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【昆布】は出汁を海に流出してる?してない?

【昆布】は出汁を海に流出してる?してない?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2020年2月 1日

和食に欠かすことのできない出汁は、日本が世界に誇る食文化のひとつだ。この記事では、昆布の出汁に注目。昆布は一般的に水につけておくだけで旨み成分が抽出できるが、海の中で旨み成分は出ているのだろか。この記事では、知っているようで知らない昆布の出汁について解説する。

  

1. 昆布と出汁

昆布とは

昆布とはご存知の通り、海藻の一種である。ちなみに海藻とは読んで字のごとく、海で生活する藻類だ。藻類は色によって緑藻、褐藻、紅藻と分けられるが、昆布は褐藻の代表とも呼べる存在だ。ちなみに海藻は胞子、海草は種子によって繁殖するもので、同じ読み方でも差別化されている。

日本の昆布

昆布の名産地と言えば、北海道。国内産昆布の90%が北海道産と言われるほどだ。一口に昆布と言ってもさまざまな種類があり、北海道では場所によって採れる昆布が異なる。例えば、利尻で採れる利尻昆布は澄んだ出汁がとれるため、料亭などでもよく使われている。日高で採れる日高昆布は柔らかく煮えやすいことから、出汁以外に佃煮などにも使われる。函館沿岸で採れる真昆布は、良質で硬さもちょうどよいので、出汁にはもちろん、塩昆布などに使われることもある。

昆布の旨み

そもそも出汁とは、素材から美味しさの成分=旨みを水に抽出したもので、昆布以外にも鰹節、いりこ、鶏ガラ、豚骨、きのこなどさまざまな種類がある。旨みとなっている成分には違いがあり、昆布の場合はグルタミン酸が旨みの正体だ。グルタミン酸はアミノ酸の一種で、昆布をはじめ野菜やチーズなどに多く含まれている。鰹節や動物性タンパク質に多いイノシン酸と組み合わせることで、旨みの相乗効果が生まれると言われている。

2. 昆布の出汁と水

昆布出汁の取り方

昆布で出汁をとるのは非常に簡単。真昆布や羅臼昆布、日高昆布、利尻昆布を使うのがおすすめだ。水1Lに対して使うのは、昆布10〜20g。表面を固く絞った布巾やキッチンペーパーでさっと拭いて、水に漬けるだけ。最後に火にかけて沸騰直前に取り出すとよい。火にかけずに、長時間水につけるだけでも旨みは十分に堪能できる。

海の中では

昆布は水に漬けると旨み成分が流出し、上質な出汁がとれるということがお分かりいただけただろう。グルタミン酸は水に溶け出す性質があるのだ。では海の中ではどうなのか?というのがここからの話題だ。実は海の中でも旨みが流出しているのか、それとも何らかの理由で流出していないのか。答えは後者だ。

3. 昆布がグルタミン酸を流出する条件

海水が出汁にならない理由

海の中で昆布の旨みが流出しない理由は、昆布が生きているからだ。昆布の旨み成分であるグルタミン酸は、昆布が生きている間は、アミノ酸代謝などに使われる非常に大切な栄養素なのだ。そのため、細胞膜にガードされており、水に溶け出すことはできない。では昆布が海中で死んでしまった場合は、海の中で旨みが流出するのかというと答えはNOだ。その場合はバクテリアがグルタミン酸を分解してしまうためだ。

昆布と天日干し

普段我々が出汁をとるのに使っている昆布は、天日に干した乾物である。乾燥させるとバクテリアは生きることができず、昆布の細胞内にグルタミン酸を蓄えたままの状態を保つことができるのだ。これが、海中においては昆布から旨み成分が流出することはないが、自宅では水に漬けるだけで昆布の旨み成分を引き出すことができる理由だ。

条件は2つ

昆布の旨み成分であるグルタミン酸が水に溶け出す条件は、昆布が生きていないこと、昆布が乾燥していること、この2つだ。

結論

昆布は海の中では、旨みの素であるグルタミン酸を流出しない。その理由は、グルタミン酸が水に溶け出すためには、昆布が生きておらず、更に乾燥していることが条件だからだ。昆布は沸騰させるとぬめりが出てくるため、出汁をとる際には、昆布は水に浸し、火にかけるときも必ず沸騰前に引き上げるのが正解だ。
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  • 更新日:

    2020年2月 1日

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