1. ミネラルの種類と主な働き

ミネラルは身体の構成成分になったり、さまざまな機能を調整したりする栄養素で「無機質」とも呼ばれる。食事摂取基準においてミネラルと示されているものは13種類存在し、多量ミネラル5種と微量ミネラル8種に分けられる。
多量ミネラル
- カルシウム...骨や歯の主成分。身体の機能の調節に関わり、神経伝達や筋肉の収縮を正常に保つ働きなどがある。
- カリウム...ナトリウムとともに体内の水分量を調節している。心臓などの筋肉の働きを維持する役割も。
- ナトリウム...カリウムとともに体内の水分量を調節している。筋肉や神経の反応に関わる働きもある。
- マグネシウム...カルシウムとともに骨や歯を形成するために必要な栄養素。血圧の維持のほか、神経の興奮をおさえる役割もある。
- リン...カルシウムとともに骨や歯の主成分となるほか、細胞膜の構成成分にもなっている。エネルギー源となるATPの生成に不可欠である。
微量ミネラル
- 鉄...血液中に存在するヘモグロビンの成分となる。酸素を全身の細胞に運び、体内に酸素をとり込む働きがある。
- 亜鉛...核酸やたんぱく質の合成などに必要なため、成長には欠かせない成分である。体内での代謝を促す酵素の補酵素としても働く。
- 銅...鉄がヘモグロビンとなるときの反応に必要である。活性酸素を除去する働きもある。
- マンガン...炭水化物、脂質などの代謝に関わるミネラルだ。骨や肝臓において酵素作用の活性化にも働く。
- ヨウ素...甲状腺ホルモンの構成成分。発育や免疫に関わっている。
- セレン...過酸化脂質を分解する抗酸化作用があると考えられている。甲状腺ホルモンの代謝にも関わる。
- クロム...糖質の代謝に関わる。インスリンの作用や耐糖能を正常に保つことに関与すると考えられている。
- モリブデン...主に尿酸の代謝に関わる酵素の構成成分である。鉄の利用をうながすことから、「血のミネラル」とも呼ばれる。
ミネラルにはこのほかにも超微量ミネラルと呼ばれるものが存在する。虫歯予防に効果のあるフッ素や、脂質代謝に関わるバナジウムなどが挙げられる。ミネラルは大量にとると中毒症を起こす場合もあるので、摂取には十分な注意が必要だ。
2. ミネラルを含む食べものや飲みもの

ミネラルはそれぞれ含まれる食品が異なる。ここでは主要ミネラルの5種類が多く含まれている食品を紹介する。
- カルシウム...牛乳、ヨーグルト、ワカサギ、干しエビ、しらす干し、小松菜、切干大根、生揚げ、木綿豆腐など
- カリウム...ほうれん草、枝豆、かぼちゃ、小松菜、里芋、じゃが芋、アボカド、バナナ、干ししいたけ、ひじき、納豆など
- ナトリウム...カップ麺、食塩、顆粒調味料など
- マグネシウム...玄米、そば、ひじき、木綿豆腐、アーモンドなど
- リン...そば、マイワシ丸干し、たらこ、ししゃも生干し、豚ヒレ、卵黄など
ナトリウムとリンは過剰摂取が問題となっており、積極的に摂ることをすすめているわけではない。種類の異なるミネラルは互いに吸収を阻害し合うのでバランスよく摂取するのが望ましい。
3. ミネラル不足と感じたら?

ミネラルはさまざまな食品に含まれているのでバランスよく食事をとっていれば不足しづらいが、偏った食生活や食事量が少なすぎる場合には不足症状が現れることがある。主要ミネラルの欠乏症は次のとおりである。
- カルシウム...骨軟化症や骨粗しょう症
- カリウム...高血圧、筋力低下、不整脈など
- ナトリウム...脱力感など
- マグネシウム...骨粗鬆症や心疾患のリスク向上、筋肉のけいれん
- リン...神経症状、骨軟化症など
ミネラル類をサプリメントで補給している場合などは過剰症にも注意しなくてはならない。特別な場合を除き、サプリメントから栄養を摂取するよりも食事をバランスよくとることを心がけよう。
結論
ミネラルは多量ミネラルと微量ミネラルに分けられ、全部で13種類存在する。それぞれのミネラルが異なる働きをしており、ヒトが健康的に生きていくためには欠かせない成分だ。どのミネラルがどんな食品に含まれているのかを意識しながら、バランスよく摂取していこう。
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