1. 【エゴマ】とは?
エゴマその名前からエゴマはごまの仲間だと勘違いされやすいが、大葉と同じしそ科の植物だ。なぜ、エゴマがしそ科の植物と認知されていないのかというと名前はもちろん、利用方法も異なっているからだ。大葉がそのまま香味野菜として使用される一方で、エゴマは主に油の原料として使われる。そのため、エゴマは植物の状態で見る機会がなく、よく知られていないのだ。
エゴマは日本に昔からある
エゴマ油が健康効果から注目され始めたのは最近だが、じつは日本では平安時代から製造、利用されていることが分かっている。平安時代では食用として使われることがなかったエゴマだが、じつは栽培自体はそれより昔から行われていたことが分かっている。なんと約5000年前の縄文時代の遺跡からエゴマの種子が見つかっている。このように、昔から日本人に身近な植物として関係を築いてきたエゴマだが、食用油として利用されるようになったのは江戸時代からである。
韓国では葉を食べることも
日本では油の原料として使われることが多いエゴマだが、韓国ではエゴマの葉が主に食べられている。日本でも有名な韓国料理、サムギョプサルはサンチュに肉や野菜を包んで食べるのだが、エゴマの葉を使うこともある。また、エゴマの葉のキムチなど韓国料理ではポピュラーな食材だ。
2. エゴマの旬と栽培地
日本では、ほとんどのエゴマがエゴマ食用油に加工されてから市場に出回るため、エゴマの旬というのは分かりにくい。同じしそ科の植物である大葉は夏が旬であるが、エゴマは秋が旬である。葉を食べる大葉と異なり、主に種子を加工するエゴマの収穫イメージとしては、稲刈りのほうが近いだろう。本格的に暑くなる前の5~6月に種まきが行われ、涼しくなってきた9月頃に収穫時期を迎える。
どこで栽培されている?
はるか昔から日本人と密接な関係を築いてきたエゴマは、いまでも国内で栽培され続けている。しかし、どこで栽培されているのか知っている人は少ない。エゴマ油として加工されてから市場に出回ることも1つの要因だが、栽培地を知らない要因はほかにもある。それはエゴマの栽培の歴史が長いことに関係している。エゴマが多く栽培されている地域では、その地域独特の呼び名が使われているのだ。エゴマが多く栽培されている地域として福島県と岐阜県(飛騨地方)が挙げられるが、同じエゴマでも福島県は「じゅうねん」、岐阜県では「あぶらえ」と呼ばれている。どちらもエゴマが手に入りやすい地域であるため、郷土料理にはエゴマを使用しているものもあるが、地域独特の呼び名を用いているため、他県の人には分かりにくい。そのため、エゴマの産地と聞いても思いつかないのだ。
3. エゴマはどうやって食べる?
エゴマの生産地以外の地域でエゴマを食べようと思ったら、エゴマ油が一般的だ。エゴマ油はほかの油と同様、炒め物などで使える油だ。また、手作りドレッシングに使う油としても最適だ。
エゴマ油を使ってドレッシングを作る
ドレッシングは酢とエゴマ油を混ぜ合わせることで作ることができる。最初は酢とエゴマ油が分離した状態であるが、混ぜ続けると次第になじんでくる。分離しなくなったら、味付けをする。塩、こしょうで味付けすればフレンチドレッシングになる。また、醤油で味付けをすれば和風ドレッシングになる。サラダの具材に合わせてドレッシングの味付けを変えてみよう。エゴマ油は、熱で酸化されやすいため、ドレッシングとしてサラダで美味しく食べるといいだろう。
エゴマの実を使った郷土料理
エゴマの栽培地では、エゴマを使った郷土料理が有名だ。エゴマをじゅうねんと呼ぶ地域では「じゅうねんもち」や「じゅうねんみそ」が郷土料理として親しまれている。ごまと同じくらいの大きさであるエゴマの実は、すってエゴマを使うことが多い。じゅうねんもちは、エゴマの実に醤油や砂糖を加えた衣を、もちにつけて食べる郷土料理だ。
結論
日本ではエゴマ油の原料として使われることが多いエゴマは、縄文時代から日本人と密接な関係を築いてきた珍しい植物だ。エゴマ油として生活用、食事用とさまざまな活躍をしているエゴマだが、最近の韓国ブームによってエゴマの葉を食べるという新しい価値観も浸透しつつある。要注目の食材である。
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