シャリアピンステーキとはどんな料理？安いお肉が柔らかい理由とは？

シャリアピンステーキは、1934年に帝国ホテルで誕生した日本特有のステーキ料理である。ロシアのオペラ歌手であるフョードル・シャリアピン氏が宿泊した際に、歯の調子が悪かった彼に柔らかいステーキを提供しようと「ニューグリル」の料理長・筒井福夫氏によって考案されたそうだ。

また、シャリアピン氏は1936年にも来日。そのときに当時の帝国ホテルの支配人である犬丸徹三氏が「料理名にシャリアピン氏の名前をつけたい」と提案したところ、快く受け入れてくれたという。それ以降は「シャリアピンステーキ」の名前で、帝国ホテルの人気料理の一つになっている（※1）。

帝国ホテルの人気料理として親しまれているシャリアピンステーキは、現在（2020年9月時点）は以下の二か所で食べることが可能だ。千代田区内幸町にある帝国ホテルに訪れた際には、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

帝国ホテルのシャリアピンステーキには牛ランプ肉が使われている。また、ヒレ肉、サーロイン、牛肩ロースでも作ることができるので、家庭では手に入れやすいものを使うとよい。ほかにも、格安レシピとして紹介しているシャリアピンステーキには、豚肉や鶏肉などが使われていることもある。

文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版（七訂）」を参考に「和牛肉」と「輸入牛肉」のそれぞれのカロリー量と糖質量（炭水化物量）をまとめておく（※2）。部位は先ほど紹介したランプ、ヒレ、サーロイン、牛肩ロースの四種類。また、すべて「脂肪付き」ではなく「赤肉」である。

原産地や部位ごとのカロリーと糖質量（炭水化物量）を見ると、糖質量には大きな差は見られないがカロリー量には大きな違いがある。基本的に輸入品のほうがカロリーは低く、また部位別に見るとランプ肉・ヒレ肉のほうがサーロイン・牛肩ロースよりもカロリーが低い傾向があることが分かる。

家庭で美味しいシャリアピンステーキ（牛肉のマリネステーキ）を作る方法を紹介しておこう。ここでは本場にならって「ランプ肉」を使っているが、どのお肉でも同じように作ることが可能だ。

シャリアピンステーキでは薄く伸ばした牛肉を使うのが特徴だ。はじめに肉たたきを使って全体の厚みが5mm程度になるようにするとよい。また、もし肉たたきがないなら、めん棒や包丁の背でも可能だ。なお、包丁を使う場合は切れてしまわないよう、弱めに叩くことがポイントになる。

シャリアピンステーキでは玉ねぎの漬け込み時間が重要になる。冷蔵庫でつける場合は1時間程度を目安につけるようにし、短くても30分程度はつけるようにしよう。また、時間があるなら一晩寝かせるのもよい。漬け込み時間が長くなれば、それだけ柔らかくてジューシーなステーキを楽しめる。

ご自宅で作る際にも、野菜を添えると彩りがよくなるのでおすすめだ。付け合わせには茹でた旬の野菜を使ったり、マッシュポテトなどを添えたりするのもよい。また、プチトマトなどを飾るだけでも華やかに見える。特におもてなしの料理として提供する際には付け合わせまでこだわろう。

シャリアピンステーキ丼はグルメ漫画に登場した料理の一つで、梅ご飯の上にシャリアピンステーキを乗せた豪華な丼ものである。ポイントは「梅ご飯」を使っていることで、梅の爽やかな香りと味によってさらに食欲が湧いてくる。原作の作り方とは少し違うが、試しに作ってみるのもいいだろう。

帝国ホテルで誕生した「シャリアピンステーキ」は、歯の調子が悪かったシャリアピン氏のために考案されたステーキ料理である。その作り方は高級な牛肉だけでなく、市販の牛肉を柔らかく食べるのにも役立つ。「玉ねぎに漬け込む」という一工夫だけで本当に美味しいステーキが出来上がるため、ぜひステーキを食べるときにはチャレンジしてみるといいだろう。

【参考文献】