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まるで大河ドラマ!トマト【桃太郎】の特徴とその誕生ストーリーとは

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

2019年8月20日

日本のトマト市場に無敵の強さで君臨するトマト、それが「桃太郎」である。理由はごく簡単である。桃太郎トマトは、甘くそして身が締まっている。そして、大玉である。桃太郎トマトが登場する以前のトマトは、この条件を満たしていなかったのである。1980年代の日本のトマトの転換期、桃太郎トマトはどんな役割を果たしたのであろうか。

1. とにかく「硬い」トマトを!という願いで完成した桃太郎

身体にはよいけれどなんだか食べにくい、といわれていたトマトはすでに過去の話。1980年代に美味しいトマトが続々と登場し、子どもたちのトマト嫌いもこの時代を境に激減したともいわれている。その理由の1つに、桃太郎という品種のトマトの登場があげられる。

1960年代から始まった「硬い」トマトへの挑戦

かつて、日本のトマト市場に出回っていたのは「ファーストトマト」という品種であった。昭和の初期に栽培が始まったファーストトマトは、いまでこそその価値が見直されているものの、貯蔵や栽培技術が未熟だった時代には身が崩れやすく、熟さないうちに収穫していたため味覚もイマイチとされていたのである。そこで始まったのが、完熟してから収穫しても輸送に耐えうる硬いトマトの開発であったのだ。星の数ほどあるトマトの品種の中から、ふさわしいと思われる50種を選抜し改良が始まったものの、ようやく満足がいく硬さのトマトが収穫できたのは1976年のこと。じつに、改良開始から6年が過ぎていたという。

「硬さ」の次に追求した「甘さ」

しかし、輸送に耐えることができる硬さが実現できても、トマトそのものの美味しさがなければ商品にならない。というわけで、次に始まったのが「甘さ」獲得への努力であった。ここからさらに、数百の品種を交配させて、「桃太郎」の原型となる品種が完成したのは1979年。販売にこぎつけたのは、1983年である。糖度、果実の硬さ、果肉の厚み、酸度などの基準が設けられて、これをクリアしたもののみが「桃太郎」と名乗れるようになったのである。20年余を経て完成した桃太郎、関係者の涙ぐましい努力が見事な実を結んだといえるだろう。まさに、大河ドラマのようである。

2. 次々に誕生する桃太郎系のトマトたち

販売開始以後、トマト市場を席捲した桃太郎は、その後も品質向上への歩みを止めていない。「桃太郎系」と呼ばれる一大帝国を築くことになったこの品種、一体どんなタイプがあるのだろうか。

その数、20種以上の「桃太郎」

桃太郎系の品種は、現在までのところ20種以上を数える。いずれも、200g前後の大玉であり、裂果が少なく甘みがあるなど、桃太郎本来の特徴はかわりない。加えて、気候条件や栽培の状況に即して農家が選択できるようになっている。また、地球の温暖化や気候の変化によって、病害も変化をしている。それらに対抗するための品種改良でもある。

「ワンダー」「セレクト」「エイト」「ピース」「ファイト」などなど、桃太郎の後と前には品種ごとに楽しい名がつけられている。珍しいところでは「桃太郎ゴールド」がある。これは、黄色のトマトで、糖度からいえば通常の桃太郎に劣るものの、とてもバランスがよい甘みと酸味を兼ね備え、かつ身が引き締まっている。十分に、美味しいトマトとしての条件をクリアしている。

桃太郎の旬は?

日本全国で栽培される桃太郎トマトは、スーパーで最も目にすることが多い品種である。また、各地の気温や気候によって、同種といえども旬が異なるのは当然かもしれない。農協によれば、元祖である「桃太郎」の旬は5〜10月とされている。つまり、初夏から晩夏にかけてはまちがいなく桃太郎を美味しく食べることができる。

3. 桃太郎トマトの正しい扱い方

桃太郎トマトを選ぶ際には、ずっしりとした重みがあり果皮にハリがあるものを選ぶのがよい。また、へたも青々としているのも新鮮な証である。購買時に十分に熟していなくても、追熟によって赤くなる。その場合は、冷蔵庫よりも冷暗所に保管するほうが好ましい。

甘みと酸味がのった桃太郎トマトならば、調味料など不要なほど美味である。切れのよい包丁でサクっときれいに切って、塩だけ、あるいはオリーブオイルだけを少量かければそれだけで夏の食欲をそそる涼しげな一品となる。

結論

各地で改良され登場する大玉トマトの市場ではあるが、桃太郎系のトマトの優位は揺るぎない。200g前後の大玉のトマトは、夏には常に常備しておきたい野菜の1つであり、おかずとしてだけではなくおやつとしても食せるほどに美味しい。5月には登場する桃太郎トマト、その香りをかぐだけで夏への期待が高まる。完熟して出荷されても果肉が締まっているのが常の桃太郎トマト、今後もしばらくは大玉トマトの王者として盤石であろう。
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