1. れんげ畑の減少とともに超高級品になったれんげはちみつ

かつては、日本の春の田を埋め尽くしていたれんげの花。車窓から見える一面をピンク色に染めるれんげ畑は、日本の春の風物詩であった。国産はちみつの主要品であったれんげはちみつは、現在は貴重価値の高い超高級品となっている。その理由とは何であろうか。
田の土を肥やしていたれんげの花
日本の農家では、土を肥やす目的でレンゲソウやクローバーの種をまいてきた歴史がある。田んぼに稲を植える前に、れんげやクローバーの花を咲かせることによって緑肥の役目を与えてきたのである。とくに、レンゲソウそのものが空気中の窒素を取り込んで肥料となるメリットがあった。かつては日本産のはちみつの代表ともいえたれんげはちみつには、日本の稲作と密接に結びついていたのである。れんげはちみつは日本人の舌に最も馴染んできたはちみつといっても過言ではないだろう。
れんげはちみつをめぐって変わる環境
近年、稲作が衰退しつつあることがれんげの花の減少につながっている。また、化学肥料がレンゲソウの役にとってかわったという説、レンゲソウの害虫が急増したなど、そのほかにもさまざまな理由がある。いずれも、れんげはちみつにとっては大きなデメリットであることはいうまでもない。希少価値が高くなったれんげはちみつは、単花蜜の中でもとくに高額な商品となってしまった。
2. れんげはちみつの現状、未来への対策とは?

飲み物にもお菓子にも馴染みやすく、かつ日本の風土に密着してきたれんげはちみつ。れんげはちみつはどのくらい減少してしまったのであろうか。また、そうした状況を救う手立てはあるのだろうか。
およそ30年でかつての半分以下になった蜜源
農林水産省のデータによれば、1985年には蜜源となるれんげ畑は21,900ha近くあったとされる。ところが約30年後の2014年には、
8,400haにまで減少。半分以下になってしまったことになる。また、地球の温暖化によってれんげの開花が早くなっていることも影響しているといわれている。みつばちが飛ばないうちに花が咲いてしまうのである。
8,400haにまで減少。半分以下になってしまったことになる。また、地球の温暖化によってれんげの開花が早くなっていることも影響しているといわれている。みつばちが飛ばないうちに花が咲いてしまうのである。
れんげ畑の復活に向けた取り組み
この状況を憂えて日本各地でれんげ畑を復活させようという動きもある。れんげに限らず、かつての日本の春を彩っていた植物の減退は蜜源の減少に影響を与え、日本養蜂協会や養蜂研究会では、蜜源の確保について啓発を行っている。岐阜県では、休耕中の田んぼにレンゲソウの種をまき、積極的に蜜源の確保を試みている。人気の味わいのはちみつであるだけに、環境的にも商業的にもれんげ畑の復活が求められるといったところだろう。
3. 日本人には懐かしさも感じる甘さがあるれんげはちみつ

採蜜量の激減から、あっという間に売れきれてしまうれんげはちみつ。人気の理由は、なんといっても歴史の中で日本人の舌になじんできた優しい甘さにある。香りもクセも主張がなく、紅茶やハーブーティーに入れても邪魔することがない。お菓子だけではなく、ドレッシングや煮物などの料理にも向いているはちみつである。
なお、ぶどう糖が多いれんげはちみつは、結晶化しやすいという性格も有している。固まってしまった場合は、湯せんすればとろとろの状態に戻る。
なお、ぶどう糖が多いれんげはちみつは、結晶化しやすいという性格も有している。固まってしまった場合は、湯せんすればとろとろの状態に戻る。
結論
日本では大人気のれんげはちみつは、日本の農業とともに日本の風土になじんできた。近年のさまざまな環境的な要因によって、れんげはちみつの生産量は激減している。しかし人気は変わらず、優しい上品な味わいは依然として需要が高い。れんげはちみつを今後も楽しめるかどうかは、われわれ日本人の意識にかかっているといってもいいだろう。
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