1. 関西白みその産地

味噌の起源は定かではないが平安時代からすでに食べられていたという記録が残っている。鎌倉時代に味噌汁が定着し一汁一菜の食文化が生まれ、戦国時代には兵糧として味噌が重要視されるようになった。そして時代を経るごとに味噌は日本全国に広まっていった。流通が現代ほど盛んでなかったため地域によって味わいの異なる味噌が造られるようになり、現在でも地方によって好まれる味噌は異なる。
関西白みそは甘味噌
関西白みそはその名の通り関西地方で造られている味噌を指す。白色(クリーム色)の甘味噌で、西京味噌などがイメージしやすいだろう。ただし同じように白色(クリーム色)の味噌でも信州みそのように辛口の味噌もあるため、必ずしも白色の味噌が甘味噌だとは限らない。しかし関西地方では甘い味噌が好まれていることから、関西白みそのような甘味噌が一般的だ。
関西白みその産地は近畿地方
関西白みその産地は、三重県を除いた近畿地方が該当する。なぜ三重県を除いたかというと、三重県では豆味噌の生産が盛んだからだ。また、中国地方と四国の一部でも造られているが、中国地方と四国は麦味噌生産地でもある。
2. 関西白みその特徴

関西白みそは大豆と米糀から造られる米味噌だ。米味噌自体は日本でもっとも造られている味噌で、東北地方や関東地方でも造られている。しかし、米味噌は米糀の使用量(割合)を変えることで甘みの強さを変えることができるため、同じ米味噌であっても味わいは大きく異なる。
関西白みそは甘みが強く塩分が少なめ
関西白みその場合は米糀の使用量が多いため、ほかの地域の米味噌と比べて甘みを強く感じることができる。また甘みがしっかりしている分、塩分量が少ない。辛口の米味噌の塩分量が11~13%であるのに対し、関西白みその塩分量は5%ほどだ。
関西白みその色は熟成期間の短さが理由
もう1つ、関西白みそで特徴的なのが味噌の色だ。日本各地で造られている味噌の多くは赤褐色である。その理由として熟成期間の長さが挙げられる。味噌は発酵食品であるため、製造過程において熟成期間が必要となる。同じような製法で造られていても地域または生産者によって熟成期間は異なり、熟成期間の長さによって味わいが変化する。味噌の性質として面白いのが熟成させるほど赤褐色になるということだ。この性質は、麦味噌や豆味噌でも同じだ。逆にいえば色の薄い味噌ほど熟成期間が短いことを示しており、関西白みそも熟成期間が非常に短い。また、きれいな白色に仕上げるために精米度を高くしたり、大豆を煮て使ったりとさまざまな工夫がされている。
3. 関西白みそのおすすめの食べ方

関西白みそを使用した料理で有名なのは、魚を味噌で漬け込んだ「西京焼き」だろう。ほかの味噌でも魚の漬け焼きは作れるが、関西白みそで作った場合は味噌の甘みと魚の旨みが調和して、ほかの味噌では生み出せない味わいを楽しめる。
関西白みそで作る豚ロースの西京焼きはおすすめ
西京焼きといえば魚が定番だが、豚ロース肉などの肉を漬け込んでも美味しい。また、関西白みそは隠し味としても優秀だ。味噌は調味料としても優秀な食品なのだが、塩分量が多いため塩辛くなってしまう可能性がある。しかし、関西白みそであれば塩辛くならず、甘みと旨みの両方を足すことができる。
味噌をブレンドすると塩加減や甘さを調整できる
また、味噌はブレンドすることでより美味しくなる食品でもあるため、関西白みそとそのほかの味噌をブレンドして使ってみるのもおすすめだ。分量を少し変えるだけで塩加減や甘さ加減が変わるため、より味噌の味わいが複雑になり美味しくなる。
関西白みそを使えば関西風のお雑煮が楽しめる
関西地方ではお雑煮に白味噌が使われる。具材や味付けは地域によってさまざまだが、関東地方を中心とした広い地域で醤油仕立ての雑煮が食べられているため、味噌で味付けする雑煮は珍しい。いつもと違った雑煮を食べたいと思ったときは白味噌仕立てにしてみよう。それだけで関西風の雑煮を楽しむことができる。
結論
米糀をたっぷり使って造られる関西白みそは、その色合いと味わいから上品さを感じられる味噌だ。米糀由来の甘みが特徴的な関西白みそだが、美しい白色に仕上げるために精米度を高くしたり、一般的には蒸して使われる大豆を煮て使ったりなどさまざまな工夫がなされている。関西白みそ単体で料理に使うのもよいが、ほかの味噌とブレンドして使うのも面白い。
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