1. マグネシウムの働きと推奨摂取量

マグネシウムの発見は、古代ギリシアのマグネシアという地域の白マグネシウムという物質からである。自然の食物中に多く含まれているだけではなく、サプリメントや薬剤など幅広く活用される栄養素だ。
マグネシウムは必須栄養素
マグネシウムは体内のさまざまな生化学反応や代謝反応に必須の栄養素であり、300種類の酵素反応をサポートしている。マグネシウムが関わる代表的な体内の酵素反応は次のようなものだ。
- たんぱく質の合成
- 血糖や血圧のコントロール
- 筋肉や神経の機能
身体のなかでマグネシウムの50〜60%が骨に存在しており、残りが筋肉や脳、神経に含まれている。血清中のマグネシウムが減少すると骨に貯蔵されているマグネシウムを離して利用されるため、マグネシウムの血中濃度は1.8〜2.4mg/dLに保たれている。
マグネシウムの吸収
マグネシウムの吸収は主に遠位空腸と回腸でされている。マグネシウムの吸収についてははっきりとわかっていない部分も多いが、マグネシウムの摂取量が多くなると吸収率は低くなり、少なければ高くなる。マグネシウムの血中濃度を保てるよう、調整機能が働く仕組みのようだ。
マグネシウムの摂取量
マグネシウムの1日の摂取推奨量は、30〜40代の男性で370mg、50〜60代の男性は350mg、女性は30~60代までは統一して290mgとなっている。また、マグネシウムはカルシウムと拮抗し合うことから、カルシウムの摂取量約半分の摂取が理想的だとされている。マグネシウムは摂取量だけではなく、カルシウムとのバランスを考えながら摂取するのがポイントだ。
なお、成人のマグネシウムの平均摂取量は1日261mgであり、男女ともにマグネシウムの摂取が不足していることがうかがえる。
なお、成人のマグネシウムの平均摂取量は1日261mgであり、男女ともにマグネシウムの摂取が不足していることがうかがえる。
2. マグネシウムを含む食べ物や飲み物

マグネシウムは精製や加工がされていない食品に多く含まれる。具体的な食品名を見ていこう。
マグネシウムが含まれる食品
- 植物性食品
ひじき、昆布、ピュアココア、インスタントコーヒー、わかめ、ゴマ、海苔、アーモンド、大豆など - 動物性食品
さくらえび、イワシ、あさり、いくら、ハマグリ、かき、きんめだい、ししゃも、粉チーズ、ビーフジャーキーなど
ミネラルウォーターや水道水もマグネシウムの供給源となるが、メーカーや水源によって含有量は異なる。ミネラルウォーターをマグネシウムの供給源として考えるのであれば、パッケージの栄養表示などを参考にしよう。
3. マグネシウム不足と感じたら?

マグネシウムはいろいろな食品に含まれているため、普通の食生活を送っていれば欠乏症は現れにくい。ただし、消化器疾患がある人、2型糖尿病患者、アルコール依存症、高齢者は不足しやすいので注意が必要だ。
マグネシウム欠乏症の症状
マグネシウムの欠乏症には次のようなものが挙げられる。
- 骨粗鬆症
- 精神疾患
- 心疾患
- 筋肉収縮の異常
マグネシウムの過剰摂取による影響
マグネシウムは過剰に摂取したとしても余分な分は体外から排出されるため、健康な人であれば問題はない。しかし、サプリメントや薬などから短期間で多量のマグネシウムを摂取した場合には、下痢や胸のむかつきなどの症状が現れる場合がある。
結論
マグネシウムは多くの食品や水に含まれる栄養素だが、日本人の平均摂取量は基準を満たせていない。さらに加齢にともないマグネシウムの吸収率は低下していくため、注意が必要だ。バランスの良い食生活を心掛けることに加え、不足することが懸念される人は、ひじきやわかめ、大豆などのマグネシウムが多く含まれる食品を積極的に食事にとりいれていこう。
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