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メイド・イン・ジャパンのワインを支える【マスカット・ベーリーA】

メイド・イン・ジャパンのワインを支える【マスカット・ベーリーA】

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 小林里穂(こばやしりほ)

鉛筆アイコン 2020年10月15日

年々増え続ける日本国内のワイン醸造所。国税庁の調査によれば、日本国内の醸造所は300に迫る勢いだという。その日本におけるワイン醸造の歴史の中で、重要な役割を果たしてきた「マスカット・ベーリーA」。醸造用としてだけではなく、生食としても美味しいと評判だ。マスカット・ベーリーAについて詳しくみてみよう。

  

1. 日本の気候風土に適したぶどう「マスカット・ベーリーA」

西洋化が進んだ明治期から大正にかけて、ワインの醸造の先駆者によって登場したマスカット・ベーリーA。誕生から半世紀以上が経った現在も、日本産の赤ワインを支える品種として定着している。

■1940年、「日本ワインの父」の手から生まれ発表された品種

マスカット・ベーリーAは、生食用ぶどう「ベーリー」とワイン用ぶどう「マスカット・ハンブルク」の交配種だ。マスカット・ハンブルクはヨーロッパ系、ベーリーはアメリカ系の黒いマスカットである。
「日本ワインの父」と呼ばれる川上善兵衛が、約1万種に及ぶ品種交雑から見つけ出したものといわれている。
川上善兵衛の目的は、日本の気候風土に適したヨーロッパ系のぶどうを栽培することにあった。マスカット・ベーリーAの交雑は1927年にはじまり、はじめて結実したのは1931年。1940年に、正式に発表された。
1940年から今日にいたるまで、日本の赤ワイン用のブドウとしては最も生産量が多い品種となっている。おもな産地は、山梨県、兵庫県、岡山県である。

■生食用としても美味

マスカット・ベーリーAの母であるベーリー種は、もともと生食用のぶどうであったため、マスカット・ベーリーAもワインの原料としてだけではなく、生食としても美味しい。果実の粒が大きいため、加工をしなくても視覚的にも美しい品種である。

2. マスカット・ベーリーAの味わいや特徴

豪雪地帯である新潟県の大地主のもとに生まれた川上善兵衛によって誕生したマスカット・ベーリーA。成熟が早く、霜の影響も受けにくいといわれている。形状、味わいにはどんな特徴があるのであろうか。

■果実も房も大きめ、美観が特徴のマスカット・ベーリーA

マスカット・ベーリーAは、果粒が大きめで果皮は黒紫をしている。果皮は、厚い部類に入る。房も大きく育つ。東北地方から九州地方にいたるまで栽培が可能。高温多湿な日本の気候でもよく生育する、ヨーロッパ系のぶどうである。

■果実は黒色でも、ワインの色は鮮やか

マスカット・ベーリーAは、イチゴのような軽やかな果実味とほどよい渋味が特徴である。湿度が高い日本のぶどうにふさわしく、湿った植物のようなほのかな香りも独特である。タンニンはまろやかで、ふくらみのある味わいである。果実は黒に近い紫色であるが、ワインとなると明るい色合いである。見た目を裏切るような鋭い酸味も有している。

■国際的なワインのぶどう品種として認められる

2013年、マスカット・ベーリーAはワインの国際的評価機関である「OIV(国際ぶどう・ぶどう酒機構)」に登録され、グローバルな舞台へと活躍を広げる条件を整えた。これは、2010年にOIVに登録された「甲州」に続く快挙であった。欧州やアメリカのワインとは一線を画す日本ワインの魅力を喧伝するためにも、うれしいニュースであったといえよう。

3. 甘く軽やかなマスカット・ベーリーAとマリアージュする料理は?

マスカット・ベーリーAの甘やかな香りと軽やかさは、渋い赤ワインが苦手という人にも飲みやすい。
赤ワインとしてはカジュアル感があるため、うなぎなどの魚料理とも相性は悪くない。和食と供される赤ワインとして最適である。
肉料理においては、濃厚なソースがかけられた赤身の肉よりも、鶏肉のグリルや、やきとりなどの醤油ベースの味付けの肉と美味しく飲めるといわれている。

結論

メイド・イン・ジャパンのワインを支えるマスカット・ベーリーA。日本ワインのパイオニアともいうべき人物によって生まれた品種である。赤ワインの原料としてだけではなく、生食としても美味しいぶどうとして知られている。今後は、国際舞台での活躍も期待されるマスカット・ベーリーA、西欧でどのように受け入れられるかお手並み拝見といったところである。
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  • 公開日:

    2019年9月11日

  • 更新日:

    2020年10月15日

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