1. 鉄観音の特徴

烏龍茶の中でも生産量が5%という希少なお茶である鉄観音。青茶に分類される半発酵茶のため、緑茶や紅茶の美味しさを兼ね備えているのが魅力だ。鉄観音とは原料の名前がそのままお茶になっている烏龍茶で、独特の個性がある。
蘭の花や桃のような香り
鉄観音というチャノキから収穫された茶葉は、丸まっており光沢がある。水色(すいしょく)は美しい黄金色で、華やかな印象を与えるお茶だ。鉄観音はとくに濃厚な味と香りが魅力といわれており、蘭や桃のような甘い香りが特徴的である。この独特な香りは、鉄観音の茶葉を半発酵することにより生み出されるものだ。また、鉄観音は茶葉の成長速度が比較的遅く旨みが凝縮されやすいことから、後味が強く余韻の長いお茶に仕上がっている。
希少で人気のお茶
鉄観音は烏龍茶の中でもわずか5%ほどの生産量といわれており、それゆえ高級なお茶として人気を集めている。20世紀のはじめに国際品評会で優勝した実績があり、日本でも大手メーカーによりペットボトル茶として販売されるなど、比較的目にすることが多い。
2. 鉄観音の由来と銘柄

鉄観音という名にはインパクトがある。生産量が少なくても人気を集め日本でも知られるようになったのは、この個性的なネーミングも影響しているかもしれない。鉄観音とはチャノキの名前だが、由来には諸説ある。また代表的な銘柄も紹介しておこう。
由来は観音菩薩や観音岩
鉄観音の名前の由来は明確にはなっておらず、次のようにさまざまな説がある。
- 茶葉の光沢が鉄製の観音菩薩像に似ていたという説
- チャノキを観音菩薩から賜ったという説
- チャノキが鉄観石の間に生えていたという説
- 茶農家がチャノキを観音岩という場所で見つけたという説
鉄観音の代表的な銘柄
鉄観音には2つの代表的な銘柄があり、それぞれ産地や特徴が異なる。
- 安渓鉄観音
中国福建省・安渓県で生産される。以前は重焙煎による濃厚な風味が特徴的だったが、近年では軽焙煎によるさわやかな風味が主流である。
- 木柵鉄観音
台湾台北市・文山区付近で生産される。清朝の末に福建省安渓県からチャノキが持ち帰られ、生産されるようになったといわれている。強い揉捻と反復焙煎という独特の製法で作られ、香ばしさと柑橘類に似た香りが特徴的だ。
3. 鉄観音の美味しい飲み方

鉄観音の美味しさを存分に味わうためには、お茶の淹れ方が重要である。そこで、美味しい淹れ方のポイントをおさえておこう。
茶器と茶葉を温める
鉄観音に限らず、烏龍茶は温度を下げないように淹れるのが美味しく飲むコツだ。いきなり淹れるのではなくまずは茶器を温めよう。沸騰している湯を急須(茶壷)に入れ、湯呑(茶杯)に移す。10秒間温めたら急須の湯を捨て、茶葉を入れる。茶葉の適量は、急須の容積を40で割った値が目安。400㏄の場合は10g、200㏄なら5gといった具合だ。温めた急須に茶葉を入れたら熱湯を注ぎ、すぐに捨てる。これは洗茶といい、茶葉の温度をあげ汚れも洗い流すことができる。
何度も楽しもう
鉄観音茶の1煎目は熱湯を注ぎ1分間ほど蒸らす。蒸らし終わるころに、湯呑を温めていたお湯を捨てよう。2煎目は注いですぐに煎れても美味しいが、より濃い風味を楽しみたいなら20~30秒ほど蒸らすとよい。急須のお湯はその都度すべて注ぎ出すようにしよう。3煎目からは徐々に薄まっていくため、蒸らし時間を長めにとることで5~6煎ほどは美味しくいただける。
結論
鉄観音という名前は聞いたことがあるけれど飲んだことはないという人も多いかもしれない。甘い香りが特徴的な鉄観音だが、銘柄によって違った味わいを楽しめるのも魅力である。希少で高級といわれるが入手はそこまで難しくないため、ぜひ飲み比べてみよう。
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