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【加賀みそ】の特徴を解説。江戸時代から生産が奨励されていた?

【加賀みそ】の特徴を解説。江戸時代から生産が奨励されていた?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 藤江美輪子(ふじえみわこ)

鉛筆アイコン 2020年1月 4日

かつて、郷土料理はその地域でしか食べることができない料理であった。その背景には地域によって収穫できる食材が異なっていたこと、生活環境が異なっていたことなどが関係している。味噌も郷土料理を語るうえでは欠かせない存在で、味噌の風味がその地域の味を大きく左右していた。いまでは流通の発達によりほかの地域の味噌を食べることができるようになった。ここでは改めて「加賀みそ」の特徴を紹介する。

  

1. 加賀みその産地と歴史

加賀みそはその名の通り、石川県を中心に造られている味噌だ。かつて石川県周辺が加賀藩と呼ばれていたことから、加賀みそと名付けられたとされる。石川県といえば温泉と料理が有名な地域で、観光地として日本各地さらには海外からの観光客も多い。温泉と料理が有名過ぎて加賀みその印象はあまり強くないのだが、加賀みそは加賀料理には欠かせない食品(調味料)で加賀を訪れた際は加賀みそもぜひチェックしておきたい。
石川県には現在も「味噌蔵町」など味噌という名がついた地名が多く残っている。地名からわかるように味噌造りが盛んだった地域なのだが、石川県で積極的な味噌造りが行われていた理由は江戸時代にまでさかのぼる。

当時加賀藩を統治していた前田氏が、戦のない江戸時代においてもいつ戦が起きても対応できるように、軍需品として味噌を製造・貯蔵していたのだ。まだ戦の多かった戦国時代では味噌を兵糧とするのは一般的で、伊達政宗が仙台みそを、武田信玄が信州みそを積極的に製造していたことも記録より明らかになっている。加賀の前田氏は江戸時代になっても積極的に加賀みその製造・貯蔵を行った結果、加賀みそは地域に深く根付き、現在に至るまで地元の人に愛される味噌となった。

2. 加賀みその特徴

加賀みそは大豆と米糀を原材料にして造られているため米味噌に分類される。米味噌は日本でもっとも多く造られている味噌の種類で、東海地方と九州地方を除く広い地域で食べられている。しかし、地域によって味噌の塩分や色が異なる。原材料と製法が同じにもかかわらず、このような違いが出るのは米糀の使用量や熟成期間が違うからだ。まず米糀の使用量についてだが、大豆と比べて米糀の量が多いか少ないかで味噌の甘みは大きく左右される。米糀の使用量が大豆よりも多くなれば甘味噌に、少なければ辛口味噌となる。
関東以北の地域で造られている味噌の多くは米糀の使用量が少ないため辛口味噌に分類される。石川県で造られる加賀みそも辛口味噌に分類されるのだが、昨今の減塩ブームによって味わいは少しずつ変化している。かつての加賀みそよりも米糀の使用量が増え、塩分量が減っているのだ。そのため辛口味噌のわりに、甘みの強い味噌になっている。また、色も変化してきている。味噌は長く熟成させると赤褐色に色を変えていくのだが、辛口味噌の多くは長期の熟成期間を経るため、赤褐色であるのが一般的だった。加賀みそも赤褐色の味噌だったのだが、最近では色が淡くなってきている。

3. 加賀みそのおすすめの食べ方

ネットでもさまざまなレシピを検索できるようになり非常に便利になったが、味噌については少し注意が必要だ。なぜなら使用する味噌の種類が書かれていないことが多いからだ。味噌には米味噌以外にも麦味噌や豆味噌、また米味噌でも甘味噌や辛口味噌があるのだが明確に記されているものは少ない。そのため、加賀みそを使うべきかどうか判断に迷う場合もあるだろう。

しかし一般的に味噌とのみ記載されている場合は、加賀みそを使って構わない。加賀みそは辛口の米味噌に分類されるのだが、このタイプの味噌は多くの地域で食べられており一般的だからだ。逆に、白味噌(甘味噌)や豆味噌と指定されている場合は加賀みそを使うのはおすすめできない。また、味噌によって甘みや塩味は多少異なるため、必ず味見しながら味噌の分量を調節するようにしよう。
辛口味噌でありながら甘みも感じることができる最近の加賀みそでぜひ作ってほしいのが、鯖の味噌煮だ。脂がのった鯖は美味しいのだが、青魚特有の臭みがあるため調理には非常に気を遣う。しかし味噌は臭み消しの役割も担うため、鯖との相性はバツグンだ。鯖の味噌煮は広い地域で作られる定番の味噌料理だが、味噌の味わいがそのまま反映される料理でもある。そのため、辛口味噌と甘味噌の中間ともいえるような絶妙なバランスの味わいをもつ加賀みそを味わうには最適なのだ。当然ながら、伝統的に造られている辛口の加賀みそで作ってもよい。

結論

加賀野菜など伝統的な食材を活かした加賀料理が有名な石川県で造られている味噌が加賀みそだ。江戸時代には藩主の前田氏が軍需用として加賀みその製造・貯蔵を奨励したことから味噌造りが地域に深く根付いている。もともとは辛口の味噌だったが、時代の流れに合わせて甘めの味噌に変化している。石川県に観光に行った際には温泉だけではなく、味噌にも注目してほしい。
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  • 更新日:

    2020年1月 4日

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