1. 生ビールとは

ビールの作り方
生ビールの「生」の意味を理解するためには、まずビールの製造方法について知る必要がある。ビールの主原料は、麦芽、ホップ、水。コーン、スターチ、オレンジピールなど、さまざまな副原料を加えることで、味に個性を演出することもある。ビールはほかのアルコール同様、発酵の産物というわけだ。製造工程を簡単に説明すると原材料の仕込み、発酵、貯酒、ろ過、パッケージという流れになる。
「生」の意味
「生」か否かの決定は、ろ過の工程でなされる。生ビールとは、熱処理を行わないものを指す言葉。逆に熱処理がなされているものをビールと呼ぶ。熱処理を行う理由として挙げられるのは、酵母の動きを封じること、そして雑菌の動きを制御し、保存性を高めることだ。このように聞くと生ビールには、酵母や雑菌が含まれているように感じてしまうが、現在は製造技術の発展により、熱処理なしで酵母を取り除くことができる。あえて、酵母を残した状態を楽しむクラフトビールや海外ビールも存在する。
2. 生ビールとビールの違い

生ビールとビールの大きな違いは、製造過程の熱処理の有無。熱処理なしのビールに対して、「生」の称号が与えられるのだ。
缶ビールと瓶ビールは?
缶ビール、瓶ビールとは、保存形態を指す言葉で、生ビール、ビールのように製造工程の違いを述べているわけではない。事実、缶ビールにも瓶ビールにも生は存在するし、逆も然りである。一般的に日本で販売されている多くのビールは、生ビールに当たるので、家で飲んでいるものも生ビールである可能性が高い。生ビールは、居酒屋でジョッキに入っているものだけではないのだ。ちなみに飲食店でサーバーから注がれるビールは、生ビールのなかでも樽に入っているので樽生ビールと呼ぶのが正解だ。
賞味期限の違い
居酒屋で飲む樽生ビールも缶ビールも瓶ビールも熱処理がなされていなければ、同じ生ビールである。しかし、これらは賞味期限に違いがある。缶ビールも瓶ビールも樽生ビールも、未開栓の場合の賞味期限は9カ月ほどであるが、樽生ビールは一度開栓すると1週間ほどで賞味期限を迎える。
3. 生ビールとビールの味

熱処理がなされているビールは、国産ビール市場では肩身が少々狭い存在。ただ、現在でも販売されている。サッポロラガーやキリンクラシックラガーなどがそれに当たる。味の好みは千差万別なので、同じメーカーで生ビールとビールを飲み比べてみると面白い。個人的な感想を述べるとするならば、生ビールの方が爽やかな印象、ビールの方は重厚感を感じさせる。
お店と家は?
居酒屋で飲む樽生ビールと家で飲む缶や瓶の生ビールでは味が異なると感じる人も多いことであろう。その理由のひとつとして挙げられるのが炭酸である。樽生ビールは大抵の場合、サーバーに繋いで使用される。開栓して一気に飲むことはできないので、徐々に炭酸が抜ける傾向にあるらしい。対して、缶や瓶の生ビールは飲み切ることのできる量。炭酸の大幅な減少が少ないため、炭酸を比較的強く感じるようだ。
また、サーバーの衛生環境も生ビールの味わいに大きく影響を及ぼす。ビールの通る管は基本的には毎日掃除するものだが、怠っていたりすると美味しさは半減。また注ぎ方によっても味わいは異なる。
結論
生ビールとビールの違いは、製造工程で熱処理がなされているか否かにあった。実際には中身は同じでも店で飲む樽生ビールと家で飲む缶や瓶の生ビールは味わいが異なるものである。もし、お店の樽生ビールがあまり美味しくないなと感じたときには、瓶ビールに変更するなど工夫して、より旨いビールをいただこう。
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