1. 沖縄で生産されている幻のバナナ【島バナナ】

バナナというと、海外から輸入しているイメージが強いかもしれないが、じつは日本国内でもバナナの栽培は行われている。なかでも、沖縄で生産されている島バナナは日本で採れる希少なバナナとして知られているのだ。もともとは小笠原諸島で栽培されていた島バナナ。それが明治21年頃に沖縄へ渡ったといわれている。現在島バナナが採れるのは沖縄(沖縄本島や宮古島、石垣島など)だけで、自宅の庭先などで島バナナを育てている沖縄県民もいる。お盆の時期に収穫できる品種なので、沖縄では島バナナをお盆のお供え物にする人も多い。
- 島バナナの味は?
島バナナは、甘酸っぱいさわやかな風味が楽しめる。日本で数多く出回っているバナナ(ジャイアント・キャベンディッシュ)よりも酸味が強いため、さっぱりとした味のフルーツが好きな人はきっと気に入ることだろう。食感はもっちりとしており、ほのかな甘い香りを堪能することができる。一般的なバナナでは味わえない、独特の味や食感、香りを有しているバナナといえるだろう。
- 島バナナの見た目は?
島バナナは一般的なバナナの約半分の大きさしかない。とても小ぶりで、皮の厚さは非常に薄く、皮が裂けて果肉が飛び出すこともある。収穫したばかりの島バナナの皮は青いが、数日間常温保存すると徐々に鮮やかな黄色へと変色する。
- なぜ島バナナは沖縄でしか見かけないの?
沖縄では夏の時期に見かけることができる島バナナ。しかし、沖縄以外の地域で島バナナを店頭販売している店はほとんどないといっても過言ではない。なぜ島バナナは沖縄県内でしか流通していないのか。その理由は、沖縄特有の環境にある。沖縄は全国の中でも台風が頻繫にやってくる地域。島バナナは非常に繊細なバナナなので、台風の影響により傷が入ったり、見た目が悪くなったりすることも多いのだ。さらに、島バナナを食い荒らしてしまう天敵「ゾウムシ」に狙われやすかったり、一度感染すると畑全体のバナナがダメになってしまう恐ろしい病気「イチョウ病」にかかったりすることもあるため、リスクが非常に大きい。そのため、率先して島バナナを生産している農家が非常に少なく、沖縄でも希少なバナナとして扱われているのだ。見た目がきれいで売り物になる島バナナの数は非常に少なく、そのような島バナナの大半は沖縄の青果店やネット通販の商品として並んでしまうため、沖縄以外の地域では島バナナをあまり見ることができない。
2. 島バナナとモンキーバナナの違いは?

島バナナとよく間違えられるバナナの品種として知られているのが、モンキーバナナである。モンキーバナナは島バナナと同じく見た目が小さいため、区別がつかない人も多い。ただし、島バナナとモンキーバナナの見た目には大きな違いがひとつだけある。それは「島バナナのほうが茶色の斑点(シュガースポット)が多い」という点だ。モンキーバナナは鮮やかな黄色をしているが、島バナナは食べごろになるとシュガースポットがどんどん増えていく。
島バナナとモンキーバナナは味も異なる。島バナナは甘みと酸味の両方を感じられるのに対し、モンキーバナナは甘みのほうが圧倒的に強いのだ。
ちなみに、島バナナは沖縄特有のバナナだが、モンキーバナナはフィリピンや台湾などさまざまな国で栽培されているため、そもそも栽培されている地域や環境もまったく異なる。
3. 島バナナは追熟が必要

島バナナは、収穫後すぐに食べられるわけではない。収穫した直後の島バナナはまだ青く、果肉が十分に熟していないため、美味しく食べるために追熟という作業を行う。追熟とは、収穫したあとに常温保存をして果肉を成熟させる作業のことだ。島バナナを追熟させる場合、バナナをテーブルの上などに直置きしてしまうと、テーブルに触れている部分だけ早く傷んでしまうため、バナナスタンドを使って吊るしておくことをおすすめする。
結論
島バナナは希少価値が高いため、通常のバナナの約10倍の値段がつけられているが、その値段に値するリッチな味や食感を楽しめる。そのため、沖縄へ行く機会がある人は、ぜひ島バナナを食べてみることをおすすめする。
この記事もcheck!