1. 仔牛とは

仔牛の仔は子と同じ意味。すなわち子どもの牛のことである。フランスやイタリア、ドイツをはじめとするEU諸国やニュージーランドでは非常にポピュラーな素材で子どもの牛肉ではなく、仔牛というひとつの食肉として確立されている。仔牛の定義は各国によってさまざまだが、生後12ヶ月以下の牛であることが基準。実際には乳牛用として誕生したが、乳を出すことのない雄牛が仔牛として屠畜されることが多いという。
仔牛の種類
仔牛は月齢によって肉質が異なるため、いくつかの分類がなされる。一般的に〜8ヶ月くらいの仔牛はヴィールと呼ばれる。その後、8〜12ヶ月の仔牛はロゼヴィール、ヤングビーフなどと呼ばれている。ヴィールのなかでも、ミルクだけを飲んで育ったものはホワイトヴィールやミルクフェッドヴィールと呼ばれ、高価格で取引されることも多い。
仔牛の特性
仔牛は脂肪分が少なく、高たんぱく質。なおかつ柔らかい肉質であることが特徴だ。日本での生産は少ないので、扱われているものの多くは輸入品である。いずれにせよ、高級素材として扱われている。
2. 仔牛と牛肉の違い

色
仔牛と牛肉を並べて見るとよくわかるが、仔牛は淡いピンク色の肉質。これは鉄分が少ないことを表しており、仔牛が美味しいゆえんでもある。どちらかといえば鶏肉に近い色合いといっても過言ではない。対して牛肉は鉄分の多い赤色をしている。色の違いは味の違いにも通じている。
味
仔牛は我々がよく知る牛肉特有の臭みが少なく、さっぱりとした味わいだ。ホワイトヴィールに関しては、普通仔牛が食べているような穀物や草などの餌を食べさせず、ミルク主体で育てているので、特有の臭みがほとんどない。いわゆるサシなどもまだなく淡白な味。それでいて旨みが多い。
食感
仔牛は適度な弾力があり、それが美味しさに繋がっている。とくに冬に生まれ、春から初夏に出荷されるものは、身が締まり高級品として扱われるようだ。牛肉はご存知の通り、サシの入っているものは口の中でとろけるような食感。赤みはジューシーだが弾力とは違ったかみごたえのある食感である。
3. 仔牛の代表的な料理

フランス料理×仔牛
フランス料理にもしばしば登場する仔牛。とくにブルターニュ産の仔牛は高級食材として知られている。代表格の料理としてあげられるのが、フリカッセ。これは生クリームを使ったまろやかな煮込み料理で、ビストロなどでもポピュラーな存在だ。鶏肉で作られることも多い。ちなみにフランス料理でよく耳にするリードヴォーは、仔牛の胸腺肉のことである。牛肉では食べられない部位も仔牛であれば食べられるということも多い。
イタリア料理×仔牛
イタリアでも仔牛は非常にポピュラーな素材。仔牛に生ハムとセージというハーブを合わせ、ソテーしたサルティンボッカは多くの人が耳にしたことのあるメニューであろう。ローマ生まれだが、イタリア全土で広く親しまれている。そのほかミラノ生まれの仔牛のカツレツやオーソブッコと呼ばれる骨つき仔牛の煮込み料理も旨い。
結論
仔牛と牛肉の違いは見た目、味わい、食感と肉を形成するそのほとんど。欧州では牛肉とは異なるひとつの食肉カテゴリーとして定着している。日本で味わう仔牛は輸入品が多いが、じわじわ国産品も増えつつあるようだ。
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