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干しいもになるために生まれてきたさつまいも【ヒタチレッド】

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

2019年8月23日

「ヒタチレッド」は、「ヘルシーレッド」から改名されたものである。ヒタチ、すなわち常陸は、茨城県の旧名である。この地区で生産される蒸し切干の原材料に最適なさつまいもとして、ヒタチレッドは主に茨城県で栽培されている。肌寒さを感じ始める時期、食べたくなる蒸し切干と切っても切れない縁にあるヒタチレッド、そのプロフィールをみていこう。

1. 茨城県が満を持して導入したさつまいも、ヒタチレッド

1993年に新品種として命名登録されたヒタチレッドは、その名の通り常陸の国こと茨城県で栽培される赤い皮のさつまいもである。ヒタチレッドの誕生の裏には、茨城県の伝統的な食材が存在している。

ヘルシーレッドから改名

1993年、茨城県農業研究センターによって新たに登録されたさつまいもは、当時「ヘルシーレッド」の名が付いていた。茨城県は、蒸し切干すなわち干し芋の生産量が全国の9割を占める。ところが、この蒸し切干の原料は、「タマユタカ」という主力1品種のみに頼らざるを得ない状況であった。タマユタカは、蒸し切干にすると甘みが増す資質を持つさつまいもではある。とはいえ、1品種にのみ依存するのは心もとない。タマユタカの将来性や質や量に不安を感じた農業研究センターが、満を持して開発したのがヒタチレッドであった。

見た目が美しく、カロテンの含量が多い「キャロメックス」という品種を母としている。添加物を加えることなく、しかも美味しく食べることができる蒸し切干は、年代に関係なく人気が根強い。カロテン豊富なヒタチレッドは、蒸し切干のイメージアップのために一役買っている。ヘルシーレッドからヒタチレッドへの改名は、茨城県との縁の深さを象徴しているのだろう。さつまいもの品種としては、登録番号が「農林44号」、地方番号が「関東101号」となる。

2. 加工用のさつまいも、ヒタチレッドの味わいは?

ヒタチレッドによって、蒸し切干の製品多様化をはかりさらに地域の活性化につなげたい。それが、茨城県の切なる願いのようだ。ヒタチレッドとは、どんな特徴をもつさつまいもなのだろうか。

濃い赤色の皮がシンボル

その名の通り、ヒタチレッドの最大の特徴は濃い赤色の皮である。実は、薄いオレンジ色をしている。形は紡錘形だが、揃いがよいとはいえない。表面にはでこぼこが少なく、見た目は美しいほうである。

カロテン臭が気になる可能性も

ヒタチレッドは、蒸し切干になってもカロテン臭と呼ばれる独特の香りがある。そのため、好き嫌いの反応が分かれるさつまいもではある。とはいえ、甘みは申し分がないうえ、栄養価の分野からも支持する人は多いようだ。また、繊維質が少ないことも蒸し切干の条件に適っている。まさに干し芋にされるために生まれてきたようなさつまいもなのである。

温暖化の影響を受ける蒸し切干

ヒタチレッドが登場したことで、タマユタカの独擅場といわれた蒸し切干の世界にもさまざまな品種が奨励品種に加えられている。収穫したさつまいもを寒にさらし糖化させることで甘みを引きだす蒸し切干だが、昨今の地球温暖化で気温が充分に下がらず、甘さがのらないという問題も起きている。

3. ヒタチレッドは干し芋だけじゃなかった!

年末年始の美味のひとつである蒸し切干、その原材料として茨城県の食産業の一翼を担っているのがヒタチレッドである。しかし、それ以外にも美味しい食べ方があるという。

ヒタチレッドは蒸し切干になったものしかお目にかかれないのかと思いきや、茨城県農業総合センターは、別の食べ方も美味と評している。それは、からあげである。同センターの調査によると、からあげにしたヒタチレッドを「美味しい」と答えた人は80%強に上ったという。天ぷらにしても、美味しいに違いない。

結論

茨城県の名産品「蒸し切干」になるために生まれてきたようなヒタチレッドは、開発の段階から栄養面でも配慮が施されている。誰もが納得の甘みと栄養を兼ね備えたヒタチレッドは、蒸し切干以外にもさまざまな用途に進出する可能性が高い。明治時代後半から、茨城県で生産され続けている蒸し切干の将来を担うさつまいも、それがヒタチレッドなのである。
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