1. 海藻とは

日本で食用にされているもののほとんどは、この海藻。根と茎と葉の区別がはっきりとしていない藻類(そうるい)を指す。藻類とは草木のように種子植物ではなく、シダやコケでもないものを指す言葉で、陸上にも生息している。海に生息している藻類だから、海藻と呼ばれるのだ。
海藻と海
海藻は、海に欠かせない存在。海藻は陸上の草木同様、光合成を行う。体全体で、水と栄養を吸収し、生育していく。生息地は波が強く当たる岩場に多く、繁殖は海中を泳ぐ胞子によって行われる。色によって緑藻、褐藻、紅藻の3種類に分類されるのが一般的で、我々がよく食べる昆布やワカメは褐藻だ。味噌汁などに入れるアーサは緑藻。海苔や海藻サラダに使われる赤色の海藻は紅藻である。海藻はその数がとても多く、日本だけでも1500種を超える海藻が生息しているといわれている。
海藻の使い道
実は、海藻はそのまま食べられるだけでなく、幅広く活用されている。例えば、ハムやソーセージに弾力を持たせる効果や、シャンプーやコンディショナーのテクスチャー作りに使われるカラギーナンは、紅藻類由来のもの。ほかにも奄美大島の伝統的な織物・大島紬には、糸にフノリが使われているなど、食用以外にも多彩な活用がなされているのだ。
2. 海草とは

海藻と区別するため、うみくさと呼ばれることが多い。こちらは、陸上に生えている草木と同じく、種をつくる種子植物。海の中で生活をするため、海草と呼ばれている。海藻との大きな違いは、根と茎と葉の区別がはっきりとしていること。根を張り、養分を吸収して育つ。花を咲かせるものもある。
海草と海
海草も海藻同様、海には欠かせない存在。光合成が必須なので、比較的浅瀬に生息する。水の汚れの原因となる物質を吸収し、水を綺麗にする効果もあるといわれ、海草が密生している海草藻場は、さまざまな生物の産卵場所として使われている。
海草の使い道
海草は、海の妖精ジュゴンが食用とすることで注目を集めたが、人間が食用にすることはない。海草はアマモ、スガモ、ウミショウブなど、世界でも60種類ほどしかないそうだ。さらに、現在は埋め立てや水質汚染が原因で、海草藻場は失われつつある。なにかと話題に登ることの多い、沖縄県の辺野古にも豊かな海草藻場があるといわれている。
3. 海藻と海草

まとめると
海藻は海の藻。海草は海の草。読んで字のごとくである。海藻は胞子で繁殖し、海草は種から生育するものであり、似た印象を抱きがちだが、まるで別の生物といえる。生息場所も基本的に重複しないので、同じ場所で見るということはない。我々が普段、口にするワカメや昆布、めかぶなどはすべて海藻なので、海草サラダという書き方は、本来間違いなのである。
共通点は?
両者ともに、光合成をする点は同じ。そのほか、別の生物の隠れ家、産卵場所として活用される点も類似している。陸上の多くの草木のルーツは、海藻にあるといわれている。海藻が陸上に上がり、陸上で生きやすいよう進化した結果、種子植物になっていった。対して海草は、その進化の過程で陸上に上陸したものがもう一度住処を探して、海中に戻ってきたものだと考えられている。
結論
海藻と海草、読み方は同じでもまったく違うものだということがお分りいただけただろうか?実際、見た目もまるで違うので、一度調べてみると面白いかもしれない。間違っても海草サラダ、海草スープなんて書かないように注意したい。
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