
スーパーなどで売られているさくらんぼは、完熟する前に収穫して、追熟させているものもある。やはり木の上で完熟し、最高のタイミングでもいで食べるものが、一番美味しいのは間違いない。
日本の半分以上の人は家庭菜園経験者であるともいわれる。ちょっと変わったものを植えてみたいと思うのなら、さくらんぼの木を植えてみるのはいかがだろうか。
スーパーなどで売られているさくらんぼは、完熟する前に収穫して、追熟させているものもある。やはり木の上で完熟し、最高のタイミングでもいで食べるものが、一番美味しいのは間違いない。
日本の半分以上の人は家庭菜園経験者であるともいわれる。ちょっと変わったものを植えてみたいと思うのなら、さくらんぼの木を植えてみるのはいかがだろうか。
高砂は暖かい地域に向く
東北地方から、九州北部までの広い地域での栽培が可能だ。高砂は耐寒性で、大きくなりやすい品種。うまくスペースを制限したり剪定を行ったりすることで、室内でもコンパクトに栽培できる。
畑、広めの庭、花壇、鉢植えなど、育て方次第でどこでも栽培が可能だ。なお、屋外に植える場合は、雨よけがあった方がよい。さくらんぼの実は雨に触れるとはじけてしまうからだ。
畑、広めの庭、花壇、鉢植えなど、育て方次第でどこでも栽培が可能だ。なお、屋外に植える場合は、雨よけがあった方がよい。さくらんぼの実は雨に触れるとはじけてしまうからだ。
高砂は豊産性
高砂は、たくさんつぼみをつけ花を咲かせる。花の数だけ実をつけてしまうと木が疲れてしまうので、花を愛で楽しんだら、適当な数に減らした方がよい。一か所あたり2、3個になるように剪定しよう。栄養がよくいきわたり、美味しいさくらんぼになる。
高砂だけでは実がつかない
さくらんぼは自家受粉しないので、ほかの遺伝子を持ったさくらんぼの木が受粉木として必要だ。相性がよいのはナポレオンなど。ナポレオンも古くからある品種である。受粉のために二本必要なので、ある程度のスペースが必要になるのは仕方がない。
花が咲いたらお互いの木が受粉するよう、人の手で受粉してやると、実がなる可能性が高くなる。風まかせ虫まかせの運に頼るよりも確実だ。
花が咲いたらお互いの木が受粉するよう、人の手で受粉してやると、実がなる可能性が高くなる。風まかせ虫まかせの運に頼るよりも確実だ。
さくらんぼの増やし方
さくらんぼは、挿し木しても根が出ない。接ぎ木で増やしていくのだ。アオバザクラやコルトを台木に接ぎ木して増やす。中には別のさくらんぼの木に接ぎ木して、一本の木から二種類の実をつけるものもある。
これは素人には難しいので、苗木を購入することをおすすめしたい。ホームセンターなどでも、高砂やナポレオン、佐藤錦は定番であるので簡単に購入できるが、やはり苗木屋で購入すると枯れる確率は低いようだ。
これは素人には難しいので、苗木を購入することをおすすめしたい。ホームセンターなどでも、高砂やナポレオン、佐藤錦は定番であるので簡単に購入できるが、やはり苗木屋で購入すると枯れる確率は低いようだ。
観賞用にも
さくらんぼは、実がなるまで3〜5年かかる。だが、高砂の花は白くてとてもきれいだ。例え実をつけなくても、花だけでも育てる価値があるだろう。花が終わり、紅葉しても味わい深い美しさを見せてくれる。
結論
日本にやってきて150年以上の歴史がある、高砂。バランスのよい味わいは、いまでも人気がある。より甘さを求めて改良されてきた日本のさくらんぼだが、本来の甘酸っぱさを求めている人には、ぜひ高砂をおすすめしたい。なお、高砂は実が柔らかく傷みやすいため、なるべく早く食べるようにしたいものだ。すぐに食べられないときは、冷蔵庫の野菜室で保存。キッチンペーパーなどで包んでポリ袋に入れ、乾燥防止しておくと劣化が抑えられる。
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