1. 東海豆みその産地

東海豆みそとは、東海地方で造られている豆味噌の総称で、豆味噌はそもそもほかの地域であまり造られていない味噌だ。
豆味噌は東海地方で主に造られている味噌
日本で造られている味噌は米味噌、麦味噌、豆味噌の3種類に大別されるが、地域によって好まれる味わいが異なるため生産地に偏りがある。もっともメジャーな米味噌は、北海道から中国・四国地方までの広い地域で造られているが、北の地域では辛口の味わいが、関西地域では甘い味わいが好まれているため、味噌の味にもその嗜好が反映されている。麦味噌と豆味噌は生産地が限定されており、麦味噌は九州地方を中心とした地域で、豆味噌は東海地方を中心とした地域で主に造られている。
豆味噌は三州味噌とも呼ばれる
豆味噌の生産地は東海地方といわれているが、実は愛知県と三重県、岐阜県の3つの県がほぼ占めている。つまり東海豆みそとは東海地方全体というよりも、3つの県で造られた豆味噌を指すことが多いのだ。そのため「三州味噌」と呼ばれることもある。なかでも愛知県名古屋市には味噌カツや味噌おでん、味噌煮込みうどんなど豆味噌を使った名物料理が多くあり、豆味噌は名古屋名物には欠かせない。ちなみに、もっとも知名度の高い豆味噌である「八丁味噌」は、愛知県岡崎市にあった八丁村が発祥の地である。江戸時代にはすでに造られており、東海地方に豆味噌が古くから根付いていたことがうかがえる。
2. 東海豆みその特徴

米味噌や麦味噌を造る際は、米糀または麦糀を使用するが、豆味噌には糀を使用せず、大豆と塩のみで造られる。
豆味噌の原料は大豆と塩のみ。独特の風味が生み出される
米味噌や麦味噌の場合は、糀の使用量(割合)を調整することで甘さ加減を変えることができるため、辛口だったり甘口だったりとバリエーションが豊富だ。一方、大豆のみで造られる豆味噌ではこのような調整はできないため、味わいのバリエーションはあまりない。しかし、大豆の濃厚な旨みを味わうことができ、旨みだけでなく、わずかながら渋みや酸味も感じられるのも東海豆みその特徴で、ほかの味噌にはない独特な風味が堪能できる。
東海豆味噌は黒に近い赤褐色
東海豆みそは色も独特だ。赤味噌や白味噌という呼ばれ方があることからもわかる通り、味噌は赤褐色や白色(淡色)であることが多い。しかし、東海豆みその色は黒に近い赤褐色である。味噌は原料の違いにかかわらず、熟成期間が長いものほど赤くなる(色が濃くなる)という性質を持っている。熟成期間は厳密に決まっているわけではないのだが、東海豆みその場合は1~2年近く、さらにはそれ以上熟成させているものもある。東北地方で造られている辛口の米味噌も長期熟成させているものが多いが、豆味噌ほど色は濃くならないため、東海豆みそであるかどうかは一目見るだけで判断できる。
3. 東海豆みそのおすすめの食べ方

味噌料理と聞いて最初に思い浮かべるのは味噌汁だろう。出汁に味噌を溶くだけのシンプルな料理であるため、味噌の香りや味わいを楽しむには最適だ。しかし、独特の色と風味の東海豆みそを食べ慣れていない人にとってはクセが強く、東海豆みそのみで作った味噌汁は飲みにくさを感じるかもしれない。
豆味噌と米味噌を合わせた赤だし
そのときは、「赤だし」にするのがおすすめだ。赤だしとは豆味噌と米味噌をブレンドしたものを指す。市販されているものもあるが、普段使用している米味噌と東海豆みそをブレンドして作ることも可能で、自分好みの赤だしを作ることができる。豆味噌のみで食べるよりも豆味噌の風味は損なわれてしまうが、豆味噌独特の香りや味わいを楽しむことはできるため、慣れるまでは赤だしにして食べてみよう。豆味噌の風味に慣れてきたら徐々に米味噌の分量を減らして、東海豆みその風味を強くしていくとよい。
味噌カツや味噌煮込みうどんもおすすめ
味噌汁では飲みにくくても、味噌カツや味噌煮込みうどんなどにすると東海豆みその味わいがアクセントとなり、美味しく食べることができるだろう。レシピによっては赤味噌を使用しているものもあるが、本場の味を再現するなら東海豆みそがおすすめだ。また、味噌汁のときと同様に東海豆みそ単体では食べにくい場合は赤だしにしてみるとよい。豆味噌の風味を大きく損なわずにより食べやすくなる。味噌煮込みうどんに関しては、名古屋名物のきしめんと組み合わせるとより名古屋名物らしくなる。
結論
色、風味ともにほかの味噌とは一線を画す東海豆みそ。大豆のみで造られている豆味噌の主要産地は東海地方で、主に愛知県と三重県、岐阜県の3県で造られている。大豆の旨みが濃縮されている東海豆みそだが、その独特の風味は食べ慣れていない人にとっては食べにくさを感じるかもしれない。しかし、米味噌とブレンドして赤だしにすることで非常に食べやすくなる。
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